最近、さまざまなメディアで取り上げられるようになったリノベーション。リフォームという言葉もありますが、その違いは一体何なのでしょうか?何となく「リノベーションはリフォームよりおしゃれなイメージ」「リノベーションの方が大がかりなもの」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。
そこで今回は、リフォームとリノベーションの違いを解説。リノベーションのメリット・デメリットや費用相場、大まかな流れから事例に至るまで、ありとあらゆる側面からリノベーションを深掘りしていきます。
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もくじ
1.リフォームとリノベーションは何が違う?
まず、リフォームとリノベーションの違いについて見ていきましょう。リノベーション関連の企業が参加する業界団体であるリノベーション協議会は、リフォームとリノベーションをそれぞれ次のように定義づけています。
リフォーム 原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処 リノベーション 機能、価値の再生のための改修 その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修
引用:リノベーション協議会
リフォームが不具合箇所に対する「対処」である一方、リノベーションは「改修」としている点に注目です。続いて、それぞれの定義を詳しく掘り下げてみましょう。
■「元に戻す」リフォーム
リフォームは「原状回復のための不具合箇所への対処」とある通り、経年劣化や破損によって、機能的にマイナスとなってしまった部分をゼロの状態に戻すことを指します。たとえば、日焼けしてしまった壁紙を張り替える、古くなったトイレを交換するといった具合です。一般的に不具合の生じている箇所に対して部分的に対処するので、比較的規模が小さいものとなります。
■「新たな価値を付加する」リノベーション
対するリノベーションは、建物が現在提供してくれる価値にプラスαして、新たな価値を付加する改修を指します。たとえば、隣接する和室をリビングと一体化して開放的な空間を作る、間取りを一部変更して在宅ワーク用の書斎スペースを確保するといった具合です。
1つ目の事例で考えれば、和室をリビングと一体化することで家族が集う明るく広いリビング、という新たな価値を提供しています。また、コロナ禍で在宅ワークが急増している昨今では、2つ目のような書斎スペースを新たに設けるリノベーションが注目を集めています。時代の変化に応じた新たな価値や機能を付加できるというのも、リノベーションの特徴と言えるでしょう。
以上をまとめると、マイナスの状態からゼロの状態まで回復する修繕が「リフォーム」、現状からプラスαする改修が「リノベーション」と覚えておけばOKです。
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2.リノベーションのメリット・デメリットとは?
コロナ禍による在宅ワークの急増を受けて、ますます注目を集めるリノベーション。人気のリノベーションですが、すべての人にとって良いことばかりとは限りません。続いては、これからリノベーションを検討する上で知っておきたいメリット・デメリットをご紹介しましょう。
リノベーション 3つのメリット
まずはリノベーションするメリットを3つ見ていきます。
メリット1:ライフスタイルに合わせた理想の住まいを実現できる
リノベーションのメリット1つ目は、ライフスタイルに合わせて内装や間取りなどを自由に決められること。多くの新築物件は画一的な決められた内装・間取りであることが多く、物件に応じてライフスタイルが制限されるという側面があります。
一方、リノベーションでは家族一緒の時間を大切にしたいからリビングを広くしたい、趣味の時間を充実させたいので大きな書斎を設けたい、など個別のニーズに合わせた理想の住まいを実現できるでしょう。
メリット2:物件の選択肢が広がる
都心部や駅前といった好立地には住宅が立ち並んでおり、新築物件の供給数は限られています。再開発などで新たに供給があっても、好立地になるほど物件価格は高め。
リノベーションを前提に考えることで、ある程度築年数が経過した中古物件も選択肢に入ります。新築に絞り込んで物件を探すより選択肢が広がり、思わぬ好立地の物件を探し当てることができるかもしれません。
メリット3:新築に比べてリーズナブル
リノベーションは原則中古物件を購入することが前提なので、物件取得費を抑えられるというのは大きなメリットです。不動産業界には「新築プレミアム」という言葉があり、新築購入直後から住宅の資産価値は目減りしていくと言われています。
つまり、築浅中古物件であっても新築に比べるとリーズナブルであることがほとんど。リノベーション工事費を合わせても、同条件の物件を新築で買うよりお得に、理想の住まいを手に入れられる可能性があるのです。
リノベーション 3つのデメリット
リノベーションにはメリットがたくさんある一方、特有のデメリットがあることも忘れてはいけません。続いてリノベーションのデメリットも3つ見ていきましょう。
デメリット1:築年数が古いと想定外の補修が必要なこともある
当然のことですが、中古年数は築年数が古いほど価格が安くなる傾向にあります。お得にリノベーションしたいなら、築年数が古い物件を購入したほうがいいということになりますね。ここで気をつけたいのが、見えない部分の耐久性に問題がないかという点です。
中古物件の内見に行った際、表面上の内装や設備は築年数の割に綺麗だと思うかもしれません。しかし、いざリノベーションのタイミングで床や壁を剥がしてみたら、配管が錆びていたり土台が腐っていたり思わぬ老朽化が進んでいる場合もあるのです。家の耐久性に影響するものであれば、想定外の補修工事を行わなければならないことも。
合わせて注意したいのが耐震性。1981年6月以降に建築確認を受けた住宅については「新耐震基準」が適用されていますが、それ以前に建てられた住宅は「旧耐震基準」しか満たしていない可能性があります。築古物件を検討する際には、耐震診断や耐震補強が行われているかもチェックしておくのがおすすめです。
デメリット2:ローンや控除など費用面で注意が必要
新築物件の購入では住宅ローンを利用するのが一般的ですが、築古物件のリノベーションだと住宅ローンの適用外となる場合もあります。詳しくはこの後解説しますが、ローンを組む上で注意が必要ということは押さえておきましょう。
また、住宅ローン控除の適用条件を満たすかどうかも要注意。中古物件で住宅ローン控除を適用する場合、一定の耐震基準を満たすことが条件とされており、木造住宅で築20年以内、耐火建築物(鉄筋コンクリート造マンションなど)で築25年以内の物件であることが求められています。築年数が古い場合でも耐震基準適合証明書の取得など、一定の条件を満たせば控除を受けられますが、所定の手続きや検査が必要になるのです。
デメリット3:購入〜入居まで時間がかかる
これも後ほど詳しく解説しますが、リノベーションは物件探し〜引き渡しまで3ヶ月〜半年ほどかかるのが一般的。購入〜引き渡しを考えても数ヶ月はかかるということになります。
購入してすぐに入居できるわけではないため、今住んでいる物件の解約や売却、転職や子どもの入学といったライフイベントのタイミングを考えた上で、スケジュールをしっかり組むようにしましょう
3.リノベーションの費用相場とリノベーションローンの基本
リノベーションのメリット・デメリットについて見てきましたが、多くの人が気になるのは費用相場ではないでしょうか。ここでは、リノベーションの大まかな費用相場とローンの基本について解説します。
■リノベーションの中心相場は800〜1,200万円程度
リノベーションにかかる費用には、大きく分けて「物件取得費」「工事費」「手続き・引越し費用」の3つがあります。物件取得費は立地や築年数などによって変わってきますが、問題となるのが工事費です。
リノベーションの工事費は、どこまで手を加えるのかによって価格が大きく変動します。そのため一概には言えませんが、東京都内で70平方メートルの中古マンションをリノベーションする場合の中心価格帯は800〜1,200万円程度。費用の内訳や相場感については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
おすすめ記事:マンションリノベーションはどれくらいかかる?施工箇所で見る費用感
■価格別リノベーション事例をチェック
リノベーションはどこまで手を加えるかによって工事費が大きく異なるとお伝えしました。しかし、実際どれくらいの金額でどこまでリノベーションできるのか、イメージがつかないという人も多いと思います。
そんな人におすすめしたいのがこちらの記事。費用を500〜800万円に抑えた事例、素材にこだわり約1,200万円でリノベーションした事例などをご紹介しています。
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■住宅ローンより金利が高いリノベーションローン
いくら安く抑えたとしても数百万円の費用がかかるリノベーション。多くの人がローンの利用を考えているのではないでしょうか。リノベーションローンを利用することもできますが、一般的にリノベーションローンは、住宅ローンに比べて借りやすい分金利が高いため、できれば物件購入費用+リノベーション費用を一括の住宅ローンで借りるのがおすすめです。
4.リノベーションの進め方
ここまで読んで、いざリノベーション!と思っても何から手をつければ良いのかわからないという人向けに、ここからはリノベーションの具体的な進め方をご紹介していきます。
■大まかな流れを理解しよう
ケースによって細かな部分に差はあれど、リノベーションは大まかに次のようなステップを踏んで進めていきます。
物件探し
住宅ローン審査
物件購入
住宅ローンを組む
リノベーションプランを決める
リノベーション着工
工事完成&引き渡し
引越し
希望の物件に出会えるかどうかは運次第ですが、物件探し〜引き渡しまで、おおむね3ヶ月〜半年程度というのが一般的です。
■リノベーションの基本スケジュール
一連の流れの中でもっとも時間がかかるのは、もちろんリノベーション着工から工事完成までの期間。まずは仮設工事や解体工事から入り、解体が終わったら基礎や配管の工事、内装工事といった数多くの工事を経て完成に至るのです。リノベーション期間全体のうち、工事にかかるのは約1.5〜3ヶ月程度となっています。
5.リノベーション・リフォーム・新築のポイント徹底比較
上の表は、新築・築浅リノベーション・築古リノベーション・リフォームの特徴を簡単にまとめたものです。こうして比較すると、リノベーションは費用面・物件の選択肢・設計の自由度といった多くの面で優れており、バランスのいい選択肢であることがわかります。
ただ、表の一番下にあるように、リノベーションは専門知識が求められる場面も多いのが特徴。理想的な住まいを目指してリノベーションにチャレンジするなら、まずは専門の会社に相談するのがおすすめです。
6.築年数別おすすめリノベーション事例4選
リノベ不動産では築年数やマンション/戸建限らず、数多くのリノベーション物件を手がけてきました。続いては、リノベーションを検討している人に見ていただきたいおすすめ事例を4つご紹介していきます。
■築浅リノベーションのおすすめ事例
最初に築5〜15年の築浅リノベーション事例を2つ見ていきましょう。
・築浅事例1:壁と床が変われば部屋の表情が変わる
築浅物件は設備や間取りをそのまま使えることが多く、費用を抑えられるのがメリット。1つ目の事例は、そんな築浅リノベーションの良さを最大限生かしています。
間取りや床などは従来のまま生かし、リノベーション費用を削減。一方、天井や壁紙にこだわることで「変わった感」を演出しています。
事例:アクセントクロスでオリジナルの空間に
・築浅事例2:無垢フローリングはおしゃれリノベの基本
築浅事例の2つ目も、間取りや壁・天井はほぼ従来のまま生かすことにより費用を削減。その分、床を全面無垢フローリングに張り替えることで、明るくナチュラルなイメージの部屋に生まれ変わりました。築浅物件を購入すると「まだ使えるから」「まだ綺麗だから」と言って、何かと妥協しがち。築浅でもリノベーションすれば、より理想に近い住まいを実現することができます。
事例:築12年の築浅”一部リノベ”
■築古リノベーションのおすすめ事例
次に築20年以上の築古物件をリノベーションした事例も2つご紹介します。築浅リノベーションに比べ、間取り変更を含む大規模なリノベーションである点に注目です。
・築古事例1:家はリノベーションで明るくできる
築古リノベーションの醍醐味と言えば、間取りの変更や壁の撤去など大胆な変更にチャレンジできること。1つ目の事例は、そんな築古の醍醐味を存分に感じられる部屋です。床は無垢フローリング、天井はモルタルへ全面的に変更。リビングに隣接する居室との間には新たに壁を設けることで、プライベート感のある個室が誕生しました。経年劣化によって暗く感じていた部屋ですが、リノベーションによって明るく開放的になっていますね。
事例:私、今生きてるなと感じる部屋
・築古事例2:物件取得が安いからこそ理想に近づける
築古事例の2つ目にご紹介するのは、木の質感や天井の間接照明がおしゃれなこちらの部屋。ビフォーアフターを見比べると、リノベーションの効果は一目瞭然です。内装のこだわりもさることながら、この物件最大の特徴がフルオーダーで誕生した自宅スタジオ。
音楽を聴くのも奏でるのも好きなオーナー夫婦の希望を叶えるスタジオは、完全防音で楽器演奏をしても安心。物件取得費用が安い築古物件だからこそできた、理想の追求ですね。
7.まとめ
リノベーションとは、ライフスタイルや希望に合わせて部屋をバージョンアップすることであると言えます。物件取得費用が新築に比べて安い分、部屋の質を高めることができるのです。住まいを購入する際には、将来にわたるライフスタイルやライフステージを想像した上で、リノベーション・リフォーム・新築のどれがいいか検討してみるといいでしょう。
以上、今回はリフォームとリノベーションの違い、リノベーションの基本について解説しました。
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