キッチンは家庭の中で根幹となる場所で、料理としての機能性や利便性はもちろん、スペースや居心地などにも影響する重要な空間です。毎日使うキッチンですから、リノベーションの際にはできれば以前のものよりもグレードを上げたいもの。
最近ではLDK一体型となった間取りが増えているため、キッチンも単なる料理スペースではなく、家族や友人とのコミュニケーションの場としても大切な存在です。その影響もあってか、一昔前のような敷居を設けた閉鎖的なキッチンではなく、リビングとも直接繋がった開放的でオープンな間取りを好む家庭も増えているようです。
そう何度もできないリノベーションですから、キッチンのリノベーションについても、一般的なシステムキッチンだけでなく、業務用キッチンも考慮に入れつつ検討していきたいものです。ここでは、業務用キッチンについて、そのメリット・デメリット及びおおよその費用などを解説していきます。
業務用キッチンの魅力
業務用キッチンといえば、一面ステンレスで覆われた銀一色の味気のないものとして思われがちです。しかし業務用として作られているため、機能性や利便性の面では家庭用と比較して優れていることが多くなっています。
業務用キッチンの大きな特徴の一つに、家庭用に比べて頑丈であるということが挙げられます。業務用キッチンはレストランなどの厨房で使われることを前提に設計されているため、それなりの強度がなければ厨房を維持できません。そのため、全体が頑丈で錆びにくいステンレス製の素材で設計されることが主流です。
また、個別のキッチン用具での比較においても、業務用キッチン用は機能性や利便性に富んだ作りをしています。たとえば、業務用キッチンのシンクは、家庭用のものと比較して大きな鍋などが洗いやすいよう深めに設計されています。また、業務用キッチンの火力は強力で、家庭では火力が足りず作れないような一品も簡単に作れてしまうのが、業務用キッチンならではの特徴です。さらに食器などの取り出しやすさ、片付けのしやすさなどにおいても業務用キッチンは家庭用と比べて優れています。
このように機能性や利便性、動線など業務用キッチンには多数の機能が含まれています。そのことがキッチンのリノベーションにおいて、業務用キッチンの人気が高まっている大きな理由の一つとなっています。
業務用キッチンにリノベーション
業務用キッチンには機能性や利便性において家庭用にはないさまざまな利点があるものの、ステンレス一色のシンプルなデザインでは、なかなか導入しづらいものです。また、業務用キッチンでは、来客などに見せるようなことがないため、排水管なども露出していることが多く、高機能でありながらデザイン的にはイマイチな場合が多いのもデメリットの一つになります。
さらに、収納スペースに扉や背板がないことや、あったとしても閉める音がうるさいなども、機能面ではプラスですがデザイン面ではマイナスになります。したがって、業務用キッチンを一般家庭のリノベーションに取り込むためには、業務用キッチンの機能性と利便性を活かしつつ、デザイン性の高い設計を目指すことが理想になります。
たとえば、最近街角の飲食店で多く見かけるオープン式キッチンなどは、お客様の目の前で具材を調理したり焼いたりするために、業務用キッチンでありながらデザイン性のかなり高いものが備えられています。従来のステンレス一色ではなく、ところどころに木のぬくもりを感じさせるようなデザインを取り入れたり、清潔感あふれる食器棚の設置など、一見業務用とは思えないほどのクオリティの高いデザインを採用しているお店もときどき見かけます。
また、一般的に業務用キッチンのシンクは深さがある分、低いのがデメリットとされていますが、家庭用に合わせた高さのシンクを導入することで改善することも可能です。このように、業務用キッチンであっても、リノベーションの方法によっては機能性や利便性だけでなく、デザイン性も追求された家庭にフィットする空間を作り上げることができるでしょう。
業務用キッチンのリノベーション費用
業務用キッチンに限らず、キッチンのリノベーション費用はレイアウトにより差が出ます。キッチンのレイアウトは、一般的にシンプルで場所を取らない「I型キッチン」から、広いスペースで作業できる「L型キッチン」、最近最も人気のある「対面型キッチン」のいずれかである場合が多く、費用は後者になるほど高額です。これら基本的なレイアウトに、業務用キッチンの機能を随時取り入れていくという形のリノベーションが一般的のようです。最近流行りの「対面型キッチン」の場合、既設の配管状況によっては配管工事が必要となるケースもあるため、高額になりやすい傾向にあります。
キッチンリノベーションの一般的な相場は50万円~150万円とされていますが、業務用キッチンを取り入れた場合、さらに高額になることもあります。しかしながら、キッチンは毎日使用するのに加え、家族や友人との重要なコミュニケーションの場にもなり得ますから、金額いかんに関わらず慎重に検討を進める必要があります。
まとめ
業務用キッチンはその機能性や利便性などから、家庭用として取り入れる家庭も増えつつあります。一方、キッチンのデザインやレイアウトによってはリノベーション費用が高額になる場合があり、慎重に検討することが必要です。