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塩ビタイルと塩ビシート〜似ている素材の違いとは?

塩ビタイルと塩ビシート〜似ている素材の違いとは?


多くの素材があって、素人にはわかりづらい住宅建材。中でも床材は身近であるにも関わらず、素材ごとにどのような違いがあるのか、正しく理解している人は少ないのでないでしょうか。

そこで今回は、広く用いられる床材のうち、混同しがちな「塩ビタイル」と「塩ビシート」の違いについてご紹介していきます。2つの床材の違いを理解して、リノベーションの参考にしてみてください。
 

塩ビタイルと塩ビシートの共通点は素材!

塩ビタイルと塩ビシート〜似ている素材の違いとは?


塩ビタイルと塩ビシートの違いについてお伝えする前に、2つの床材に共通する点を解説していきます。名前からも分かる通り、2つの床材の共通点はずばり素材です。塩ビタイル・塩ビシートともに、ポリ塩化ビニル(塩ビ)と呼ばれる素材から作られる床材。

塩ビはプラスチックの一種。優れた耐久性・接着性を誇り、プラスチックの中でも燃えにくいという性質があります。これらの特徴が住宅建材にマッチしていることから、床材や配管など多くの建材に用いられているのです。加工性も高く、特別な工具を使わずカッターで切断できる手軽さもポイント。また、高機能でありながらコストが安いという点も大きなメリットとされます。

一方、熱や日光に弱いというのがデメリット。塩ビを使った床材は床暖房の導入には向かず、こたつの使用もおすすめできません。日差しが強い場所では、経年によって床の表面が白化してしまうこともあります。

ただ、デメリットをカバーするだけのメリットがあることから、塩ビタイルや塩ビシートが広く用いられているというわけです。
 

タイルとシートの違いとは?

塩ビタイルと塩ビシート〜似ている素材の違いとは?


共通の素材からできている塩ビタイルと塩ビシートですが、その違いは「タイル」か「シート」かという点にあります。


加工性は高いが継ぎ目のある「塩ビタイル」
塩ビタイルはタイル状の床材で、施行時には範囲に合わせて1枚ずつ張っていきます。張っていく作業は多少手間がかかりますが、カッターで切断して小さな範囲に限定して張ることも可能。模様の異なるタイルを組み合わせることもできるため、デザイン性の幅が広い点も特徴です。床が傷ついてしまった際、傷のある箇所だけタイルを張り替えれば良いので、修復も比較的簡単と言えるでしょう。

ただし、タイル状なのでどうしても継ぎ目ができてしまいます。塩ビタイルそのものは耐水性のある素材ですが、継ぎ目からの浸水には要注意。継ぎ目が気になる人は、塩ビシートを選んだ方がいいかもしれません。


加工性は劣るが切れ目のない「塩ビシート」
対する塩ビシートは、ロール状のシートを部屋の形状に合わせて張っていきます。塩ビタイルのように細かな場所を仕上げるのには向きませんが、広い空間の床を一気に仕上げられる点はメリット。一枚のシートで仕上げるため、継ぎ目のないすっきりとした見た目になるのも嬉しいところです。

その反面、張った後に改修や修復をしようとする場合、シート自体を全て剥がす必要があります。おまけに修復後も再度張り直さなければならないため、将来的にリノベーションやリフォームの可能性があるなら、柔軟性の高い塩ビタイルがおすすめと言えるでしょう。
 

塩ビシートの種類「クッションフロア」「長尺シート」とは?

塩ビタイルと塩ビシート〜似ている素材の違いとは?


塩ビタイルと塩ビシートの違いを見てきましたが、塩ビシートにはいくつか種類があります。続いては、塩ビシートのうち「クッションフロア」「長尺シート」の2つについて解説していきましょう。


主に住宅で使われる「クッションフロア」
塩ビシートのうちクッションフロアとは、シートの中間層に発泡性の素材を使うことにより、クッション性を持たせた床材のこと。塩ビシートならではの経済性や加工性の高さだけでなく、クッションにより足腰にも負担がかかりにくいというメリットがあります。こうしたことから、素足で過ごす住宅で好んで使われているのです。

ただし、クッションが入っている分だけ、重いものを上に載せると凹みやすい点がデメリット。また、表面のプリントが安っぽくなりがちな点も難点です。経済性と質感のバランスを考えながら、取り入れるか検討するといいでしょう。


主に店舗や事務所で使われる「長尺シート」
同じ塩ビシートでも、長尺シートは表面が硬くて耐久性に優れているのが特徴。クッション性はほとんどないため、住宅よりも店舗や事務所などで使われることが多くなっています。加えて、耐久性が求められるマンションの共用廊下やバルコニーの床材として使われることも多いようです。

このように「塩ビシート」と一口に言っても、種類によって適した用途や場所が異なっています。
 

まとめ

今回は、塩ビシートと塩ビタイルという2つの床材の違いについて解説してきました。同じ素材を使っている床材ではありますが、形状の違いによって特徴が大きく異なることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

床材に限らず、住宅建材には多くの種類があります。どの建材が優れているということはなく、種類ごとにメリット・デメリットがあるもの。自らのライフスタイルや優先事項をはっきりさせた上で、プロに相談しながら最適な建材を選ぶことが大切です。