リフォームを行う場合、ご両親やご自身が高齢になったときに備えて、手すりの設置を検討する方も多いでしょう。
手すりを設置するといっても、どこにどのように設置すればよいのか、具体的にイメージできるのか等と、難しく感じてしまうかもしれません。せっかく手すりを設置したものの、使い勝手が悪く、かえって不便になってしまうことは、避けたいですね。
そこで、この記事では、手すりの役割、設置場所を具体的に紹介していきます。
リフォームで手すりを設置。役割と場所は?
手すりとは、身体を支えたり、移動するための補助として設置します。それではどんなところに設置すべきなのでしょうか。だいたい腰の高さあたりでしょうか。確かに、手すりの位置の一般的なイメージではそうかもしれません。でも、リフォームの際には、その家族にとって丁度いい場所に設置するのがベストでしょう。では、その場所はどうやって見つけたらよいのでしょうか。
家の壁をよく見てみましょう。手垢がついているところがありませんか?そこに手をつく頻度が高いから、そこに手垢がついています。であれば、手垢がついているところに手すりを設置すれば、その家族にとってピッタリの位置になるでしょう。手すりの位置に迷っておられる方は、家の壁に注目してみてください。
家の壁で手垢が付いた場所が見当たらない場合には、手すりを必要とする人の大腿骨大転子あたりの高さに設置するといいでしょう。大腿骨大転子とは、太ももの骨の部分の一番上あたりで少しポコッと出たところです。この高さが重心に近いので手で支えるのに都合がいいと言われます。
それでは、以下で手すりをつけるのに適した場所について、個別に検討していきましょう。
手すりリフォーム1:玄関に設置
玄関はスペースこそ狭いですが、手すりを必要とする動きが多い場所と言われます。玄関で転倒したり、一人で立ち上がるのに難儀するケースも多いようです。
また、玄関には框(かまち)という段差があります。特に玄関の土間部分に移動する際には、重心が前の方にかかることで不安定になり、転倒するリスクが高まるとされます。
また、玄関から外に出る際にも一段か、二段ほど段差を降りることがあります。そこも手すりを設置するポイントといえるでしょう。
さらに玄関では、靴を履いたり脱いだりする際に屈むことが多いです。その際、手すりがあると負担なく立ち上がることができるでしょう。誰の手も借りず一人で立ち上がることができると外出も億劫ではなくなりますね。
手すりリフォーム2:階段に設置
階段に手すりを設置する際には、昇り方に注目してみましょう。手すりを用いた昇り方には2種類あるからです。手すりに体重をかけて昇る方法と、手すりにつかまって、自分の体を引き上げるようにして昇る方法の2通りです。
前者の場合、手すりをスムーズに下方向に押せるように、少し低めに手すりを設置しましょう。
後者の場合には、手すりをもって身体を引き上げやすくなるように、手すりの位置をやや高めに設置するといいでしょう。ただし、階段において、手すりの位置を高めに設定するということは、重心が上になるため、後方に転倒するリスクも高まります。高すぎる位置にならないようにご注意ください。
手すりリフォーム3:トイレに設置
トイレに設置する手すりは、使う人の状態によって異なります。間違った場所につけてしまうと、役に立たないばかりか、手すりにつかえて転倒するといったアクシデントにもなりかねません。
トイレに設置する手すりの目的は大きく分けて二つです。ひとつは、座った状態から立ち上がるためのもの。もう一つは、脱いだものを履くために、立った状態を維持する際に、支えとなるためのものです。
立ち上がるための手すりは、便座の横に設置するとよいでしょう。位置としては、便座よりも少し高めの方が、力が入りやすくスムーズに立てると言われます。便座の横に設置するタイプの手すりとしては、ひじかけのようなタイプの手すりもあります。これは立つためというよりは、座っている姿勢を維持するのが困難な場合に、身体を支えるために使われます。
立った状態のままの身体を支えるための手すりは、縦置きです。手すりにつかまりつつ、身体を安定させて脱いだものを履くことができるためです。
立ち上がるための機能と、身体を支えるための機能を兼ね備えたL字型の手すりもあります。最初からこれを選べばいいようにも思われますが、L字型は場所をとるという難点もあると覚えておくとよいでしょう。
手すりリフォーム4:お風呂場に設置
お風呂場も手すりを設置する必要が高い場所と言われます。無防備で滑りやすい場所だからです。ただ、ここでも目的によって、手すりの種類や設置位置が異なりますので、注意しましょう。大きく分けると、浴槽への出入りのための手すりと、浴室での移動の場合の手すりが挙げられます。
ここで、浴室に手すりを設置する際に注意してほしい点があります。浴室の手すりは、なるべく目立つ色にしましょう。なぜなら、通常、お風呂に入るとき、人はメガネを外すので、壁の色に溶け込んだ手すりが見にくいためです。目測を誤って、手すりをつかみ損ねて転倒ということが起きかねません。ですから、浴室の手すりは壁の色とは別系統の色を選ぶことをおすすめします。壁が白なら、手すりは黒系、黒っぽい壁なら白い手すりが目立って安全でしょう。
まとめ
いかがだっでしょうか。手すりと言っても用途と場所によって様々な設置形態や位置があることがお分かりいただけたでしょうか。手すりは適切な場所に設置すれば日々の暮らしを安全に送るための有効な設備となりますが、万が一、設置位置を間違えると思わぬ事故につながるおそれもあります。家族の事情を吟味したうえで適切な位置に備え付けてくださいね。