ウォークインクローゼットと聞くと、面積に余裕のある二人暮らしやファミリー物件の収納向けのスペースという印象を抱く人が多いかもしれません。しかし、少なからず一人暮らし向けの物件でもウォークインクローゼットが設置されている事例は見られます。一人暮らしの人にとっても、ウォークインクローゼットはあると嬉しい設備と言えるのです。

今回は、一人暮らしの人にとってのウォークインクローゼットのメリット・デメリットを解説。一人暮らしの限られたスペースで、実際にウォークインクローゼットを上手く取り入れた事例もご紹介します。

ウォークインクローゼットとクローゼットの違い

一人暮らしの物件でもよく見られる収納スペースとしてクローゼットが挙げられます。通常のクローゼットとウォークインクローゼットの違いとは何なのでしょうか。

最大の違いは、人が入れるかどうかという点。クローゼットは居室の壁沿いや廊下に設置されていて、扉の中に備え付けの収納棚があるというのが一般的です。収納するのに最低限の奥行きしかないので、当然人が中に入ることは想定されていません。

対するウォークインクローゼットは、扉を開けると通路が続いており、通路沿いに収納スペースが設けられています。人が中に入ることが前提となった作りで、通常のクローゼットより大きなスペースを必要とします。

そのため、面積に限りのある一人暮らし向け物件には、ウォークインクローゼットのついた部屋が少ないのです。

一人暮らしにおけるメリット

高い収納力で使い勝手のいいウォークインクローゼットですが、一人暮らしにとっても嬉しいメリットがあります。

衣装持ちや物が多い人でも余裕を持って収納できる

ファッションが好きな人や、スポーツ・アウトドアなど道具を多く使う趣味のある人は、一人暮らしでも多くの荷物を持っている場合があります。しかしながら、一人暮らし向け物件は収納が限られているので、置き場所に困ったという経験のある人も多いはずです。

そんな時、部屋にウォークインクローゼットがあれば安心。大切な衣服や趣味道具を収納し、必要な時簡単に出し入れすることができます。面積が限られている一人暮らし向け物件だからこそ、ウォークインクローゼットの収納力は大きなメリットになるのです。

収納を一カ所にまとめられるので効率的

収納スペースが部屋中に散らばっていると、探している物がどこにしまわれているのか分からなくなり、家の中で物が行方不明になるということもしばしば。

ウォークインクローゼットで一カ所に荷物をまとめられれば、何か必要な物があった時、とりあえずウォークインクローゼットを探せばいいということになります。これなら、家の中で探し物を大捜索するような事態に陥ることがありません。一人暮らしにとって、ウォークインクローゼットは効率的な収納スペースと言えるでしょう。

スペースを圧迫するのはデメリット

一人暮らしにとってメリットの多いウォークインクローゼットですが、当然いいことばかりではありません。続いてデメリットについても見ていきます。

限りあるスペースを割かなくてはならない

1つ目のデメリットは、貴重なスペースをウォークインクローゼットに割かなくてはならないという点です。一人暮らしでウォークインクローゼットを使う場合、適正な広さは1.5畳程度。荷物が多い人であれば2畳程度は必要とされます。
（出典：Rooch「ウォークインクローゼットとは？使い方や収納のコツを大公開！」）

これだけのスペースを収納に充てるというのは、人によっては抵抗感があるかもしれません。ただ、収納スペースが不足すると物が溢れてしまい、かえって狭く感じる可能性も。片付けるのが苦手な人は、ウォークインクローゼットのある部屋を選んだ方がスペースを有効活用できるでしょう。

ウォークインクローゼット付きの賃貸物件は賃料が割高

2つ目のデメリットとしては、賃貸物件を探す場合、ウォークインクローゼット付きの物件は賃料が割高になりがちという点が挙げられます。

Roochによると、東京23区内・築20年以内の賃貸物件を比較したところ、ワンルームで3万円程度・1K〜2LDKで2万円程度、相場よりも賃料が高いという結果が示されています。ワンルームの場合、ウォークインクローゼットが付いている部屋は広めなので割高になるという面はありますが、総じてウォークインクローゼットがあると賃料相場は高めになるというのは事実。

ウォークインクローゼットの利便性と賃料のバランスは、しっかりと検討する必要があります。

限られたスペースを有効活用した事例

最後に、一人暮らし物件でウォークインクローゼットを設置したリノベーション事例をご紹介します。

こちらのリノベーションでは、かつて和室だったスペースを洋室に変更。部屋の中に仕切り壁を新たに設け、ウォークインクローゼットに仕上げました。元はベッドのある辺りに押し入れがあったのですが、ウォークインクローゼットを作るにあたって撤去。結果的に部屋の面積をほとんど変えることなく、十分な収納を確保できています。

ウォークインクローゼットに収納を一本化することで、部屋がスッキリと開放的な印象になるのもポイントです。

まとめ

一人暮らしの物件では居住スペースを確保することも大切ですが、部屋が物で溢れかえらないよう十分な収納スペースを設ける必要があります。面積が限られているからこそ、ウォークインクローゼットが収納問題を解決してくれる可能性もあるのです。ウォークインクローゼット＝ファミリー向けのものと決めつけず、一人暮らしでも幅広く検討してみることをおすすめします。