家庭の台所コンロや調理台は、ほとんどがシステムキッチンと言っていいでしょう。そして、システムキッチンとひと言でいっても一種類ではありません。それぞれの用途、住宅事情、生活者が何を重視するかで、いくつかのタイプに分かれます。同じシステムキッチンと言えど、家族やパートナーと使う場合と、一人で使う場合とでは求められる機能が異なってきます。
今回ご紹介するのはL字キッチンです。L字キッチンというと、I型キッチンにサイドボードを取り付けて「L」の形をしていると思われがちですが、そうではないようです。以下では、L字キッチンがL字と呼ばれるようになった所以やメリット、そしてデメリットを紹介していきます。
そもそもL字キッチンとは
L字キッチンというと、「調理台の形がLになってるんでしょ?」と思っておられる方も多いでしょう。実は違います。L字キッチンが「L字」と呼ばれる所以は、その特別な配置に基づく機能性にあると言われます。それは、コンロとシンクが90度で向かい合うように設置されている点です。
これがL字キッチンの特徴です。こうすることでキッチンにおける作業動線が短くなり、作業スペースが増える効果もあります。
I型キッチンにサイドボードを取り付けただけのものとの違いはまさにここにあると言ってよいでしょう。
L字キッチンのメリット
それではL字キッチンのメリットを紹介しましょう。大まかにいうとL字キッチンのメリットは作業効率の良さにあります。以下、詳しく紹介します。
L字キッチンは動線が短い
動線とは、建物の中を人が通るであろう経路を線で表したものです。動線が短いほど効率よく行動できます。
既に紹介したように、L字キッチンはコンロとシンクが90度で向かい合うように設置されています。ということは、身体を90度向きを変えるだけで一歩も動くことなく両方で作業できるということです。一方、I字型キッチンの場合には、調理台を行ったり来たりする必要があります。ちょっとした距離と思われがちですが、積み重なるとかなりの長さになりますので、キッチンで食事を作る際の運動量は大きいと言えるでしょう。その差は身体に蓄積されていきます。同じ時間、同じ量の食事を作ったとしても、L字キッチンならば、かなりの運動量を節約できて疲れも少なくすむかもしれません。
広い作業スペース
L字キッチンはキャビネットが二つあります。と、いうことは作業スペースがその分広くなります。作業スペースが広いと複数人で調理する際もストレスが少ないでしょう。L字キッチンの場合、複数人で調理台も使えます。これがI字型キッチンですと調理台のスペースが狭いので、調理台からシンク、コンロへと行き来するのに人をよけたり、また、調理スペースが限られているので二人だと効率が悪くなることもあります。この点が対照的でしょう。
このようにL字キッチンは複数人で作業をしても効率よく作業できる点が特徴です。パートナーやご家族、お子様と一緒にストレスなく料理を楽しむ機会が増えることも期待できます。
高い収納力
L字キッチンはキャビネットが二つあります。したがってI型キッチンの2倍ほどの収納が可能です。キッチンでは使う器具が多いですから収納力が高いのは嬉しいですよね。さらに、L字キッチンは片方の面が壁に密着されている場合が多いので、壁に設置する上棚も使えるということ。L字キッチンの調理台が持つ大容量収納に加えて、上棚にもたくさん食器や調理器具をしまっておける点も魅力でしょう。
L字キッチンのデメリット
さて、L字キッチンのメリットを紹介してきましたが、一方でデメリットもあります。ここで紹介するデメリットをシステムキッチン購入や、リフォームの際の参考にしていただければ幸いです。
デッドスペースが生じてしまう
デッドスペースとは、無駄な空間、すなわち、スペースがあるにもかかわらず物を置くことができない空間を指します。L字キッチンは収納力が高いというメリットがある一方で、L字ですので角の部分にデッドスペースができてしまいます。
ただ、L字の角の部分のデッドスペースは、電子レンジなどの家電置き場、スパイスを置くスペース、ちょっとしたワンポイントとして使う工夫をすれば、そこまで気にはならないかもしれませんね。
狭いキッチンだと設置しづらい
L字は比較的場所をとるキッチンです。ですからキッチンの広さもある程度必要となるでしょう。ただ、狭いキッチンに住んでいる場合には、そもそもL字キッチンを採用しない場合がほとんどですので、この点もあまり気にする必要はないでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。壁付けキッチンの一種でありながら、高い収納力があり、短い動線で使えるL字キッチン。台所のリフォームの際には選択肢のひとつとして検討してみてください。