こんにちは。現場監督ライターのKumaです。今回はコルクタイルをご紹介します。
コルクはコルクガシの樹皮、つまり木の皮です。ワインの栓や掲示板に使われるコルク。木製品の中でも特に柔らかく、様々な用途に使われています。
そんなコルクを使った室内の仕上げ材として、コルクタイルがあります。適度な弾力性があり、断熱性にも優れた製品です。
今回は、意外と知らないコルクの魅力も合わせてお伝えしたいと思います。
コルクタイルの特徴
コルクタイルはコルクを30cm×30cm程度の大きさに形成して使いやすくした材料です。タイルと名前が付いて言いますが、柔らかく弾力性があります。コルクタイルを敷き並べて仕上げ材とします。
そもそもコルクとは?
コルクは、コルクガシの樹皮を剥がして作られます。そう、コルクは木の皮なのです。微細な細胞の中に気泡があるという特徴的な構造を持つことで、さまざまな機能を持ち合わせています。ナチュラルな木製品の中でも柔軟性が高い製品です。
ワインのボトル栓、掲示板の下地、住まいの断熱材、仕上げ材など、コルクの使い道は多岐にわたります。
コルクの採れるコルクガシは、ヨーロッパからアジア全域に自生しています。特に、地中海沿岸で採れるコルクは成長率が安定し、品質に優れた普及品であるとされています。
コルクタイルの機能と使いどころと
床材としてのコルクタイルは、フローリング全般に使うことができます。
コルクの特徴的な細胞構造は、高い弾力性を持ちます。そのため、歩くと感触が柔らかく、万が一転倒しても衝撃を和らげてくれます。また、適度な弾力性が滑りにくさを発揮してくれるので、歩行感の良い床材といえます。
コルクは、高い断熱性も持ち合わせています。これにより、冬場のヒヤリとした冷たさを和らげる効果もあります。夏場はコルクが足の裏の湿気を吸収し、サラリとした足触りを与えてくれます。
コルクは耐水性も高く、浴室周りに使うこともできます。吸水性はわずかで、水分を素早く蒸発させます。
壁に使うとコルクタイルは木目が優しい仕上げ材になります。さらに、吸音素材としても活用できます。
布製品と比較してホコリが絡みにくく、汚れにくいのもうれしい特徴です。
参考:建材としての特長,東亜コルク
コルクタイルの実例とメンテナンス
コルクタイルの製品例
コルクタイルで有名なのは、東亜コルクというメーカーです。コルクを専門に扱い様々な製品を出しています。
○天然オイル仕上コルクタイル / 東亜コルク
コルクは天然素材ですが、仕上げの塗装も天然ワックスを使い有害物質を含まない製品です。低いVOC環境を実現することができる素材です。主に住まいの室内向きです。
○厚塗ワックス仕上コルクタイル / 東亜コルク
土足で使えるよう、厚くワックスコーティングを行った製品です。
○浴室フロア用コルクタイル〈バスコ〉 / 東亜コルク
特殊加工により、浴室の水がかかる場所でも使えるようにしたコルクタイルです。適度な弾力と滑りにくさで歩きやすく、保温性も優れている製品です。
コルクタイルのメンテナンス
コルクタイルは日頃のメンテナンスで長く使うことができます。
日常の掃除は、ホウキや掃除機でホコリを取り除きます。汚れがひどい場合は固く絞った雑巾で軽く拭き取るようにします。特に汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を含めた雑巾で素早く拭き取ります。洗剤成分を水拭きで拭き取り、乾燥させてください。
長く使うためには定期的なメンテナンスが必要です。年1~2回、専用のワックスをつかって表面を保護します。
環境性と廃棄物
コルクは環境に優しい木製品です。採取から廃棄まで、環境負荷が少ない木製品です。
コルクの環境性
コルクの資源性はとても優れています。
コルクはコルクガシの樹皮なのですが、木を伐採せず樹皮のみを剥ぎ取ります。樹皮を剥いだコルクガシは9年程度で元の厚さまで樹皮が再生されます。再生された樹皮は再び採取され、その後、再生するのを待ちます。
コルクガシの寿命は200年程度。その間、9年ごとに樹皮の採取と再生が20回程度繰り返されることになります。
参考:コルクロール・コルクシートができるまで,コルクスタジオ
廃棄物とリサイクル
コルクは使い終わった後も、リサイクルして再度製品として利用できます。
回収されたコルクは、再度コルクタイルやコルクシート、子供のおもちゃやコースター、鍋敷きとして生まれ変わります。とても汚れたり、変色した製品はイリュージョンボードや木毛セメント板の原料として利用されます。
・参考:リサイクルコルクの製造方法、日本コルクリサイクル協会
まとめ
今回はコルクタイルについてお伝えしました。
コルクガシの樹皮を加工して作るコルクタイルは、適度な弾力性があり、断熱性にも優れた製品です。歩く衝撃を吸収してくれるので、歩きやすく、断熱性と吸湿性は快適な感触をもたらしてくれます。また、耐水性もあり水回りにも適した製品でもあります。
コルクは環境負荷の低い木製品でもあります。これからの時代に、コルクのような製品は使いやすいアイテムと言えそうです。
参考文献
・デニス・ジェフリーズ,フロアマテリアル,産調出版株式会社