リノベーションする際、大きな面積を占める天井に手を加えると、ガラリと雰囲気を変えられます。天井は、クロスなどで仕上げられていることが多いですが、仕上げ材を取り払って構造部分をむき出しの状態にする方法があります。これがスケルトン天井です。
中古マンションにおいて、スケルトン天井にするメリットや注意点、スケルトン天井のリノベーション事例をみていきましょう。
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スケルトン天井とは
スケルトン天井は、建物の骨格部分だけになった天井のことです。構造体のコンクリート部分をはじめ、一般的には隠されていることの多い換気ダクトや配管などがむき出しの状態になります。
住宅の天井は、クロスが貼られていることも多いです。クロス貼りの天井は、建物の骨組みの上にボードを張って、その上からクロスを貼っています。スケルトン天井へのリノベーションではボードを撤去し、隠れていた部分をあらわにします。天井をリノベーションすると、部屋のイメージを大きく変えることができます。
スケルトン天井にリノベーションするメリットとは
リノベーションによってスケルトン天井にすることで、得られるメリットを5つご紹介します。
インダストリアルな雰囲気になる
スケルトン天井によって、一般的なクロス貼り天井とは違った、無骨さやクール感のある雰囲気を演出できます。モルタルとの相性も良く、インダストリアルインテリアにもピッタリです。むき出しの天井にライティングレールを張り巡らせ、照明による光の演出をするのも良いでしょう。まるでカフェやショップのような、雰囲気のある部屋をつくれるでしょう。
デザインのバリエーションがある
スケルトン天井は、コンクリートをむき出しにすることで無骨な印象を与えますが、塗装仕上げによって雰囲気を変えることも可能です。コンクリートの素材感を残しつつ塗装していくことで、きれいめな印象に変わります。天井と併せて、露出配管やダクトも塗装すると、雰囲気にマッチするでしょう。スケルトン天井は、オリジナリティが出しやすいです。
二重天井の場合は天井高を上げて開放感アップ
二重天井は、天井スラブとボードの間に空間が設けられており、この空間に電気配線や水道管などを通すことができます。ただし、天井スラブとボードの間にある空間によって、その分天井高は低くなります。スケルトン天井では、ボードを撤去するため、天井スラブの部分まで天井高を上げられます。開放感がアップし、部屋を広く見せられます。
古くなった配管を同時に一新できる
築年数の経過した建物の場合、配管やダクトに劣化がみられるケースもあります。天井裏などに隠れていて通常は見えないため、劣化が進んでいても気付かない場合もあります。スケルトン天井へのリノベーションでは、ボードを撤去するため配管などもすべて見える状態になります。古くなった配管やダクトも同時に一新しておくと、安心して住めるでしょう。
メンテナンスコストを削減できる
クロス貼りの場合、長年住んでいるうちに汚れたり変色したりすると、貼り替えなどのメンテナンスが必要になります。スケルトン天井であれば、貼り替えなどのメンテナンスコストを削減できます。素材感を生かしたラフな仕上げは、色あせや汚れも目立ちにくいでしょう。
スケルトン天井にリノベーションする際の注意点
スケルトン天井には多くのメリットがありますが、押さえておきたい注意点もいくつかありますのでご紹介します。
解体してみないと状態が分からない
ボードを撤去してからの状態は、解体してみないと分かりません。コンクリート躯体の状態がすべて予想通りとはかぎりません。ただ、塗装などで対策する方法もあります。
冷暖房効率の低下
天井が高くなると、その分空間が広くなります。冷暖房をつけた際、適温になるまでに時間がかかります。効率アップのためには断熱材を入れたり、複層ガラスや二重サッシなどを取り入れたりする断熱工事をすると良いでしょう。
上の階の音が気になることも
集合住宅では、騒音トラブルに悩まされることも多いです。スケルトン天井にすることで、上の階から聞こえてくる足音や椅子を引く音、排水管に水が流れる音などが気になる場合もあります。事前にマンションの構造や、コンクリートスラブの厚みをチェックしておきましょう。防音性を考慮して、使用する床材に一定の決まりを設けているマンションもあります。
インテリアはトータルで考えておしゃれな雰囲気に
スケルトン天井にする場合は、壁や床のデザインも併せて全体をコーディネートすることで、インテリアのバランスがとれます。配線計画や照明計画も重要です。配管やダクト、ライティングレールの向きを揃えるなど、どう見せるかという点に配慮しましょう。
スケルトン天井のおしゃれなリノベーション事例
こちらでは、スケルトン天井にしたマンションのリノベーション事例を3つご紹介します。
スケルトン天井で照明が映える空間に
照明の撮影をするスタジオと住まいを兼ねた事例です。部屋の高さを確保し、インダストリアルスタイルにするため、躯体現しの天井にしています。無骨な空間は、照明の良さを引き出しています。
柔らかな光で温かさを加えたインダストリアルスタイル
躯体現しの天井に白壁を組み合わせており、洗練された印象を与えます。ライティングレールに設置されたスポットライトが、白壁に光を反射させて温かな雰囲気をかもし出しています。床にはモルタル風のフロアタイルを取り入れ、インテリア全体に統一感を持たせています。
スケルトン天井を塗装できれいな印象に
こちらも躯体現しの天井ですが、グレーで塗装しているためきれいめな印象です。コンクリートの質感は残しつつ、インテリアにマッチする天井に仕上げています。
まとめ
スケルトン天井とは、構造体のコンクリート部分や配管・ダクトがむき出しになった天井のことです。冷暖房効率の低下や騒音などの注意点もありますが、インダストリアルな雰囲気を演出したり、天井高を上げたりといったメリットがあります。メンテナンスコストも抑えられますよ。リノベーションの際には、スケルトン天井も検討してみてはいかがでしょうか。
writing:ハナミ
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