リフォームで多いのが、和室から洋室へ変更することと言われます。近年、アレルギーやハウスダストが問題視され、畳によるダニやホコリがその症状を悪化させることも指摘されてきました。また、襖や障子は、年に一度程度は貼り替えたり、定期的にメンテナンスする必要があるので、費用もかさみ、面倒と思われがちです。さらに、バリアフリーの観点からも、畳よりフローリングの方が車椅子で移動するのにも便利な傾向にあります。
和室から洋室へのリフォームといっても様々な種類があります。部屋を全面的に変えるものから、床だけをフローリングに変更するものまで様々です。この記事では、和室から洋室へのリフォーム事例と各々のポイントをご紹介します。
畳の和室からフローリング洋室へリフォーム
和室から洋室へリフォームする事例で最もポピュラーなのが、畳からフローリングへ変更する例と言われます。以下で具体的にご紹介していきます。
リフォームのプロセス
畳からフローリングへリフォームする場合、単に、畳を剥がし、フローリングを敷けばいいと考えている方もいるかもしれません。ところが話はそう簡単ではないのです。畳を剥がした後に、下地材の設置工事が必要となります。
なぜなら、畳の厚さは4~5センチあるのに対し、フローリングは1センチ強です。そのまま敷いたのでは、隣の部屋と比べて低くなってしまいます。このため、その段差を埋める工事が必要とされます。また、床の下地には根太(ねだ)という横木があります。畳の場合、それ自体にそこそこ強度があるので根太の間隔も比較的広く取られています。一方、フローリング材は畳ほどの強度がないので、根太の間隔を狭くとって強度を高める必要が生じることもあるのです。
これらに加え、下地に断熱材を入れるケースも見られます。畳は断熱効果があるとされるのですが、フローリングでは寒いときに冷えてしまうことが予想されます。このため、その対策が必要となる場合が考えられます。
マンションで考慮すべき点
マンションで畳からフローリングにリフォームする場合、注意すべき点があります。それは防音基準でしょう。一般に、フローリングは畳よりも防音性に劣ります。マンションなどの集合住宅では防音規定やフローリングの遮音等級を定めている場合があり得ます。事前に管理規約で確認しましょう。
フローリングの遮音等級はどうやって調べるかというと、業者に任せてもいいのですが、フローリング材には「L値」というものが表示されています。数字が低いほど防音性に優れています。一般ではL値45以下なら防音規定を満たすとされていますので参考にしてみてください。
なお、現在のフローリング材の主流である合板フローリングの場合、メーカーが防音基準を満たすように設計・製造している場合がほとんどと言われますので、一般的には防音基準はクリアされていると考えてよいでしょう。
これに対して、無垢のフローリング材の場合、防音性が低いのでフローリング材の下に防音素材を敷く必要が生じることもあります。無垢のフローリング材を使用する場合はお気を付けください。
壁や天井を和室から洋室へリフォーム
和室の壁や天井を洋室にリフォームする方法は、壁紙の交換が主流とされます。その際、壁と床、壁と天井のつなぎ目には巾木(はばき)や廻り縁で仕上げます。見た目が良くなるほか、壁紙を家具や掃除機などの衝突による破損から守る役割を果たします。
ところで、一戸建ての場合、和室と洋室とでは部屋の構造が異なることはご存じの通りです。詳しくは、和室の場合、柱が露出する構造になっています。これを真壁といいます。これに対して洋室の場合、柱が外から見えないような構造になっています。これを大壁といいます。和室から洋室へリフォームするとき、真壁を大壁に直す必要があります。
具体的には、耐火ボードで柱が出ている部分に他の壁の厚みを合わせ、柱を見えなくします。なおマンションの構造では、和室も大壁である場合がほとんどですので、一戸建てのように真壁から大壁にリフォームする必要はないでしょう。
和室押入れを洋室クローゼットにリフォーム
押入れは布団の収納に向いている収納スペースと言われます。ですから、真ん中で仕切られています。上段に布団を収納することで、腰をかがめないで布団を出し入れできる構造となっているのです。また、床に直に布団を置かないので、布団に湿気がたまりにくくなります。
しかし、ベッドで寝る習慣が一般的になると、布団を押入れに収納する事も少なくなります。押入れの中二段はデッドスペースになりがちです。そこで、押入れをクローゼットにリフォームしたいというニーズが高まります。このリフォームで収納をより無駄ないスペースに変えるメリットが生まれるかもしれません。
押入れリフォームのレベルは様々です。襖と中二段を取り去るだけの簡単な工事や、ハンガーパイプと折れ戸を新たに取り付ける工事も。各自の目的と予算に合うリフォームを検討してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。和室から洋室へのリフォームといっても、いろいろな種類やプロセスがあることがおわかりいただけたでしょうか。それぞれの目的・予算に合わせて素敵なリフォームを実現してくださいね。