一戸建ての家に和室を設けられている方も多いのではないでしょうか？和室といえば、砂壁を導入しているところも多いのでしょう。
ただ、砂壁には寿命があります。古くなってしまった砂壁は、パラパラと表面の砂が落ちてしまったり、部分的な剥がれがおきたり、シミが浮き出てきたりします。
今回はそんな砂壁をうまく安くリフォームするための耳寄りな情報をお届けします。 

砂壁を塗り替える

砂壁は、和式の家に見られる床の間などに多く、独特の趣や風情があり、高温多湿な日本の気候にマッチした調湿性のある壁材です。天然素材の壁材に色砂を糊で練って上塗りしたものをさします。この色砂には天然砂・砕石・金属粉・色ガラス粉・貝殻粉などが使用されます。
見た目にも美しく、心を落ち着かせる効果があるのですが、砂壁は経年劣化が顕著で、時間が経つとボロボロと落ちてきたり汚れやカビが発生することもあります。定期的なメンテナンスが必要な壁材といえるでしょう。
ただ、砂壁本体の塗り替えには高度な技術が必要なため、素人のDIYには向きません。
現在では、砂壁を砂壁として維持させるだけではなく、漆喰や珪藻土に塗り替える方法もあります。今回はこの塗り替えにスポットを当てて解説します。

砂壁塗り替えにおすすめの2つの天然素材の壁材

砂壁の塗り替えには、漆喰や珪藻土がおすすめです。

漆喰

漆喰とは、消石灰（水酸化カルシウム）を主原料とした塗材のことです。天然の石灰石を焼いて水を加えると消石灰が出来上がります。これに糊などを加え、壁塗りに適した粘度にしたものが漆喰です。最近登場した新しい素材ではなく、日本国内でも古くから使われている塗材で、乾燥後の白く滑らかな表面が特徴です。
 石灰石はサンゴ礁がルーツです。壁に太古の海を感じるのもオシャレですね。
 さて、この漆喰ですが、2つの大きな特徴があります。

 「漆喰は呼吸する」 

消石灰は、時間をかけて石灰石に戻ろうとします。その際にまわりの二酸化炭素を吸収し自身の水分を放出するのです。この循環が部屋の居住性を高め、過ごしやすい空間を形作ります。
また、漆喰壁が呼吸をすることで、冬場の「乾燥」や夏場の「湿気」を防ぐ効果が期待できます。この調質機能は結露でお困りの住宅にはうってつけの壁材と言えます。

「漆喰は燃えない」 

不燃性の建築素材として古くから知られています。
昔からある「蔵」の内壁にも漆喰が使われており、収蔵品を湿気や乾燥、そして火事から守ってきたといわれています。気密性に優れた現代住宅にも最適な壁材と言えるでしょう。

珪藻土

ここ数年、コースターやバスマットで人気の珪藻土ですが、壁材としても有能です。
ではこの珪藻土とは何でしょうか？珪藻土とは、珪藻（珪酸質の殻を持つ、単細胞性の藻類）が死滅後海底や沼などに堆積し有機物がぬけてできた二酸化ケイ素が主成分の岩石などを固めたものです。消石灰に似て、こちらも水中生物がルーツです。
特徴は、「湿気を吸収する」「消臭効果がある」「吸音効果がある」「燃えない」といった点が挙げられます。
このうちのはじめの3点に関しては珪藻土の組成に関連しています。珪藻土のなかには無数の小さな穴があいています。この穴が湿気・臭い・音を吸収するです。
湿気吸収効果を前述の漆喰と比較すると、珪藻土は20%増しで吸収します。

砂壁を他の天然素材の壁材に塗り替えるメリットとデメリット

砂壁を漆喰や珪藻土に塗り替えるメリットとデメリットについて解説します。

メリット

砂壁の塗りなおしは高度な技術が必要となるため、素人のDIYには適しません。業者に頼みましょう。
しかし、漆喰壁や珪藻土壁であれば、塗り方など難しい点もありますが素人でも挑戦できる範囲内です。自前で施工する場合は格安で仕上げることが可能です。
砂壁のように時間が経っても壁がボロボロにならない点もメリットといえるでしょう。塗り方を工夫するとひび割れも発生しづらくなります。

デメリット

砂壁採用時とお部屋の雰囲気が変わります。漆喰も珪藻土もベースは白色です。塗り材によってはカラーバリエーションもありますが、一般的な砂壁に比べると、お部屋の印象は明るくなります。和室に落ち着いた雰囲気を求めたい方には、リフォーム後長く違和感が残るもしれません。

砂壁に塗り替えた事例

リフォーム写真を以下に掲載します。

漆喰採用事例

珪藻土採用事例

砂壁を塗り替える際の注意点

リフォームの際に注意することを列挙します。

シーラーは必ず塗る

シーラー（下塗り塗料）は塗り替えのベースとなる砂壁を定着させ、またアクの発生を防ぐ効果があります。シーラーを塗り、完全に乾燥したのち、漆喰や珪藻土を塗っていきましょう。

1度で仕上げようとしない

塗りムラができてくるのは自然なことです。まずは1度全て塗ってしまってから、乾燥させることをおすすめします。その後に気になる箇所があれば、重ね塗りをしていきます。
また、ムラや毛羽立ちが味になって愛着が沸くこともあります。あまり神経質にならずに進めることが大事です。

砂壁塗り替えの際のリフォームの相場

もちろん「自分では手が出しにくい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
砂壁の塗りなおしや漆喰壁・珪藻土壁への塗り替えを業者に依頼した場合の相場をご紹介します。

手配代金（参考価格：和室6畳20m2の壁があると想定）

砂壁塗りなおし：15万～25万円
漆喰への塗り替え：8万～15万円
珪藻土への塗り替え：12万～20万円

参考：左官塗替工事の適正価格
参考：漆喰のリフォーム費用の目安を分かりやすくご紹介! メリットやデメリットもお教えします
参考：珪藻土リフォームの費用相場とポイント

また、壁材にはいろいろな種類があります。高級なもの、接着剤が天然のものなどを選んでいくと自然と価格は上がります。

※壁材価格の参考情報
参考：強浸透性水性シーラー3L
参考：漆喰　壁
参考：フジワラ かんたん安心珪藻土 10KG アイボリー

まとめ

今回は砂壁を利用した和室のリフォームについて解説しました。
砂壁の塗りなおしは難しいですが、今回ご紹介したような塗り替えであれば、DIYでチャレンジしている方は多くいらっしゃいます。塗り材に関してもホームセンターで買いそろえる事が可能です。
もし和室の砂壁のダメージが気になっていたら、これを機会にリフォームしてみませんか？