Column

キッチンの救世主「パントリー収納」大全〜特徴から費用相場まで〜

キッチンに隣接する収納スペースとして、すっかり定着してきた印象のあるパントリー。名前は知っていても、機能やメリット・デメリットについてはよく知らないという人も多いかもしれません。この記事では「パントリー収納大全」と題して、パントリー収納に関するあれこれを徹底的に解説していきます。

食材ストックや防災倉庫として有能なパントリー収納

まずは、パントリーがどのようなスペースなのか見ていきましょう。パントリー(pantry)とは英語で食料貯蔵室や食料保管庫を示す言葉で、ホテルや飛行機の配膳場を指す言葉としても広く用いられます。欧米の家では一般的に見られる設備ですが、狭い日本の家ではあまり見られませんでした。

ただ、最近では日本の家でも設置されることが増えてきています。日本でもパントリー収納が広まっている背景として、ライフスタイルの変化が挙げられます。共働き世帯の増加や防災意識の高まりにより増えた食材ストックの保管場所として、パントリー収納が見直されていると言えるでしょう。

パントリー収納のメリット

昨今、設置する家が増えているパントリー収納。パントリー収納を設置することで、次のようなメリットがあると考えられます。

メリット1:買い溜めした食材を収納できる

週末やお買い得日に買い溜めした食材の収納場所として、パントリーは最適。床下収納だと取り出すのが大変ですが、パントリーなら気軽に取り出せるので日常使う食材を収納しておくにも便利です。新型コロナ感染拡大以降は在宅時間が増え、食材ストックが増えている家も多いでしょうから、パントリー収納の意義はますます大きくなっていると言えます。

メリット2:防災倉庫として活用できる

農林水産省によると、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上かかる場合もあることから、最低でも家族全員の3日分〜1週間分にあたる食材をストックしておくことが推奨されています。
(出典:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」)

上記のガイドでは、普段の食材+αを常にストックしておき消費期限の古いものから食べていく「ローリングストック」という方法が紹介されていますが、家族全員分のストックを置いておくにはそれなりのスペースが必要です。さらに、いざという時にすぐ取り出せなければストックの意味がありません。こうしたことから、食材をすぐに取り出せるパントリー収納は防災倉庫としても有能なのです。

メリット3:キッチンをスッキリできる

リノベーションでどれだけキッチンの内装にこだわっても、食材・食器や調理家電が雑多に置かれていては台無し。散らかりがちなキッチンをスッキリさせたいなら、パントリー収納の設置を検討したいところです。取り出しやすい位置には普段使いの調味料やクイック食材など、低いところには米や水など、高いところにはたまにしか使わない食材を入れておけばOK。キッチンの物を減らすことができるので、普段の掃除も楽になります。

パントリー収納にはデメリットもある

数多くのメリットがあるパントリー収納ですが、もちろんデメリットもあります。主なデメリットとしては次のような点が挙げられるでしょう。

  • ある程度まとまったスペースが必要
  • スペースに余裕ができるため、食品の賞味期限管理を忘れがちになる
  • こまめに掃除しておかないと害虫や悪臭の原因になる

当然ですが、ある程度広さがないと使い勝手が悪いものになってしまいます。キッチン周りの収納で事足りるのであれば、別にパントリー収納を設置する必要がない場合もあるでしょう。

パントリー収納はこんな人におすすめ

ここまで読んで、「私の家にはパントリーがあった方がいいのだろうか?」と疑問に思った人もいるかもしれません。次のようなライフスタイルや思考に当てはまる人は、パントリー収納の設置を検討するのがおすすめです。

  • とにかくキッチンに物を増やしたくない、スッキリ見せたいという人
  • 買い物の頻度が少なく、1回で大量に買い溜めする人
  • 外食をあまりせず、家で料理することが多い人
  • 家族の人数が多く食材ストックの量が多い人
  • ホームパーティーなどで来客頻度の高い人

上記とは反対に一人暮らしや二人暮らしで外食がメイン、という人であればそもそも食材ストックが少ないので、パントリーは特に必要ないでしょう。

キッチンにパントリーを新設する際の費用相場

最後に、これからリノベーションでパントリー収納を新設する場合の費用相場について、簡単にご紹介しましょう。

パントリーと一口に言っても、大きく分けて「壁付タイプ」「ウォークインタイプ」「ウォークスルータイプ」の3種類があります。比較的簡単に設置できる壁付タイプに対し、ウォークインタイプやウォークスルータイプは間取り変更の必要があるためコストが余計にかかります。

WEBサイト「オリーブオイルをひとまわし」によると、パントリー設置にかかるコストは、壁付タイプのような簡易パントリーで5〜10万円程度。ウォークインタイプやウォークスルータイプのような仕切りのあるパントリーになると20〜50万円程度はかかる、とされています。

できるだけ安価にパントリーを設置したいなら壁付タイプ、収納力や機能性を高めたいのであればウォークインタイプやウォークスルータイプを選択するのがいいでしょう。

まとめ

リノベーションでの採用例も増えてきているパントリー収納。食材ストックの保管庫としてだけでなく、いざという時に備えた防災倉庫としても有能な使い勝手のいい収納スペースです。キッチンの機能性を高めたいと考えているなら、パントリー収納の設置を検討してみてはいかがでしょうか。検討する際にはコスト・収納力・機能性のバランスを見て、どのタイプが最適か検討することをおすすめします。