日本最古の正史とされる日本書紀の中で宮殿建築に使うといいとされたヒノキは、古くから日本人に愛されてきた高級木材です。水や湿気に強く、抗菌性にも優れている木材なので、日本の気候や風土にもマッチしてきたのでしょう。今回は、そんなヒノキの特徴やフローリングとしてのポイント、費用感などを解説していきます。
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日本を代表する高級材ヒノキってどんな木?
まず、ヒノキとはどのような木なのか見ていきます。ヒノキは日本の他、中国や台湾など東アジアにかけて分布しているヒノキ科ヒノキ属の針葉樹。スギと並んで多く植林されている樹種ですが、スギに比べると分布域は狭めで、福島県より南の本州・四国・九州の山地で見られます。生長すると20〜30mの高木となり、大きいものだと高さ50m・直径約2.5mにもなります。
(参考:岡山理科大学 旧植物生態研究室)
冒頭でもご紹介した通り、ヒノキは日本を代表する高級木材として重宝されてきました。法隆寺や東大寺といった歴史的建築物がヒノキで造られていることからも、いかに昔からヒノキと日本人が密接に関わってきたかをうかがい知ることができます。伊勢神宮で20年に1度行われる式年遷宮でお宮が建て替えられる際に、大量のヒノキ材が使われることをご存じの方もいるのではないでしょうか。
なお、台湾には変種の「タイワンヒノキ」が広く分布しており、こちらも日本の寺社建築や琉球時代の沖縄で高級建築材として用いられてきました。
ヒノキでできたフローリングの特徴
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日本人にとって馴染みの深いヒノキは、フローリング材として次のような特徴を持っています。
突出した高い耐久性
ヒノキフローリング最大の特徴が、他の無垢材と比較しても突出した高い耐久性です。世界最古の木造建築と言われる法隆寺でもヒノキが使われており、地震大国・日本において約1,300年もの間姿を留めていることからも、ヒノキの耐久性がいかに優れているかがおわかりいただけるでしょう。
なんとヒノキは伐採してから200年間は木材として強度が高まっていくと言われ、200年後以降は徐々に弱まっていくものの、実に1,000年以上にわたって伐採時以上の強度を保つと言われているのです。ヒノキの無垢フローリングは、長期間家族の暮らしを支えてくれるパートナーになります。
(参考:森林・林業学習館)
ただし、表面が柔らかくて滑らかなため、広葉樹に比べると摩耗や衝撃によって傷つきやすい点は要注意です。
豊かな香りと嬉しい作用の数々
ヒノキ風呂と言えば、豊かな香りが楽しめる贅沢な空間というイメージがありますよね。ヒノキのフローリングも、ヒノキが持つ独特の豊かな香りを楽しむことができます。ヒノキの香りにはリラックス効果があると言われる他、香り成分には抗菌・防虫・消臭といった効用が期待できるものも含まれると言われているのです。詳しくはこの後解説していきます。
殺菌や防虫効果も期待できるヒノキ
日本でヒノキが古くから建材として用いられてきた理由の一つとして、殺菌や防虫効果が期待できるからという点が挙げられます。高温多湿な日本の気候の中では、ヒノキ材の持つ優れた特徴が重宝されてきたのです。
国産ヒノキには、α-カジノール・T-ムロロールなどのセスキテルペン(化学物質の一種で、フェロモンや防衛物質として動植物の中に含まれる物質)が含まれていることが知られています。これらの物質に抗菌作用が期待されているのです。
(参考:株式会社マルホン)
なお、木材に含まれる抗菌・防虫成分として「ヒノキチオール」が知られていますが、国産ヒノキにはほとんど含まれていません。ヒノキチオールは、物質発見のきっかけとなったタイワンヒノキやヒバに多く含まれる成分です。
ヒノキの費用は?他の無垢材との比較
高級木材のヒノキですが、実際の費用相場はどれくらいなのでしょうか。他の無垢材と比べてみましょう。記載の価格はすべて1平米あたりの単価です。
- ヒノキ:5,000円〜15,000円程度
(針葉樹)
- スギ :2,500円〜8,000円程度
- パイン:4,500円〜8,000円程度
(広葉樹)
- バーチ:4,500円〜8,000円程度
- オーク:5,000円〜10,000円程度
- ウォールナット:9,000円〜15,000円程度
こうして比べると、確かにヒノキは全般的に価格が高め。木曽ヒノキ・吉野ヒノキ・尾鷲ヒノキなどのブランド材は希少性が高い高級品ですが、ブランド品でなければ比較的リーズナブルなものも流通しているので、品質や産地など幅広く検討してみるのがおすすめです。
ヒノキのお手入れ方法
耐久性が高いヒノキのフローリングだからこそ、正しくお手入れして長く大切に使いたいもの。ここからは、ヒノキフローリングのお手入れ方法について解説していきます。
ヒノキのみならず無垢フローリングの塗装仕上げとしては次の3種類があります。
- 浸透性塗料(オイル塗装仕上げなど)
- 造膜型塗料(ウレタンクリア、UVウレタンクリア塗装仕上げなど)
- 無塗装
針葉樹であるヒノキは表面が柔らかく傷つきやすいため、無塗装でフローリングに使うのはおすすめできません。何らかの塗装を施して使うことがほとんどなので、浸透型塗料・造膜型塗料仕上げそれぞれについてお手入れ方法をご紹介します。
浸透性塗料仕上げのお手入れ方法
天然オイルなどを内部に染み込ませることで、無垢材を保護する浸透性塗料仕上げ。ヒノキが持つ温かい質感をそのまま生かせる反面、造膜型塗料仕上げと比べると傷つきやすい点は注意が必要です。日常のお手入れは雑巾やフローリングワイパーを用いた乾拭き、表面に傷がついた時にはサンドペーパーで表面を削って補修するのがおすすめです。また、年1回程度塗料の塗り直しが必要となります。
造膜型塗料仕上げのお手入れ方法
表面に塗膜を張ることで無垢材を保護する造膜型塗料。ヒノキの弱点である傷つきやすさをカバーしてくれるおすすめの仕上げです。造膜型塗料も乾拭きで十分ですが、塗り替えを前提としていないため、サンドペーパーによる補修は避けたほうが無難。塗料の塗り替えは不要なものの、専用のワックスを定期的に掛けるとフローリングを長持ちさせられます。
まとめ
日本書紀の時代から日本人に愛用されてきた高級木材・ヒノキ。フローリングに使用することで、日本の気候や風土にマッチした快適な空間を作り出すことができるかもしれません。ブランド木材でなければお手頃な価格のものもありますので、リノベーションの際にはヒノキの無垢フローリングを検討してみてはいかがでしょうか。
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