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シンボルツリーに何を選ぶ?アメリカで人気の庭木7選 

家を購入したり、外構リフォームの際に、シンボルツリーを植えたいと考える方は多いですよね。家の印象を左右する大切なテーマですが、多くの選択肢があるため決めるのは簡単ではありません。

そこで、庭づくりにこだわりの強いアメリカで選ばれている庭木を参考にしてみませんか。今回は日本でも取り入れやすい庭木7選をご紹介すると共に、その役割についてもお伝えしていきます。

シンボルツリーってなに?

その名の通り、住まいの顔・象徴として植えられる庭木のことです。

シンボルツリーという言葉そのものは日本のガーデニング業界で独自に広まっているものですが、アメリカにも多少のニュアンスの違いはあれど、specimen tree(景観のポイントとなる木。通常、少し珍しい形や質感の木を指す)でfocal point(フォーカルポイント、視点が集中する箇所の意)を作る、といった、日本のシンボルツリーと似たような概念があって、魅力的な庭をデザインする上で正しい木の選択と配置はとても重要とされています。

いずれにせよ一度植えたあとは、その家と共に長い時間をかけ成長していくものなので、将来を見据えて生育環境に合った木を選び、愛着を持って育てることが大切になります。

シンボルツリーの役割

シンボルツリーには以下のような役割があります。

外観のポイントになる

例えば、家の前に背の高い木をシンボルツリーとして配置して見る人の視線を引き上げれば、実際より大きく広がりを感じる空間を演出できます。また、日本庭園のような和の雰囲気を出したい、異国情緒を漂わせたい、色鮮やかな花で華やかにしたい、といった理想のイメージを完成させるための表情を加えることも可能になります。

目隠しになる

落葉の少ない常緑樹なら、年間を通して外部からの視線を遮りプライバシー保護になります。グリーンで作る目隠しは、家と街並みに自然に溶け込んで柔らかい印象になります。

シェードをコントロールする

落葉樹を効果的に配置すれば、葉の茂る夏は直射日光を遮って涼しく、葉が落ちた冬は陽だまりを作って暖かく、というように季節に応じたシェードのコントロールができ、冷暖房効率も上がります。

環境保護に繋がる

花を咲かせる木は花粉を運ぶ小動物の餌になり、実のなる木は鳥や人間の食べ物になって、生態系を助け環境保護に繋がります。気候変動の激しい現代においてアメリカでも関心の高いテーマで、庭木を選ぶ際に考慮されることがあります。

アメリカの家で人気の庭木7選

それでは実際にアメリカの庭でよく採用され、且つ、日本でもシンボルツリーとして取り入れやすい庭木7選をご紹介します。

Japanese maple(もみじ)

日本原産の落葉樹。季節ごとの葉色の変化とユニークな樹形から、アメリカでもフォーカルポイント用庭木の定番です。洋風の家にもよくマッチして温かみのある表情を加えます。

Dogwood(ハナミズキ)

春の訪れを知らせる白やピンクの花(実際には総苞片と呼ばれる葉の一部)、結実から紅葉と、年間を通した変化が魅力の落葉樹。歴史的にもアメリカ国民に最も愛されている木のひとつです。大正時代に東京市長がワシントン市にサクラの苗木を贈り、その返礼として日本に贈られました。

Magnolia(マグノリア)

華やかに咲く大ぶりの花が魅力の落葉樹。家の庭はもちろん、公園や学校、または街路樹として、多くの場所で目にします。アメリカでも品種改良が盛んに行われていて、樹高や色の選択肢も豊富。ミシシッピ州とルイジアナ州のstate flower(州の花)でもあります。

Crabapple(クラブアップル)

庭に果樹を植える家がとても多いアメリカで、定番人気のひとつがクラブアップル(小さいリンゴ属の総称)です。アメリカの絵本作家で園芸家でもあるターシャ・テューダーの庭に咲き誇るクラブアップルは、ガーデニング愛好家の憧れですね。

American Holly(アメリカヒイラギ)

赤い実がつく常緑の広葉樹。寂しくなりがちな冬の庭を魅力的に見せてくれます。葉にトゲトゲがあるのでセキュリティ確保の目的でも使うことができます。

Olive(オリーブ)

地中海原産の常緑樹。渋いグリーンにシルバーがかった、ニュアンスのある葉色がスタイリッシュ。地植えにして大きく育てることはもちろん、鉢植えでコンパクトに楽しむこともできるので、スペースの限られた都市部のモダンな集合住宅でもよく見ることがあります。

Conifers(針葉樹の総称)

1年を通して鮮やかなグリーンの葉色が楽しめる常緑の針葉樹の総称。屋根より高い木でシンボリックに、鉢植えで玄関周りのアクセントに、並べて植えて目隠しに、と品種によって使われ方も多様です。冬にはオーナメントやライトを使ってクリスマスデコレーションを楽しむ家庭も。

まとめ

いかがでしたか。長く続いたコロナ禍で人々の行動範囲に制限がかかる中、身近にある木や緑地がもたらす良い影響も改めて注目されています。

木のある豊かな暮らしを長く楽しむためにも、シンボルツリーを決めるにあたっては目的や好みのほか、住宅事情、気候条件、土壌やお手入れの有無など、考慮すべきポイントをじっくり検討し、お気に入りの一本を見つけてくださいね。

writing:チチ(アメリカ在住)