冬、寒いのが苦手という方は多いでしょう。女性の方からよく聞きますが、男性でもやはり寒いものは寒く感じます。寒さに耐えかねているときに、リノベーションの計画があれば床暖房を検討された方は多いと思います。
冬場にポカポカな床暖房は、とても魅力的な暖房設備です。頭寒足熱の状態に近くなり、冬場の快適性が上がります。また、無垢の床も足触りの良い快適な空間を作れます。
この二つを同時に取り入れることはできますが、いくつか注意が必要です。今回は快適性を高めてくれる床暖房と無垢材のお話です。
無垢材で床暖房は入れられる?
無垢の床材に床暖房は入れられます。
根強い人気がある床暖房は、冬場にとても活躍してくれます。同じく無垢の床材も人気です。この二つを組み合わせて取り入れる場合どうしたらよいのでしょうか。
無垢の床材は床暖房対応品を使う
床暖房を入れると、フローリングの目地にスキマができるというお話を聞いたことはないでしょうか。木材を使うと木の収縮が起こります。床暖房は木の収縮を促すためスキマが開きやすくなります。
無垢の床材の場合、フローリングよりずっと収縮が大きいので床暖房専用に加工された無垢材を使うことが重要です。床暖房専用に加工された無垢材は、乾燥を十分行ったうえで熱処理を加えているものが多く、収縮がとても少ないのが特徴です。
また、無垢材の仕上げ方法も影響します。オイルステン系の塗料は木の調湿効果を妨げませんが、床暖房を使うときは調湿効果による収縮が大きくスキマが大きくなる傾向にあります。
材料も影響します。クルミやハードメイプルに代表されるような寸法安定性の高いものを使うと乾燥したときのスキマが小さくなります。
床暖房は低温式、かつ硬式パネル方式を使う
床暖房には大きく分けて温水式と電気式の2種類があり、温度も高温式と低温式の2種類があります。床材に向いているのは低温方式、かつ木質ハードパネル式が向いているというのが主流です。
暖房方式は温水式・電気式のどちらも使えます。
無垢の床材に合わせるには低温方式を採用します。高温式より温度が上がりにくいので、収縮が押えられスキマ予防になります。
また、木質ハードパネル式を採用することにより、床材の止め付け部分が増えるので「あばれ」が小さくなります。小根太方式は、フローリングに合わせて根太の間隔が広いものが多く無垢の床材には向いていません。
床暖房と無垢材を両方入れるメリット・デメリット
メリット
床暖房と無垢材の両方を入れるメリットは快適性です。
床暖房は、冬場一番冷たくなる床の温度を上げてくれます。頭寒足熱。古来より足元が温かいと血の巡りがよくなり健康を保てると言われています。床暖房は足元が暖かいので、室内の暖房をそれほど利かせなくても暖かく過ごせる環境ができます。
無垢材は、足の裏の余分な水分を吸ってくれるため足触りがよくなります。
床暖房は足元が温かい分、足の裏に余計な汗をかきやすくなります。一般的なフローリングは表面を汚れ防止のためウレタンコーティングしていますが、汗を一切吸いません。そのためペタペタとした不快な感覚を覚えます。一方無垢材は、基本的にウレタンコーティングを採用せず木材が持つ吸放湿性を生かします。この特性が足の裏の余分な水分を吸い取り、快適な足触りを提供してくれます。
デメリット
床暖房と無垢材を組み合わせたときのデメリットは、板どうしにスキマが開いてしまうことです。
無垢材は、湿気を吸放出するときに少しだけ伸びたり縮んだりします。それがスキマの原因です。
木材は空気中の水分を吸放出する特性があり、無垢材のよいところでもあります。床暖房は床板を温めます。湿度が少ない冬場、床暖房をつけて床材を温めるといつもより多くの水分を空気中に吐き出します。水分を吐き出だした床材は縮んでしまい、スキマができる原因になります。
予防には専用の熱処理を施した床材やクリなどの寸法安定性の高い床材を使うことが、スキマを少なくする方法です。
気を付けるべきポイント
床暖房と無垢材を組み合わせる時に気を付けるべきポイントは3つです。
この3つの注意点を順番にご紹介します。
■無垢材の収縮に注意
無垢材は床暖房対応の物を使います。出来れば小幅の物を採用します。
床暖房対応の製品は、寸法安定性がよく使用中もスキマがあまり目立ちません。特殊な熱処理を行っているものが多いので伸びも縮も少ないのが特徴です。
また、一枚の板に小幅のものを採用することでスキマを分散して目立ちづらくします。一枚の幅が広いと縮が大きく、スキマが目立ってしまう原因になります。
■床暖房との相性
床暖房は、低温式で木質ハードパネルを採用する。
床暖房には高温式と低温式の2種類がありますが、無垢材には低温式が適しています。低温式は床材を必要以上に加熱しないところが無垢材へのメリット。高温式は温まるのが早く快適ですが、表面温度が高温になるため、無垢材も熱の影響をより多く受けてしまいます。
また、木質ハードパネルもあれば採用したいところです。木質ハードパネル式は床材を留め付ける場所が多いので、無垢材の暴れを抑制できます。小根太パネル式は303mmピッチで留めていきますので、どうしても留めが甘くなることがあります。
■敷物を敷かない
床暖房の使い方ですが、カーペットやラグなどの敷物は使わないことが重要です。
床暖房を使うと、カーペットやラグに熱がこもってしまい無垢材のスキマができる原因です。また、湿気もこもりやすくなりますので無垢材が変色してしまう原因にもなります。
まとめ
今回は床暖房と無垢材の組み合わせについてお話ししました。
注意しなければならないのは、お互いの組み合わせ。無垢材は床暖対応のものを使用し、床暖房は木質ハードパネルをできれば使ってスキマを抑えるように努めることです。
床暖房も無垢材も、快適さを向上させるのに非常に良い設備・仕様の組み合わせです。リノベーションでも新築でも、取り入れる際はこれらの注意が必要です。