モルタル仕上げは左官職人が一つずつ手作業で作っていきます。その工程で現れる色とコテのムラの独特な風合いが魅力です。壁や床一面全体をひとつづきのシームレスな仕上がりにできるのも人気の理由かもしれません。
この独特な風合いのモルタル仕上げは、大きく5種類に分けられます。中でも金鏝仕上げと刷毛ひき仕上げはよく知られています。モルタル仕上げは材料と仕上げ方法により、表情を変えるのも、また魅力です。
今回はそんなモルタル仕上げの魅力と種類をご紹介します。
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モルタル仕上げは独特の風合いが魅力
モルタル仕上げは独特の風合いが魅力です。これは、左官職人が手作業で仕上げをすることにより生まれます。
モルタル仕上げの独特の風合いを作っている3つの要素を一つずつ紹介していきたいと思います。
1.微妙なムラが見せる表情
モルタル仕上げは色ムラ、コテムラが魅力です。
例えば、このリノベーション物件は、リビングにひとつづきになるよう土間を採用した物件です。
手前の土間から、ガラス引き戸を隔て奥まで土間が広がっていますが、モルタル仕上げの表面に職人さんが丁寧に均した金鏝の跡が絶妙なムラとなって、柔らかな光を反射しているのがわかります。
こちらはまた別のリノベーション物件の写真です。なんと、天井をモルタル仕上げとしています。
モルタル仕上げの色ムラ、コテムラが、クロスや塗装では出せないような豊かな表情を作り出しています。
2.シームレスな仕上げ
モルタル仕上げは壁一面、あるいは床一面をひとつづきのシームレスな仕上げにできることが魅力です。
これは、他の材料で実現するのがなかなか難しいことです。というのも、多くの壁材や床材は一つ当たりの大きさが決まっているので、どうしても継ぎ目ができてしまうからです。モルタル仕上げなら、継ぎ目のない仕上げを実現できます。
3.職人の技
職人さんの技量が大切な理由は2つあります。
1つ目は、均一な仕上がりが見栄えをよくする点です。モルタル仕上げの特徴である色ムラやコテムラを、全体に、均一に仕上げることがモルタル仕上げの美しさの一つであり、職人さんの腕の見せ所でもあります。
均一な色ムラという表現は一見矛盾しています。でも、壁の端と真ん中で様子が異なったら違和感がありますね。違和感がないように均一に仕上げる技量が必要になります。
2つ目は、不具合を抑えて、美しさを長持ちさせる点です。きれいに出来上がったモルタル仕上げも、住み始めてすぐにヒビ割れや変色、剥離などのトラブルが起こるようでは困ります。こうした不具合の原因の大半は工事中にあります。原因を取り除き、きれいな仕上げ面を作るのが職人さんの技量になります。
極端な色ムラや変色が出ないように適切に養生をする。ヒビ割れしないように材料の塗り厚さを均一に保つ。気温や湿度によって材料の配合を調整する。モルタルが十分固まるように時間を作る。不具合を抑えて、美しさを長持ちさせるのも職人の技量にかかっています。
モルタル仕上げの種類
左官職人さんが一つずつ仕上げるモルタル仕上げですが、いくつかのパターンがあります。仕上げパターンと材料、この2つをセットで選ぶことで、目的や好みに合わせた仕上げを得ることができます。
モルタル仕上げを取り入れたい場合は、塗り見本を見せてもらってから選ぶことが大切です。微妙な色合いや凹凸は写真ではわかりません。その時の材料や気温、湿度、天候、職人さんによっても微妙に異なります。実際に施工された壁や床を見ておけばイメージが大きくズレることはないでしょう。
金鏝押さえ仕上げ
金属のコテでモルタル表面を滑らかに仕上げる方法です。室内の壁や床、外壁、外構まで幅広く使われる仕上げ方法です。
モルタル仕上げは、使う材料と押さえ方によりたくさんの仕上げパターンがあります。漆喰や珪藻土、特殊配合モルタルで色味や風合いが決まります。金鏝押さえは、滑らかな方から「磨き」「押さえ」「撫で」と荒くなります。
材料に適した押さえ方を組み合わせることで、材料が持つ魅力を十分に引き出します。
刷毛ひき仕上げ
刷毛ひき仕上げは、モルタル表面をザラザラとした状態に仕上げる方法です。ホウキで掃いて、表面のモルタルを毛羽立たせたような仕上がりです。
屋外では、雨によってスリップしないよう、ザラザラとした状態の表面にすることで滑りにくく安全性を高めるために使われます。エクステリアで、アプローチや駐車場の滑り止めとして多く採用されます。
室内では、特殊配合モルタルや漆喰、珪藻土の表面仕上げとしても使われています。独特の「荒さ」が魅力です。
引っ掛け・叩き落とし仕上げ
引っ掛け・叩き落とし仕上げは、表面を専用の器具で「荒らして」模様を作ります。この荒さがが魅力で、表面の陰影が独特の表情を作ります。主に室内外の壁に使われる仕上げ方法です。
洗い出し仕上げ
洗い出し仕上げはモルタル表面の化粧石を見せる仕上げです。使う化粧石により表情が異なり自然な風合いを再現することができます。
エクステリアとして、アプローチや土間仕上げに取り入れられます。表面の化粧石を使い分けることでデザイン性良く、様々なエクステリアに採用されます。
研ぎ出し仕上げ
研ぎ出し仕上げはモルタル表面の化粧石を削り、化粧石の断面を見せる方法です。自然石の風合いを再現した仕上げ方法です。
見栄えや耐久性がよいので公共施設の洗面台や水場によく使われていました。技術と時間がかかるため最近は採用されることが少なく、あまり見かけなくなりました。
まとめ
今回はモルタル仕上げの魅力と種類についてご紹介しました。
色のムラとコテのムラの独特な風合いが魅力です。最近では土間から居室にシームレスに繋がる間取り事例も出てくるなど、モルタル仕上げの特性を活かしたリノベーションもますます人気となっています。
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