近年、フローリング材にも「ナラ材」などの「広葉樹」が浸透してきました。これまでのフローリング材の主流である「杉・ヒノキ・パイン」などの「針葉樹」はよく知られていますね。
では、
「広葉樹フローリングは何が良いの?」
「なぜ『ナラ、ナラ』と一つの素材に群がるのがNGなの?」
「結局、どの無垢材が良いの?」
今日はそんな疑問も解決しつつ、「本物志向の、広葉樹フローリングを選ぶ楽しみ方」についてもお伺いしたいと思います。
お話を伺ったのは、針葉樹も広葉樹もこだわりのラインナップをもつ、チャネルオリジナルの家山さんです。
広葉樹フローリングは何が良いの?
広葉樹(Hardwood)フローリングは、針葉樹(Softwood)に比べると、英語名からも固いことが特徴であることがわかります。固いということは傷がつきにくいということでもあります。
少し話題がそれますが、「適材適所」という言葉があります。語源は建築用語で「適材」の「材」は「木材」を指すそうです。かつての日本の建築物は木材からできているものが多く、その適正を活かした「適所」に使われていたということです。
例えば、香りの効能があったり肌触りのよいスギなどの針葉樹は、内装材に好まれて使われてきました。一方、固く傷がつきにくい広葉樹は家具やヨットをはじめ、高級建材として内装材にも使われてきたそうです。
例えば、ピアノに使われてきた広葉樹「センの木」を、家のフローリングに選ぶ
センの木は、国内大手ピアノメーカーが国内生産をしていた頃に使われていた木材だそうです。数十年以上保つピアノに使われていたほど、上質なのだということがわかりますね。そんなセンの木を自宅のフローリングにも使うことができるのです。なんだかわくわくしませんか?
写真左ー北海道産・乱尺貼
写真右ー北海道産・ヘリンボーン貼
センの木は、他の広葉樹に比較して柔らかく軽やかなのだそう。木目も美しく、さらに経年によって美しさに磨きがかかるのが特徴とのことです。
例えば、日々見かけるような、桜・ケヤキ・柿も広葉樹なんです
例えば、毎日どこかで目にするような桜も広葉樹。床材としても流通しています。
「今は国産材ブームということもありますが、それだけではなく『どこのどんな樹種を家のフローリングにしようかな』といった風に考えてみると、木材選びが楽しくなると思いませんか?」と家山さん。
写真左ー桜・無塗装・クリアオイル塗装仕上
写真右ー桜・春風ウクレレ塗装仕上げ
仕上げ材でも印象がガラリと変わりますね。木の透明感をそのまま感じることができるクリアオイル塗装仕上げ、落ち着いた中にも木目や濃淡で味わいを感じる春風ウクレレ仕上げと、塗装によっても好きなイメージに合わせることができるのです。
ケヤキや柿も同様にフローリング材として、木目や質感を楽しむことができます。
樹種によって、固さも、匂いも、表情も異なる「木を選ぶ楽しみ」
「ナラの木」…なんとなく聞いたことがある気がする樹種ですね。みんなが「ナラ」というと、「オシャレなのかな」「みんなそうなら安心だな」と、同じものに集まりたくなるのが心情なのかもしれません。
でも、日本には他にも優れた木がたくさんあるということ、先述のセン、桜、ケヤキ、柿以外にも、タモ、ニレ、マカバ、シラカバなどなど、知っていくと素材選びがもっと深くなります。
例えば「自宅の床に、こだわった産地や樹種のフローリング材を貼る」というのは、なんだか贅沢でもあって、でも一生住みたいと思える自宅にするには、こだわりたいようにも思えます。
どの無垢材にも共通しているのは、触り心地が良い点。工業製品のフローリングで足裏がピトピトした経験をお持ちの方もいるかもしれませんが、無垢材はサラリとした感触なのが特徴です。 裸足が多くなる夏場は特にその質感が心地よく感じられるでしょう。
広葉樹林の課題と、解決の考え方
北海道には、広葉樹の森が全土に広がっていて、ナラをはじめタモ、ニレ、マカバ、シラカバなど優れた木材の産地となっています。
一方で、現在はその広葉樹の分布(生態系)は知られていないそうです。そんな中、念ながら今トレンド感のある「ナラ」ばかりを伐採・提供するところもあり、森のバランスが崩れていると言わざるを得ないようです。
私たちが、その木を選ぶときに、背景まで思いを巡らせてみると、例えば生態系の維持に役に立てることがあるのかもしれません。
なにより、
「広葉樹といえばナラという固定概念があるのはもったいない。広葉樹はバラエティ豊富なので、楽しいですよ」と家山さん。
バラエティ豊かな北海道産広葉樹フローリングは、ラインナップもバラエティに富んでいます。
HAGS取り扱いの、北海道産広葉樹ラインナップ
・タモ L乱尺×W75×t15
・タモ ヘリンボーンL600×W75×t15mm
・セン L乱尺×W120×t15mm
・セン ヘリンボーンL600×W75×t15mm
・ニレ L乱尺×W120×t15mm
・ニレ ヘリンボーンL600×W75×t15mm
・白樺 L乱尺×W120×t15mm
・ナラ L乱尺×W75×t15
・ナラ ヘリンボーンL600×W75×t15mm
※別サイズは要問合せとなります。
これだけのラインナップの外に、写真右にあるような塗装仕上げが可能です。
そして、家山さんのこれからのオススメの樹種はというと、
上にある「セン・白樺」と、これからHAGSにもラインナップされる「マカバ」ということです。
マカバは強度があり繊細な木目で上品な印象。また色味がサクラ色をしているため、別名「サクラ」「カバザクラ」とも呼ばれて流通しているそうです。
このように、広葉樹にはそれぞれ個性があり、強度や施工性、木目など様々な視点から選ぶことができます。
人気の幅広タイプ120mm。でも、かつての上品な75㎜も再び着目されるのでは?
今、フローリングで人気なのが100㎜幅~の幅広タイプです。ここ数年、幅広ブームが広がっていて、今フローリングでは150㎜というのもあるほど。
しかし、家山さんは「幅広もすごくオシャレだけれども、例えば、コーディネートのセンスは必要かもしれないが、昔のオークやメープルのクラシカルな75㎜幅も復活してきたら面白いんじゃないかな。自分だけの好きなものを見つけるのも、木材選びの楽しみ方の一つだと思います」とのこと。
そうはいっても「知らない木」を使うのはなんだか心配…?
栓(セン)などの広葉樹も、針葉樹同様に扱いは難しくないそうです。とはいえ、初めて知る名前の木となれば不安があることも。そしてその不安の多くは、メンテナンスにあるようです。
そこで、チャネルオリジナルでは、「メンテナンスガイドブック」を製作しているそう。メンテナンスの方法が具体的にわかれば、「みんなと一緒」じゃなくても安心と思えそうですね。
メンテナンスできるものじゃないと、本当の意味で永く使えない。
メンテナンスでもう一つ大切な考え方があります。それは、「メンテナンスできるものじゃないと、本当に永くは使えない」ということ。
木材全体に言えることですが、天然の木材は一枚・一部分だけのメンテナンスが可能です。張り替えた部分は、その時点では色が異なるものの、徐々に周りに馴染んでいくという特性があります。そうやって部分補修を重ねられるため、持続可能な住まいが実現できるというわけです。
施工性も◎な、北海道産広葉樹
スギなどの針葉樹に比べると、広葉樹は固さはある分くぎ打ちの際に多少力はいるが、施工上苦労するレベルではないそうです。また北海道産の広葉樹は、レッドシダーなどの外国産広葉樹と比べると施工はしやすいとのことです。
天然木では、傷も味わいの一つとされますが、傷をつけたくない場所には広葉樹も◎という選択肢があるのもうれしいですね。
ウッドマイレージ~国産材使用による輸送費の削減~
ウッドマイレージは、輸送費の削減に着目し、これまで外国産に頼らざるを得なかった林業を国内で循環させることによって、持続可能な社会を目指すものです。
この見知から、国産材の使用は、水資源の確保、山崩れ防止、野生小動物の生息環境保全、漁業資源の維持等に貢献できるとされています。
自宅の床材選びという身近なテーマではありますが、実は国産材を使用すると、自宅の満足度が上がるだけでなく、こういった広い意味でも社会に貢献もできるということになるんですね。
まとめ
広葉樹は、無垢材の中でも固さがあり傷がつきにくく、床材としても魅力があることがわかりました。トレンドのナラ材も良いですが、広く目をむけると自分だけの、こだわりの床材に出会えるかもしれません。総じて、無垢材は適材適所というのが理想ということになります。どんな生活をしたいのか?メンテナンスはどんなものが希望か?などを明確にしていく中で、自分にあった木材に出会えるのではないでしょうか。
また、ただ単に「家づくりの床材探し」と思っていたフェーズは、地球温暖化の防止に貢献できる側面もあると、知ることもできました。
純粋に床材を選んでもよし、社会貢献視点で選んでもよし。
そしてふとしたときに感じる、「お気に入りの木に囲まれているな」という心の満足感は、自分だけのものとなりそうです。
取材協力:
チャネルオリジナル株式会社
代表取締役社長 家山英宜氏
設立:
1998年7月1日
事業骨子概略:
各種防火処理木材の開発
各種建築資材の開発・販売
各種建築資材の輸入販売
各種木材製品の開発・販売
各種木質エクステリア材の開発・輸入販売
建築工事・施工に関わる業務