最近リノベーションでは、トイレのオシャレを楽しむ人が増えています。あえてカラフルにしたり、ホテルライクにしたりと、居室とは異なった仕様にするのが人気です。壁の色や床材で印象が大きく変わりますが、実はペーパーホルダーもトイレの印象を変える重要なポイント。小さな存在ですが、トイレ全体の雰囲気を左右するスパイスとして、こだわりたいアイテムです。
本日ご紹介するのは、オシャレな建材サイト「HAGS」でも取り扱っている「アイアンペーパーホルダー」です。杉山製作所が手がける建材ブランド「FIT」の「NOU」シリーズのペーパーホルダーは、一目ではわからない細部までこだわっています。シンプルかつ洗練されたペーパーホルダーは、どのように生まれたのでしょうか。
今回は、杉山製作所の中村さんに、このアイアンペーパーホルダーの魅力と生まれるまでの経緯について伺いました。
※アイアンペーパーホルダーはHAGS商品名。杉山製作所では「NOUペーパーホルダー」となります。
日本の技術の素晴らしさを伝えるべく、国内生産を徹底
杉山製作所の製品は全て、国内生産されています。実は、アイアン製品を製造している国内メーカは少なく、輸入品が主流だそう。国内で流通してるアイアン家具を作っているほとんどは、個人の作家なのだそうです。
そういった輸入に頼るのではなく、杉山製作所では「MADE IN JAPAN」にこだわり、国内生産で全て制作しています。「日本の技術の素晴らしさを伝えたい」という想いから、仕入れから溶接など全てを国内で行っているそうです。
住宅に精通したデザイナーとのコラボレーション
インテリア・建材の両面で暮らしを豊かにしつつ、アイアンの可能性を広げるーそれが、杉山製作所が掲げるビジョンです。それまえでは鉄のもつ武骨さ、鉄ならではの繊細さをもったシリーズ展開をしていました。新たな展開として、鉄の個性を生かした「シンプル」にフォーカスしたのがこの「NOU」シリーズです。
求めたのは「機能性を感じさせないシンプル美」
「鉄で生活を豊かにしたい」と掲げる杉山製作所では、これまで主力だった「家具」だけではなく「家づくりそのもの」に鉄が取り入れられるアイテムの開発を試みていました。ペーパーホルダーも、家具ではなく家づくりの建材にあたります。
デザインするにあたっては、ただのペーパーホルダーではなく「生活が豊かになる」「鉄の個性を活かす」ということが求められます。そこで「住宅の中で生活が豊かになる」ために、デザインを住宅のスペシャリストに依頼することになりました。建築家の高橋正治氏です。高橋氏は杉山製作所がある岐阜県美濃地方では有名なデザイナーで、これまで住宅から店舗、オフィスなど数々の設計を手がけてきているそうです。
高橋氏とともに追及したのは、単に装飾が施されていないシンプルさではありません。余計なものがないからこそ露呈しがちな機能性を感じさせず、かといって造形としての存在感は放ち、アイアンだからこそできるすっきりとしたフォルム。この3点を兼ね備えたのが「NOU」シリーズなのです。
「NOU」に込められた想い
こうして、高橋氏とのコラボレーションで生まれた「NOU」シリーズ。「NOU」は、美濃の「濃」に由来しています。岐阜県美濃地方は高橋氏の出身地であり、杉山製作所の所在地でもあります。加えて、杉山製作所のこだわりである「MADE IN JAPAN」と、岐阜の「モノづくり」に対するこだわりという意味も込めて名付けられました。
こだわりの細さで、空間を邪魔しないフォルムを実現
NOUペーパーホルダーの魅力は、なんといっても直径6mmの丸棒からなる細さです。直径6mmはアイアン製品の中でもなかなかない細さ。しかし、ここまでの細さはアイアンだからこそできたもの。芸術品と言っても過言ではない美しいラインです。
無駄のない細さは生活感を感じさせず、トイレ内の景観を損ねないフォルムです。ペーパーを付けると、まるで宙に浮いているようにも見えます。ペーパーを付けても付けなくても野暮ったさを感じさせないポイントはダブルライン。シングルラインではアイアンの素材感がダイレクトに伝わりすぎて冷たい印象になりがちですが、ダブルラインにすることでこれを緩和しています。
洗練されたシルエットは、シンプルなデザインを好む方や直線美を好む方から支持されています。「NOU」シリーズのタオルバーとセットで購入される方が多いとのことです。
どんなコーディネートにもなじむカラー
色はサンドブラックとグレーの2色。サンドブラックはどんな場所にも合う安定感から、不動の人気です。グレーは、近くにブラックの物があっても違和感なく使え、バランスがとれます。こなれた雰囲気になるのもグレーならでは。
モノトーンやブラック系でそろえてシックな印象にしたい人にはサンドブラック、落ち着いていながらもアクセントを効かせたい人にはグレーがオススメです。
洗練空間を作り上げるシングル&ダブルの2タイプ
NOUペーパーホルダーは、シングルタイプ(ペーパー一つ用)とダブルタイプ(ペーパー二つ用)の2種類があります。ダブルは中央を起点として両サイドからペーパーを入れる仕組みになっているのがポイントで、シングルよりもさらに宙に浮いたような見え方になります。どちらとも、とにかくシンプルで、たとえばペーパーを付けないと生活感を感じさせないデザインだったりもします。(ペーパーホルダーなので、付けないことはないですが)まるでホテルのような、トイレが洗練された空間というのも、居心地が良いものです。
安心&高品質な粉体焼付塗装
NOUペーパーホルダーのこだわりは塗装にも。塗装は粉体焼付塗装という、自動車の内部部品に使用されている塗装仕上げ方法です。粉体焼付塗装は揮発性有機物質の排出量が限りなく少ないので、安心してお使いいただけます。耐久性・耐候性・防錆性にも優れているのが特長です。
塗膜は厚く頑丈なので傷つきにくいので、経年劣化の心配もありません。故意に塗膜を剥がしたり、極度な衝撃を受けて塗膜が剥がれたりしない限り、一般的な住宅生活であれば剥がれることは想定しにくいでしょう。
粉体焼付塗装を取り入れた背景には、杉山製作所の前身が自動車部品工場だった歴史があります。そこで培われたノウハウ・技術力が受け継がれ、現在の製品づくりにも生かされているのです。
お手入れがらくらくできるのも粉体焼付塗装の魅力
経年劣化はしにくい塗装ですが、いつまでも美しい状態を保ちたい場合の、日頃のお手入れについてはとても簡単です。乾いた布または固く絞った柔らかい布で、表面の汚れを拭けばOK。それでもおちない汚れは、中性洗剤をつけたやわらかい布で拭き取った後、水拭きをして乾拭きをすると良いそうです。
実際に中村さんのご自宅で、同じ塗装仕上げの製品を使って数年経ちますが、塗膜は剥がれることなく、錆も生じていないとのこと。万一、錆が生じた場合は、サンドペーパーで軽く擦れって錆を取り、アイアン用の塗料を塗布しましょう。もし専用塗料がなければ、応急処置としてハンドクリームの塗布も良いそうです。空気中の水分に反応して錆びてしまうので、水分に直接触れないようにすることが大切ということです。
シンプル美の要は「溶接部を見せない技術」
一般的にアイアン製品は、どうしても溶接部分が盛り上がってしまいます。この「盛り」が出ないように溶接するのが、職人の腕の見せ所。しかし、職人誰しもができるわけではありません。熟練した職人の技と言えるでしょう。
NOUペーパーホルダーは、シンプルさを追求したデザインです。それゆえ、つなぎ目がわからないことが求められます。「手作業だけど、量産品質」これが生かされています。
設置方法は簡易にできるビス留め
全てにおいてこだわっているペーパーホルダーですが、設置方法は一般的なペーパーホルダーと変わりません。ビス留めなので、難しいことは一切なし。壁の下地も必要です。
まとめ
こだわりがつまったアイアンペーパーホルダーですが、中でも住宅に精通したデザイナーとのコラボレーションが印象的ですね。
生活感を払拭し、究極のシンプル美を実現したアイアンペーパーホルダー。
一般的なペーパーホルダーとは「トイレになくてはならないもの」。「あればいい」と思われがちな側面がありますね。しかし、アイテム数の少ない、小さな空間のトイレでは、小さくてもその存在感で景観が変わったりもします。
こんな素敵なペーパーホルダーで、その空間をワンランク上の洗練された空間に仕上げてみませんか?