隣人の生活音が気になるとか、音を立てるのに気をつかうとか、音の悩みは深刻です。
「ならば防音壁を造ってしまおう」と考えるのは自然ですが、そのことが正しいのかどうかをまず考えましょう。なぜなら防音をおこなうには壁だけでは不十分だからです。天井や床、窓も防音をおこなわなければ、期待する効果が得られないかもしれません。
ここでは防音壁の仕組みを考えた後に、天井や床、窓の防音の方法についても考えていきましょう。
防音とは「遮音」「吸音」「防振」のことです
防音をおこなうには遮音、吸音、防振の3要素について考えなければなりません。
「遮音」とは音が外にもれることや、外の音が入ってくるのを防ぐことです。「吸音」とは室内でなっている音を吸収することです。「防振」とは音の原因となる振動をおさえることです。
つまり、隣人の生活音対策に吸音をどれだけおこなっても効果は薄いですし、気兼ねなく大きな音を出すために、遮音だけに力を入れても期待する防音対策にならないでしょう。
効果があるの?遮音シート
遮音の最も手軽な方法は、ホームセンターなどで販売されている遮音シートを壁に貼ることです。しかし薄い樹脂製のシートだけではほとんど効果は見込めません。本格的におこなうなら吸音の処理と同時におこなうか、壁自体を分厚くする必要があります。
吸音も同時におこないましょう
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音を吸収するための仕組みが吸音、音を弱くする効果があるのが吸音材です。グラスウールなど空気を中に多く含む材質が用いられます。外にもれる音も入ってくる音も吸音材でいったん弱めてから遮音シートで防ぐのです。
防音壁には遮音シートと吸音材の両方が使われていることが一般的です。
たとえば、ピアリビング「ワンタッチ防音壁」 は板状の商品を壁に両面テープで張るだけという手軽な防音壁です。とはいえ高評判を得ており、2万5,000枚以上の販売実績もあるのですが、これも遮音シートを吸音材がサンドイッチする構造になっています。
防振も考えなければいけないケース
防音壁だけでなく防振も考えなければいけないのは、ドラムなど大きな振動がともなう楽器を演奏する場合です。たとえば階下に響く足音を防ぐために、床に防振効果があるゴムシートを引いたりするのですが、同様の処理が防音壁を作るのと同時におこなわれれば、より高い防音効果が見込めます。
防音壁だけにこだわるのは危険です!
外にもれる音や外から入ってくる音の対策に、防音壁ばかりにこだわってしまうのはあまり良い方法ではありません。なぜなら壁以外から音は伝わるからです。たとえば窓は代表的な音の出入り口なのですが、その理由は壁と窓の厚さを比べればすぐにわかるでしょう。
窓の防音対策
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最もコストがかからないのは防音効果があるカーテンに替えることなのですが、劇的な効果は期待できません。
おすすめは、内窓をもう一枚付けて二重窓にすることです。たとえば2枚のガラスの間に特殊なフィルムを挟みこんだ防音合わせガラスの窓ならば、より高い防音効果を得ることができるでしょう。
換気扇の防音対策
壁や窓以外にも防音対策をしたほうが良いのは換気扇です。いわば外に向かって開いた穴ですから、ここから音が出入りしてしまいます。ウレタン製の消音材やダクトに入れるスリーブマフラーを用いることで防音対策をおこないましょう。
一般的な防音壁工事
手軽に防音壁を築くなら、先に紹介した「ワンタッチ防音壁」などを用いればよいでしょう。しかし、見た目が今一つという難点があります。そこで検討したいのがプロの手による防音壁です。壁の中に吸音材を敷き詰め、表面に遮音材を貼ることで仕上げます。
高いレベルの防音壁なら専門業者に
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本格的に音楽を鳴らしたいとか楽器を演奏したいとか、こんな場合には一般的な防音壁工事では不十分です。たとえば室内に張られた遮音材は音を反響させる効果がありますから、音が不自然に鳴ってしまいますし、4~5人でバンドの練習をしたいという場合なら防音効果が不十分です。
こんな場合は防音工事専門のプロに依頼するのが一番です。反響を防ぐ吸音材の施工やドアの防音、バランスを考えたスピーカーの設置まですべて任せることができます。
まとめ
楽器の演奏などを考えていないなら、DIYの防音壁でも効果はあるでしょう。しかし、大きな音を気兼ねなく出したいといったケースなら、防音壁だけでは不十分です。窓や換気扇など徹底的な防音が必要になりますから、プロに任せたほうが無難です。
同じくプロに任せたほうが良いのが、オーディオやシアタールームの防音です。こちらは防音だけでなく、より良い音が部屋に響くように計算して施工してくれるでしょう。