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子育てしやすい家を目指すなら使いたい!長期優良住宅化リフォーム推進事業とは?

子育て世帯が家のリフォーム・リノベーションを行う際、活用できる支援制度は多数あります。その中の一つが、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」による補助金。この制度は、子育てしやすい家にしたい、家を長く使い続けたい、災害に強い家にしたいといった質の良い住宅づくりに対して支援することが目的です。

この記事では、子育て世帯におけるリノベーションでも積極的に活用したい、長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要や注意点について解説していきます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業とはどんな制度?

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、質の良い住宅の増加や、子育てしやすい生活環境の整備を進めることを目的として、中古住宅の長寿命化や省エネ性能の向上に寄与するリフォーム、子育て世帯向けリフォームに対して支援を行うという制度です。

高い品質を誇る住宅の中でも、基準に応じて認定を受けている「認定長期優良住宅」の場合、より手厚い補助金が適用されます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要と要件

それでは、長期優良住宅リフォーム推進事業の具体的な内容を見ていきましょう。

長期優良住宅リフォーム推進事業の補助対象

本事業の補助対象となるのは、次のようなリフォーム・リノベーション等にかかる費用です。実際には、補助対象費用の1/3が補助されます。(ただし、限度額の範囲内に限ります)

(1) 長期優良住宅リフォームにかかる費用特定性能工事

次のa~fに挙げる性能項目の基準を満たすために行う性能向上工事(a〜cは必須項目)

  • a .劣化対策
  • b .耐震性
  • c .省エネルギー対策
  • d .維持管理・更新の容易性
  • e .高齢者等対策(共同住宅)
  • f .可変性(共同住宅)
その他性能向上工事特定性能工事以外の性能向上工事
(インスペクションによる指摘箇所の改修工事、バリアフリー工事、テレワーク環境整備改修など)
(2) 三世代同居対応改修工事にかかる費用

キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設に係る工事
※ただし、工事完了後、上のいずれか2つ以上が複数あることが条件

(3) 子育て世帯向け改修工事にかかる費用子育て世帯向けに、子育てしやすい環境を整備することを支援
(4) 防災性・レジリエンス性の向上改修工事にかかる費用自然災害に対応する住まいにするための改修工事
(5) インスペクション等にかかる費用
  • インスペクション費用
  • リフォーム履歴作成費用
  • 維持保全計画作成費用
  • リフォーム瑕疵保険の保険料

長期優良住宅リフォーム推進事業の補助要件

上の表にも一部記載していますが、当事業による補助を受けるためには次の3つの要件を満たす必要があります。

  1. リフォーム工事前にインスペクションを行い、維持保全計画とリフォーム履歴を作成すること。
  2. リフォーム工事後に以下の性能基準を満たしていること。
    <必須項目> a.劣化対策、b.耐震性、c.省エネルギー対策の基準
    <任意項目> d.維持管理・更新の容易性、e.高齢者等対策(共同住宅)、f.可変性(共同住宅)の基準
  3. 項目2の性能項目いずれかの性能向上工事三世代同居対応改修工事子育て世帯向け改修工事防災性・レジリエンス性の向上改修工事いずれか1つ以上を実施すること。

申請者と補助対象者

この補助金は、リフォーム工事の施工業者やリフォーム済み住宅の販売会社が申請者となる点が特徴です。個人が利用する場合には、本事業の事業者登録を行った施工業者を利用して工事しなければなりません。

申請スケジュール

通年申請タイプでは、次のようなスケジュールに合わせて申請する必要があります。

  • 住宅登録の受付期間  :2022年4月8日〜12月16日
  • 交付申請の受付期間  :2022年5月9日〜12月23日
  • 完了実績報告の受付期間:2022年6月13日〜2023年2月17日

通常の補助事業は、交付決定後に着工することが補助金を受ける条件ですが、本事業は工事前にインスペクションを行うことなどが要件であるため、事前の住宅登録(住宅所有者や所在地の情報登録)をすれば、工事前に着工しても補助対象となります。

タイプ別にみる要件と補助限度額

長期優良住宅リフォーム事業の対象となる住宅には「評価基準型」「認定長期優良住宅型」という2つの事業タイプがあり、それぞれに補助限度額や要件が定められています。以前補助対象として設けられていた「高度省エネルギー型」は、2022年度の制度改正で廃止されました。

  • 評価基準型
    必須項目のa.劣化対策、b.耐震性、c.省エネルギー対策について評価基準を満たす住宅

  • 認定長期優良住宅型
    全ての性能項目で認定基準を満たしていて、所管行政庁から長期優良住宅の認定を受けた住宅

評価基準型

評価基準型における補助限度額は1戸あたり100万円。ただし、次の4つのうちいずれかの要件を満たす場合には限度額が増額され、1戸あたり150万円の補助を受けられます。

  • 三世代同居対応改修工事を実施する
  • 若者・子育て世帯が工事を実施する
  • 中古住宅の購入者が工事を実施する
  • 一次エネルギー消費量を省エネ基準比で20%減とする

ここでいう「若者・子育て世帯」とは、夫婦いずれかが2022年4月1日時点で40歳未満の世帯、2022年4月1日時点または交付を申請する時点で18歳未満の子どもがいる世帯のことを指します。

認定長期優良住宅型

評価基準型よりも条件が厳しい認定長期優良住宅型は、フルリフォームで長く住み続けられる家を目指す際に活用したい事業タイプ。補助限度額は1戸あたり200万円ですが、先ほどの4つのうちいずれかの要件を満たす場合、1戸あたり250万円に増額されます。

対象外となる工事に気をつけよう

幅広くリフォーム・リノベーション工事で活用できる長期優良住宅リフォーム推進事業の補助金ですが、対象外となる工事もあるので注意が必要です。主な対象外の工事としては、次のようなものが挙げられます。

  • 要件に適合しない単なる設備交換
  • 見た目を良くするためなど、意匠上の改修工事
  • 間取りの変更工事
  • 内装工事

なお、子育てしやすい環境整備のための工事であるケースでは、間取りの変更工事や内装工事も補助対象になる可能性があります。

まとめ

補助対象が広く、補助金額もそれなりに大きな長期優良住宅リフォーム推進事業。子育て世帯や若者世帯は補助上限額が増額されるため、リフォーム・リノベーションによって子育てしやすい家を作りたいと思っている方はぜひ活用したい制度です。検討しているプランが補助対象になるのか事前に確認し、制度を上手く活用して理想の住まいを実現してはいかがでしょうか。

参考:長期優良住宅リフォーム推進事業【総合トップページ】

参考:令和 4 年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料