壁や床の仕上げ材として広く用いられる「モルタル」は、左官仕上げならではの質感とシンプルでモダンな印象が人気の素材。そんなモルタルの質感はそのままに、弱点を克服できる素材として注目されるのが「モールテックス」です。
今回はそんなモルタルとモールテックスの特徴やメリット・デメリットについて紹介するとともに、どのように使い分けるのがいいのかという点についても詳しく解説していきます。
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モルタルの特徴とメリット・デメリット
まずは、床や壁の仕上げ材として普及しているモルタルの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。モルタルとは、セメント・水・砂を混ぜ合わせて作る建築材料のこと。コンクリートもセメントを原料とする建築材料ですが、砂利を混ぜ合わせる点がモルタルと異なります。モルタルはコンクリートよりも柔軟で、左官職人がコテを使って手作業で仕上げるのが一般的です。
参考記事:「コンクリート」「モルタル」「セメント」の違いとは?素材と特徴の違いをまとめてみた
モルタルのメリット
モルタルを壁や床の仕上げ材として使用する場合のメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 砂が原料なので不燃性で有害ガスが発生しない
- つなぎ目がないため、仕上がりが美しくメンテナンスもしやすい
- デザインの自由度が高い
- 手作業で仕上げるため、温もりやオリジナリティのある風合いになる
- 蓄熱性を有しており、床に使う場合には床暖房との相性がいい
- 外壁に使うと断熱性や遮音性に優れる
モルタルのデメリット
耐火性の高さや左官仕上げならではの風合い、メンテナンスのしやすさなどが魅力のモルタルですが、次に挙げる点はデメリットと言えるでしょう。
- ひび割れが生じやすい
- 吸水性が高く、単体では水回りには使えない
- モルタル自体の防音性は低く、音が反響しやすい
- カラーバリエーションがそこまで多くない
- 表面に汚れがつきやすい
モールテックスの特徴とメリット・デメリット
続いて、モールテックスの特徴とメリット・デメリットについても見ていきましょう。モールテックスはベルギー生まれの建築材料で「デザインコンクリート」と称される新素材の一種。
セメント・水・砂から作られるモルタルに対し、モールテックスはセメントに特殊な樹脂を加えて作られます。日本で使われるようになって歴史は浅いですが、モルタルやコンクリートの良さを生かしつつ弱点を克服できることから、床や壁の仕上げ材として好んで用いられるようになってきました。
モールテックスのメリット
モールテックスが床や壁の仕上げ材として好んで用いられるのは、次のようなメリットがあるとされるためです。
- モルタルと異なり防水性に優れている
- 原料に樹脂を用いているので柔軟性が高く、強度に優れていてひび割れが生じにくい
- モルタルと同じく不燃性で耐火性に優れる
- カラーバリエーションが豊富でデザイン性に優れる
- モルタルなどの下地の上からでも施工できる
こうして見ると、ひび割れの生じやすさ・防水性の低さ・カラーバリエーションの少なさといったモルタルの弱点の多くを解決した素材こそが、モールテックスであると言えるでしょう。
モールテックスのデメリット
モルタルの弱点を克服した優良な素材であるモールテックスですが、あえてデメリットを挙げるとすれば次のような点には注意が必要です。
- 二層塗りのため施工に手間がかかり、コストが高くなりがち
- 仕上げの種類によって定期的なメンテナンスが必要となる
- モルタルと同じく表面に汚れがつきやすい
- 日本に入ってきて歴史が浅いため、施工実績のある業者がまだ少ない
優れた特徴を持つモールテックスですが、施工に手間がかかる点は要注意。比較的新しい素材なので取り扱う業者が限られることもあり、モルタルに比べコストは高くなります。
モルタルとモールテックスはどう使い分ける?
モルタルとモールテックスそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて見てきましたが、どのように使い分けるのがいいのでしょうか。正直なところモールテックスが使えない場所は特にないので、コスト面を考慮しなければモールテックスを使えば特段問題はないといえるでしょう。しかし、費用が限られている中では次のような使い分けをするといいでしょう。
- リビングや居室の床、壁、天井など大きな面積を仕上げたい場合:モルタル
- 水回りの床、壁、天井などをモダンに仕上げたい場合:モールテックス
モルタルは吸水性があるので単体では水回りに使えない一方、モールテックスは防水性に優れていて水回りでも問題なく使用できるのがポイント。モルタルだと塗装による防水加工が必要な洗面台や浴室などでも、モールテックスを使えば簡単にインダストリアルな雰囲気を演出できます。
まとめ
左官仕上げの風合いとモダンな雰囲気が特徴のモルタル。おしゃれなリノベーションを実現するにあたって使いたいと思いつつ、単体では水回りで使えなかったりひび割れが生じやすかったりといった、デメリットを心配している人も多いのではないでしょうか。
そんなときは、モルタルの良さを生かしつつ弱点を克服できるモールテックスを用いるのがおすすめ。予算とのバランスを見て、モルタル・モールテックスを使い分けてみてはいかがでしょうか。
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