外壁のサイディングの表面が粉っぽくなったり、表面がデコボコし始めたなら、そろそろメンテナンスを要検討のサインかもしれません。外壁リフォームといえば、塗装の塗り直しが一般的ですが、外壁が直貼りサイディングの場合には、施工業者から塗装リフォームを断られる例もあるようです。
今回は、なぜ直貼りサイディングは塗装リフォームが合わないのか、そもそも直貼りサイディングとはどんなもので何が問題なのか、といった点について解説していきます。
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直貼りサイディングは湿気をため込みやすい
日本の住宅の外壁材として広く使われているサイディング。住宅の一番外側に焼き物や金属で作られたパネルを張りつけることで住宅を守ったり、美観を整えたりする役割があります。
大切な住まいを守る外壁材として、サイディングの種類を気にすることはあるかもしれません。それと同様に、サイディングを住宅に取り付ける施工方法も、住宅の耐久性に大きく関係してくることをご存じでしょうか。
直貼りサイディングとは、サイディングを直接、柱や合板、それらに重ねた防水シートなどに貼り付ける工法です。例えるなら、おにぎりに巻いた海苔のように、サイディングの裏側が直接、住まいがくっついている状態と言えます。
直貼りサイディングの弱点として、サイディングの裏側に水分が浸透すると逃げ場がない、ということがあげられます。雨水や室内からの湿気の水分がサイディングの裏側にたまると、結露したりカビを発生させたりすることもあると指摘されています。こうなると、建物本体も劣化が進みやすい状態となってしまいかねません。
また、水分が外へ逃げようと弱いところを探すことで力がかかり、サイディングを変形させることもあるようです。それが、サイディング表面にも、デコボコや歪み、塗装の剥がれ、カビなどのように、目で見て分かる傷みとなって現れてくることもあります。
直貼りサイディングに塗装リフォームがおすすめできない理由
劣化が気になる直貼りサイディングに、表面を塗り直す塗装リフォームを施しても、見た目はきれいになりますが、傷みやすさの原因にアプローチしたことにはなりません。サイディングの裏側に水分が溜まりやすいという特徴はそのままなので、リフォーム後に劣化や不具合が繰り返されることも考えられます。
塗り直しリフォームをしても、すぐにまた同じような不具合が起こるかもしれない直貼りサイディング。塗装の技術や出来栄えでは対処できない原因で不具合が起こる危険性も高いため、塗装リフォームに応じてくれる業者でも、施工品質保証が付かない例もあるようです。
通気構法ならサイディング内側に湿気が溜まりにくい
サイディングが外壁仕上げとして普及し始めた1990年代は、直貼り工法が主流だったと言われています。浸透した水分が逃げられない、という直貼りサイディングの弱点が認識されてきた2000年代には、直貼りに代わって、通気構法が採用されるようになりました。これは、サイディングボードの裏側に胴縁と呼ばれる木材を挟んで、すのこのように隙間を作り、水分の逃げ道を用意する方法です。
合わせてサイディングの上(軒下)には換気口を開け、サイディングの下のコンクリート基礎や水切り板金との境目にも隙間を作り、サイディングの裏側に空気が通るようにします。
2000年以降、通気構法は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品確法)」におけるサイディング取り付けの標準工法であり、住宅関連の保険でも条件に指定されることもあるなど、一般的な施工方法になっています。
サイディングが直貼り工法か通気構法かを見分けるには
直貼りサイディングではリフォームの方法に特に注意が必要になりますが、直貼りサイディングなのかどうかを確認しなければ具体的な検討に入れませんね。
自分で調べるには、サイディングボードの一番下の端、コンクリート土台との境目をチェックします。水切り板金というレールが付いていることも多い部分です。
サイディングの下端からカードや物差しなどを差し込んで、サイディングの裏にどのくらい奥行きがあるかを測ります。奥行きが1㎝~1.6㎝くらいならば、ほぼサイディングの厚みだけなので、直貼り工法である可能性が高いでしょう。
奥行きが2㎝程度あるなら通気構法であると思われます。通気構法なら、サイディングの下に指を入れて動かせるくらいの隙間が開いていることもあります。
参考:ユーコーナビ「サイディングの直貼り工法とは:塗装時2つの注意点と症状を徹底解説!」
直貼りサイディングのリフォーム方法
リフォームを検討しているサイディングが直貼りである場合、どのような方法が適しているのでしょうか。これまでご紹介したように、塗装リフォームには注意が必要ですが、条件によっては採用されることもあるようです。
また、費用や工期はより多くかかりますが、「重ね張り(カバー工法)」「張り替え」をすれば、直貼りサイディングの弱点そのものを解決することもできるでしょう。
塗装の塗り直し
サイディングの傷みが少なかったり、短期間の使用を想定するなどでコストを掛けたくない場合には、塗装の塗り直しを行うこともありますが、その時には塗料の選択が重要とされます。透湿性塗料と呼ばれる、湿気を通しやすい機能を持った塗料を使うと、相対的にリスクを減らすこともできると言われていますので、業者に確認しましょう。
反対に、弾性塗料と呼ばれるグループは避けるべきでしょう。耐久性の高い塗料も強い塗膜を作るので直貼りサイディングには向きません。サイディングの表面を強力に守るような塗料は、通気性を悪くさせてしまいがちなので、水分の膨張力を強めて、せっかくの塗膜がはがれやすくなってしまうことも考えられます。
重ね張り(カバー工法)
今あるサイディングはそのままに、その外側に新しい外壁を作る、という工事です。新しい壁は通気構法で設置するので、直貼りサイディングの問題点を解消することも期待できます。既存の壁を壊さないので、工期を短くすることができ、廃棄物も少なくて済むようです。
サイディングの張り替え
直貼りになっているサイディングを撤去して、新しく通気構法でサイディングを張る工事です。サイディングの傷みが激しく劣化が進んでいるなら、張り替えが必要になるかもしれません。張り替えなら、最新の高機能で美観に優れたサイディングを選ぶことができたり、下地の傷み具合も確認して補修・補強することができるなどのメリットもあります。
一方で、重ね張りよりも工期が長く大規模な工事になります。既存サイディングは産業廃棄物として処理してもらうため、そのための費用もかると覚えておきましょう。
専門家に相談しよう
塗装の塗り直しに比べて、重ね張りや張り替えは費用も工期が多くかかるものです。しかし、長く住み続ける住まいならば、いずれは必要になる時が来ると思っておきましょう。
直貼りサイディングのリフォームは、信頼できる専門家に相談してアドバイスしてもらうことも大切です。サイディングの状態を正しく把握して適切な方法を提案してくれる業者を選びたいですね。
まとめ
直貼りサイディングは、サイディングの裏側に通気のための空気層が無いため、閉じ込められた水分でサイディングや住まい本体の劣化が早まることも心配されます。
塗膜の剥がれや膨れなどの不具合が少ない場合には塗装の塗り直しでリフォームすることもありますが、可能であれば、重ね張りや張り替えを行うと、より長く安心して住み続けられるでしょう。
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