階段のリフォームと言うと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。階段のリフォームの種類はその動機によって左右されると言われます。「老後のために勾配を緩くしたい」「滑りにくくしたい」「階段下の収納を充実させたい」と様々でしょう。
そしてこれらによってリフォームの方法、費用、工事期間も異なってきます。
この記事では、階段リフォームのそれぞれの形態、方法、ポイントを等を紹介していきます。
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階段リフォーム前に確認しておくこと
階段は勾配を上るものです。したがって廊下と異なり高い安全性が要求されます。ですから、階段リフォームする上で知っておきたい箇所を確認してみましょう。
階段のサイズ等は法律で決まっている
知らない人が多いと思いますが、階段の各パーツのサイズは法律で決まっています。安全確保のためです。建築基準法の施行令23条で具体的に定められています。ちなみに施行令とは、法律をより具体的に細かく定めたものです。
建築基準法施行令23条によると、住宅の階段の横幅は75センチ以上、狭いと危ないからです。
踏面は15センチ以上、これも狭いと危ないことが理由です。
蹴上げの高さは23センチ以下。勾配が急だと危険ですからね。
日本の住宅の階段は、これらの基準に収まるよう作られています。
また、建築基準法施行令25条では、階段の壁がない側には手すりをつけなければならないと規定しています。落下防止のためですね。
階段の安全面に関するポイント
階段を安全にするには、滑りにくさが重要とされます。滑って転倒、そして落下というケースが多いためです。まずは滑ることを防ぐ、これに配慮しましょう。
さらに、階段は勾配があるので暗くなりがちです。暗いと足元が確認できにくいです。確認できないと踏み外すリスクが高くなります。ですから、足元に照明をつけたり、採光窓を設置したり、階段自体に明るい素材を使う等して、足元を見えやすくしましょう。
階段リフォームの具体例
リフォーム前に確認しておくべき点を踏まえたところで、以下、階段リフォームの具体例を紹介していきます。
勾配を緩やかにするリフォーム
勾配を緩やかにするのは、階段リフォームの中で最も多いとされる事例です。安全面に直結しますし、ご両親が高齢になった際の備えにもなるからです。また、勾配が緩やかですと、他の家族にとっても余裕をもって上り下りができるため、転倒を防ぐこともできます。
勾配を緩やかにするリフォームには、現在の階段を使うケースと、階段を取り替えるケースとがあります。
前者の場合、階段の蹴上の高さを低くします。その分、段数が増えることになります。
後者の場合、今ある階段を撤去し、勾配の緩い階段を設計しなおして構築します。当然、費用は後者の方がかかるでしょう。
階段の勾配を緩くするリフォームで気を付けていただきたい点があります。それは勾配は緩ければ、それで良いというものではないという点です。勾配が緩いということは、蹴上が低く、踏み面の面積が長いということです。勾配が緩くなった分、上の階までの段差の数が増えます。すなわちそれは、歩数も増えることを意味します。また、踏み面が長いということは、その分大股で歩くことになるでしょう。さらに、勾配が緩いと階段に割くスペースが広くなり、他の部屋の空間を使用する結果にもつながり、屋内の設計変更が必要かもしれません。
このように勾配を緩くするのは一長一短である場合があります。家族の事情を業者と相談して決めていくことがよいでしょう。
階段周りをリフォーム
階段というのは勾配がある分、どうしても暗くなりがちです。その対策として、踏板の色や、階段周りの壁の色を白色に変えてみましょう。これにより、階段周りの印象と明るさを変えることも可能です。また、明るくすることで足元が良く見え、踏み外し事故を防ぐ効果も期待できます。さらに、階段は玄関の近くにあることが多いですから、階段周りのリフォームは玄関との調和も重視すると良いでしょう。
デッドスペースを収納に
階段下は典型的なデッドスペースです。すでに収納として利用している場合もあるかもしれませんが、さらに見直すことで、より効率的に荷物を収納できる余地があるかもしれません。
また、階段下のスペースは収納以外にもアイデア次第で、使い道が。ちょっとした休憩スペースや読書のための空間に使うことはいかがでしょうか。このように階段下は、ユニークな使い方ができるスペースとして有効利用もできますね。
階段そのものをかけ替えるリフォーム
階段そのものが老朽化していた場合、階段のかけ替えリフォームもおススメです。個別に直しても、結局いつまでも直し続けることになりかねません。かえってメンテナンス費用がかさむ結果となるかもしれないからです。
階段のかけ替えは確かに費用がかさむのですが、一からかけなおすので、家族の希望も十分に反映させることができますね。そこが大きな魅力と言えます。
なお、当然のことですが、かけ替え工事期間は階段が使えません。工期がどれくらいになるか事前に確認しておく必要があるでしょう。
手軽にできて安全性を増すことができるリフォーム
階段のかけ替えとは対照的に、比較的手軽にできて安全性が増すリフォームもあります。踏板の上に滑り止めをつける、カーペットを滑りにくいものに変える、滑り止めをつける、踏板の下部に反射材をつけて見やすくするなど。これらならDIYでも気軽にできそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。階段の勾配リフォーム、デッドスペースの活用方法など。大がかりなものから、簡単にできるものまで、階段リフォームについてご紹介しました。
ご参考になったでしょうか。階段は日々の暮らしの安全に直結する場所ですので、リフォームする際には事前の確認と計画を十分に行うことをおすすめします。