新築の注文住宅を建築したり、分譲住宅を購入したりするのに比べ、リーズナブルに理想の住まいを手に入れる方法として、「中古物件を購入してリノベーションする」という方法の人気が高まっています。検討するにあたって、物件購入代金とリノベーション費用の両方をローンでまかないたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、中古物件の購入とリノベーションを合わせて実施する場合のローンに関する注意点を解説していきます。
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中古住宅購入で住宅ローンを利用する際の注意点
まずは、中古住宅を購入するにあたって、住宅ローンを利用する際の注意点を見ていきます。新築住宅を購入するケースにはない特有の事情もあるので、検討する前にあらかじめ確認しておくといいでしょう。
住宅ローンに関する検討時間が短い
中古住宅購入で住宅ローンを利用する場合、検討できる時間が短い点には注意が必要です。
新築住宅であれば、契約を締結してから引き渡しまで通常数ヶ月はかかるため、その間に腰を据えて住宅ローンについて検討することができます。一方、中古住宅は、売買契約を締結してから引き渡しまでのスケジュールがタイトなケースがほとんど。売主の状況によっては、契約締結から1ヶ月程度で引き渡しを受けなければならないこともあるのです。
つまり、新築住宅のように契約を締結してから住宅ローンを考え始めるのでは、引き渡しに間に合わなくなる危険性があります。タイトなスケジュールを見込んだうえで、契約前からリノベーション会社や不動産仲介会社に相談するなど、住宅ローンについての検討を始めておくといいでしょう。
借入金額や借入期間に制限があることも
中古住宅購入の場合、新築住宅に比べて借入金額の上限が低かったり、借入期間が短かったりといった制限がかかる可能性があります。
住宅ローンは融資対象の不動産(土地・建物)を担保として融資が行われます。万が一、借入者の返済が困難となった場合、融資対象の不動産を売却することで債権を回収するのです。
そのため、借入金額の上限は不動産の担保価値に大きく左右されます。中古住宅は、築年数が経過しており建物価値が新築に比べて目減りしているため、担保価値も低くなると考えられます。結果として、新築に比べて借入金額の上限が下がるというわけです。
担保価値が低いために借入期間も短くなる可能性があるので、余裕のある資金計画で住宅ローンを組むよう心がけましょう。
住宅ローン控除(減税)も適用される
借入期間10年以上の住宅ローンを利用して新築住宅を購入する場合、住宅ローン控除(減税)が受けられますが、中古住宅の購入でも同様に利用できます。中古住宅購入における住宅ローン控除の要件や内容は次のとおりです。
項目 | 内容 |
主な要件 | ・自身の居住するための住宅であること ・合計所得金額2,000万円以下であること ・借入期間10年以上の住宅ローンを利用した購入であること ・住宅の床面積が50m2以上であること など |
借入限度額 | 2,000万円 |
控除期間 | 10年間 |
控除率 | 0.7% |
以前は耐火住宅で築25年以内、それ以外の住宅で築20年以内という築年数要件が設けられていましたが、2022年度の制度変更により廃止されました。現在の制度では、新耐震基準を満たす中古住宅(1982年以降に建てられた住宅)について適用されることになっています。
また、1981年以前に建てられた住宅であっても、耐震基準適合証明書を取得できれば住宅ローン控除を受けられる可能性があります。
リフォームローンと住宅ローン(一体型ローン)
中古住宅を購入してリノベーションをする場合、リフォームローンもしくは住宅ローン(一体型ローン)を利用できる可能性があります。
- リフォームローン:リフォームやリノベーションの費用専門で使えるローン
- 住宅ローン(一体型ローン):物件購入費用とリフォーム費用をまとめて借り入れるローン
2つのローンのメリット・デメリットを順番に見ていきましょう。
参考記事:リノベーションで使えるローンまとめ〜一体型ローンとリフォームローンの違いとは
リフォームローンのメリット・デメリット
リフォームローンは、住宅ローンと異なり無担保で借り入れられるものが多く、比較的融資を受けやすいうえにスピーディに借り入れられるのがメリットです。ただし、無担保であるために借入可能金額は数百万円程度と少なく、借入期間も10〜15年程度と短めに設定されている点はデメリットと言えるでしょう。
相続や贈与で中古住宅を取得するケースや、手持ち資金で物件を購入するケースでは、リフォーム・リノベーション費用のみを借り入れる目的でリフォームローンを活用できます。
住宅ローン(一体型ローン)のメリット・デメリット
中古住宅の購入費用とリフォーム費用のどちらも借入でまかないたい場合、一体型ローンの利用を検討するのがおすすめです。
一体型ローンは通常の住宅ローンと同様に物件を担保にして借り入れるので、融資の審査が厳しく審査期間も長くなるのはデメリットと言えます。その分、借入可能額は最大1億円程度と大きく最長35年まで借り入れられるので、物件購入と合わせて大規模なリノベーションを計画している人でも利用しやすいローンと言えるでしょう。
まとめ
中古物件を購入してリフォーム・リノベーションを行うにあたっては、新築住宅を建築・購入するのとは異なる注意点があります。特に築古の中古物件を購入する場合、築年数の関係でローンの借入可能額が小さかったり、住宅ローン控除の対象とならなかったりするといったデメリットもあるので要注意です。
リーズナブルに理想の住まいを手に入れる方法として人気の「中古物件購入+リノベーション」ですが、デメリットがあることも十分に理解したうえで検討するといいでしょう。
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