リノペディアとは
リフォームやリノベーションの実際のユーザーの声をもとに、現場からその工事にかかる費用・工期・注意点などのポイントをまとめた工事事典です。

監修：空間プロデューサー 岡野 潤
「引き渡しからが本当のお付き合い」。施工責任者・アフター責任者として、住んでからの小さな改良工事や疑問点・お困りごとの相談など全般を担う

今回のテーマ
２つの部屋を隔てる間仕切り壁を撤去して繋げたい（戸建ての場合）

1.　この工事で影響する場所は？

・壁

２つの部屋を仕切っている間仕切り壁を撤去する工事が必要です。また、間仕切り壁と繋がっていた壁の補修やクロスの張替えが必要です。

・床

間仕切り壁があった床部分に傷が残るため、補修工事を行い、見切り材を入れて仕上げる必要があります。

２つの部屋の床を繋げて仕上げる場合や、各部屋の床の高さが違う場合には、解体して高さを合わせて仕上げ材を張るために下地工事が必要です。

・天井

間仕切り壁があった天井部分に傷が残るため、補修工事を行い、見切り材を入れて仕上げる必要があります。

２つの部屋の天井を繋げて仕上げる場合や、各部屋の天井の高さが違う場合には、解体して高さを合わせて仕上げ材を張るために下地工事が必要です。

・配線（必要な場合）

撤去したい間仕切り壁にスイッチやコンセントが付いている場合、移設工事が必要になります。

また、間仕切り壁内に配線が通っている場合にも、移設する必要があります。

2.　費用相場

・費用相場は、約50～100万円です。

 撤去する間仕切り壁の面積が広い場合や、壁の範囲が増えると補修の箇所も増えるため費用が上がります。

・費用には下記のものが含まれます。

　解体工事（処分費を含む）
　床の仕上げ材（フローリング・タイルなど）
　天井・壁の仕上げ材（壁紙・珪藻土など）
　配線（電気工事が必要な場合）

3.　工期の目安

1週間程度

上記が基本の日数となり、必要となる追加工事の種類が増えるに従って、工事の日数も増えます。

4.　工事の流れ

1）間仕切り壁の解体・撤去

２つの部屋を隔てている間仕切り壁を解体して、撤去します。

 2）下地補修

間仕切り壁を撤去したことで、天井や壁、床に残った傷を補修して下地を整えます。

２つの部屋の内装材を繋げて仕上げる場合には、床や壁、天井を解体して高さが水平になるように、下地を作ります。

 3）内装仕上げ

間仕切り壁があった部分に見切り材を入れて仕上げます。

２つの部屋の内装材を繋げる場合は、部屋全体の壁（壁紙や塗り壁）、床（畳やフローリング）などの内装を仕上げます。 

5.　間仕切り壁を撤去する工事のリノベーション・リフォームの事例

 事例1：構造体を見せる仕上げで間仕切り壁を撤去

構造体の柱や筋交いがある壁でも、塗装によって見せる仕上げにすることで間仕切り壁を撤去して開放的になっています。間仕切り壁があった床や壁は見切り材を入れることで、工事範囲を抑えて仕上げることが出来ます。

 事例２：フローリングを張替えスッキリ広々空間に

フローリング全体を張り替えることで、区切りのないスッキリとした空間に仕上がっています。抜けない柱は天井に梁を施しデザイン性を高め、さらにフローリングの色と合わせて、あえて色をつけることでモダンな雰囲気になっています。

6.　業者の選び方チェックポイント

１．工事品質　

事前の現場確認の記録を残しているか
当たり前のことですが、寸法などの記録をしっかりとることです。

養生をしっかりしているかどうか
工事の際には特に、通路・エレベーターなどの共有部分に養生の仕方に差が出ます。丁寧さはこういう場所に出るというのは現場でも大切にしています。

現場を裸足で歩けるか
整理整頓ができている現場は釘などの危険な工具が落ちていません。部材の整理整頓はもちろん、ほうきと塵取りでこまめに掃除ができる環境であることも大切です。

リスクの説明があるか
中古リノベーションの場合は、現場の状況により希望していた工事が出来ないケースがあります。契約の前にリスクの説明があるか確認しましょう。

２．デザイン提案力

メーカー品以外の提案ができるか
有名メーカーのアイテムは、どの業者でも比較的見積を取りやすいですが、有名メーカー以外への知見もあるかが一つの基準になります。

ニーズにあった提案ができるか
ヒアリング時に「どのアイテムが良いか」だけでなく、「なぜその窓が良いか」や、「使い方」のヒアリングがあると、ニーズに沿った提案があることが期待できます。アイテムが決まっている場合は個人でインターネットで価格を確認しながら選択できるメリットがあります。デザイン提案を期待するのであれば、使い方を含めたデザイン案を出せる業者が良いでしょう。

7.　工事の際の注意点や意外な落とし穴

床や天井の高さが部屋によって違う場合がある

各部屋は、間仕切り壁が出来た後に床や壁を作るので、中には、間仕切り壁を撤去すると隣接する部屋の天井や床と大きく高さが違うことがあります。高さが違う場合には、床や天井を解体して高さを合わせる工事が必要になりますので注意が必要です。

内装材を全て張り替えずに、見切り材を入れて仕上げる予定だった場合は特に、段差が出来てしまったり、補修のために工事範囲が広がり、費用が高くなってしまったりするので、見切り材による仕上げが可能かどうか、確認しておきましょう。

配線工事が必要になる場合がある

間仕切り壁にコンセントやスイッチがある場合は、移設のために配線工事が必要になります。移設先を決めて、影響する壁の仕上げ方法も決めておきましょう。

また、撤去しようと解体した間仕切り壁の中や床部分に、予期せずに配線が通っている場合があります。必要な配線であれば、移設工事が必要となり、工事範囲が広がり、費用も高くなってしまいます。

構造体に影響する壁の場合があるので確認が必要

戸建ての場合は、間仕切り壁に家を支える柱や筋交いといった構造体が入っている場合があります。構造体は耐震の面からも抜くことが出来ません。そのため、構造体に影響のある壁かどうかを確認しておきましょう。

構造体が入っている場合でも、柱や筋交いを見せて壁を撤去することは可能です。見せる仕上げにする場合は、「構造体をどのように活かすか」や、仕上げ材や色などを決める工程が発生します。

8.　HAGSオススメのフローリング

HAGSアイテム：無垢フローリング コンビットソリッド[ユニタイプ] ウォールナット

世界の銘木を、天然由来の植物オイルと植物ワックスから作られたナチュラルオイルで仕上げた無垢フローリングです。オイルによって木目を美しく引き出しつつ、傷や汚れから表面を保護し、サラッと足触りの良さを感じることが出来ます。

HAGSアイテム：【HAGSオリジナル】無垢フローリング 北海道産 ニレ 節無 ヘリンボーン W75

北海道産のニレの原木のみを使用して作られたHAGSオリジナルの無垢フローリングです。矢羽状に敷き詰めたヘリンボーン仕上げ張りに特化したフローリングで、６種類のカラーバリエーションがあります。

HAGSアイテム：【HAGSオリジナル】無垢フローリング Vivi Wide アカシア W120 ミックスUNI [オイル/UV]

豊かな木目が引き立つ12cm幅の幅広アカシア無垢フローリングです。アカシア特有の、濃く深みのある茶色と白色の濃淡が楽しめる木目で、重厚感と高級感を感じさせます。固く粘りがある材質で、耐久性に優れ、シロアリへの抵抗力も備えています。

9.　まとめ

この「リノペディア」では、リフォームやリノベーション時のモヤモヤを一つずつ紐解くことで、後になって思いもよらない事態に陥ることがないよう、実用的な注意点をお届けしています。費用は現場の状況や時期により異なる点、工期や状況も現場の状況が優先されますので、ここに記載された情報を参考に、事前に業者にしっかりと確認をするようにしましょう。