リノペディアとは
リフォームやリノベーションの実際のユーザーの声をもとに、現場からその工事にかかる費用・工期・注意点などのポイントをまとめた工事事典です。

監修：空間プロデューサー 岡野 潤
「引き渡しからが本当のお付き合い」。施工責任者・アフター責任者として、住んでからの小さな改良工事や疑問点・お困りごとの相談など全般を担う

今回のテーマ
LDK内でキッチンを移動させたい

1.　この工事で影響する場所は？

・給湯・給排水管

キッチンの移動位置まで配管し、水栓に繋げる工事が必要です。

・床

キッチンの移動位置まで給排水管を引くために床を解体する必要があります。既存のキッチンがあった部分の給排水管の跡を補修し、フローリングやクッションフロアなどの仕上げ材を張替える工事が必要です。

・壁

壁付けキッチンや、片面壁に接しているペニンシュラ型のキッチンを移動する場合は、既存位置の壁の補修工事と、壁紙の張替えなどの仕上げ工事が必要となります。給排水管が壁を通っている場合は、移動位置まで壁を解体して配管する工事も必要となります。

・天井

キッチンの移動に伴ってレンジフードや照明の移設が必要になります。移動位置までの排気管の設置と既存部分の跡を補修し、クロスなどの仕上げ工事が必要となります。

・排気・電気配線

レンジフードやIHクッキングヒーター、食洗器のための配線・電気工事が必要です。

キッチンの移動に伴って、コンセントや照明の位置を移動したり、新設したりする場合も配線・電気工事が必要となります。

2.　費用相場

・既存のキッチンを活用した場合の費用相場は、約100万円～です。

上記の相場は、ダイニングキッチン内での1～２ｍ程の移動の場合で、移動距離が長くなればなるほど、工事範囲が広がり、費用は高くなります。

・費用には下記のものが含まれます。

　既存キッチン解体・組み立て
　床の仕上げ材（フローリング・クッションフロアなど）
　壁の仕上げ材（キッチンパネル・クロスなど）
　天井の仕上げ材（クロス・木板など）
　配線（レンジフードや食洗器などの電気工事）
　配管（給排水や排気のための配管工事）

3.　工期の目安

7日～10日間位

上記が基本の日数となり、キッチンの移動距離が遠い場合や、必要となる追加工事の種類が増えるに従って、工事の日数も増えます。

4.　工事の流れ

1）キッチン解体

移動するキッチンを解体して床や壁、天井から外します。

2）床・天井の解体

キッチンを移動する位置までの床と天井を解体します。

3）給排水管工事

移動先まで給排水管を繋ぎます。

4）電気工事

移動先まで電気配線を行います。必要な場合は照明やコンセントの移設・増設工事を行います。

5）床・壁・天井の補修

元の位置の給排水管の跡やレンジフードの排気口の跡を補修します。

6）床・壁・天井の内装仕上げ

床（フローリングやクッションフロア）、天井・壁（壁紙や塗り壁）、などの内装を仕上げます。

7）キッチンを組立て・設置

移動先にキッチンを組立て・設置し、電気や給排水管、排気管を繋ぎます。

5.　キッチンの場所を移動する工事のリノベーション・リフォームの事例

事例1：床の仕上げを変えた明るい南欧風キッチン

キッチンの移動に伴って張り替える床を、既存と同じ床材ではなく、テラコッタ風のクッションフロアで仕上げています。床と白のキッチン、デッキに続く大きなサッシがマッチした明るい南欧風のLDKになっています。

事例２：自然の温もりを感じられるコルク床のキッチンスペース

配管スペースを作るために床上げした部分を、水に強く温かさを感じられるコルク材で仕上げています。背面の壁とアーチ型の入口にしたパントリー内をベビーピンクの塗り壁で仕上げた、可愛らしいキッチン空間です。

事例３：シンプルでスタイリッシュな下がり天井のキッチン

シンプルなホワイトコーディネートですが、キッチン部分の天井を下げて空間を分けています。石目調の人工大理石の天板とタイル調のキッチンパネルを同じ幅で繋げることで、シャープな印象を与えてくれています。

6.　業者の選び方チェックポイント

１．工事品質　

事前の現場確認の記録を残しているか
当たり前のことですが、寸法などの記録をしっかりとることです。

養生をしっかりしているかどうか
工事の際には特に、通路・エレベーターなどの共有部分に養生の仕方に差が出ます。丁寧さはこういう場所に出るというのは現場でも大切にしています。

現場を裸足で歩けるか
整理整頓ができている現場は釘などの危険な工具が落ちていません。部材の整理整頓はもちろん、ほうきと塵取りでこまめに掃除ができる環境であることも大切です。

リスクの説明があるか
中古リノベーションの場合は、現場の状況により希望していた工事が出来ないケースがあります。契約の前にリスクの説明があるか確認しましょう。

２．デザイン提案力

メーカー品以外の提案ができるか
有名メーカーのアイテムは、どの業者でも比較的見積を取りやすいですが、有名メーカー以外への知見もあるかが一つの基準になります。

ニーズにあった提案ができるか
ヒアリング時に「どのアイテムが良いか」だけでなく、「なぜその窓が良いか」や、「使い方」のヒアリングがあると、ニーズに沿った提案があることが期待できます。アイテムが決まっている場合は個人でインターネットで価格を確認しながら選択できるメリットがあります。デザイン提案を期待するのであれば、使い方を含めたデザイン案を出せる業者が良いでしょう。

7.　工事の際の注意点や意外な落とし穴

どの範囲まで内装工事をするかを決めておく

キッチンを移動することで、壁や床を張り替える必要があります。そのため、LDKのように空間が繋がっている場合は、範囲を決めておかなければ全面になってしまいます。全面張り替えることで、見栄えは良くなりますが、工事期間は長くなり、費用も高くなります。事前に間取りやキッチンスペースに合わせて範囲を決めて、見切り材を入れたり、仕上げ材を変えたりして区切るようにしましょう。

大きな移動が出来ない場合もある

集合住宅の場合は、排気口や給排水口の位置が決まっています。そのため、大きな移動が出来ない場合があります。仮に移動が出来ても、決められた位置まで排気管や給排水管を繋ぐ必要があり、天井に見える排気管が長くなってしまい圧迫感が出るかもしれません。

また、給排水管が長くなるほど勾配が必要となるため、床下のスペースには収まらなくなってしまう可能性があります。その場合は、移動した範囲の床を上げて配管を通すスペースを作る必要があり、バリアフリーではなくなってしまいます。大きな移動に伴うデメリットや、部屋の見え方を確認したうえで移動位置を決めましょう。

8.　オススメのHAGSオリジナルキッチン

HAGSアイテム：HAGS-pulito

シャープな印象を与える総ステンレス仕上げのキッチンです。ステンレスキッチンで人気の業務用と違い、組み合わせタイプではなく、１枚天板で凹凸無く続くシンクやビルトインタイプのコンロなので、シンプルで掃除がしやすいデザインです。引き出し収納もあり、インダストリアルテイストながら、家庭での実用性を兼ね備えたキッチンです。

HAGSアイテム：HAGS-one-pine

面材がニュージーパイン無垢による仕上げのため、温かで素朴な、木家具のような趣きがあります。扉は無塗装か６色のカラーバリエーションがあり、天板はステンレスか人工大理石の２種類から選べるため、家具のように部屋のテイストに合わせてコーディネート出来るキッチンです。

9.　まとめ

この「リノペディア」では、リフォームやリノベーション時のモヤモヤを一つずつ紐解くことで、後になって思いもよらない事態に陥ることがないよう、実用的な注意点をお届けしています。費用は現場の状況や時期により異なる点、工期や状況も現場の状況が優先されますので、ここに記載された情報を参考に、事前に業者にしっかりと確認をするようにしましょう。