交通アクセスや周辺環境がよい割にリーズナブルな団地は、リノベーション向け物件としても人気です。団地は築年数の古い物件が多いものの、建物構造が頑丈で地震などにも強いと言われています。安価な団地物件を購入して、思い思いにリノベーションしたいと考えている人も多いかもしれません。
今回はそのような人に向けて、団地をオシャレにリノベーションした事例を3つ紹介していきます。
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事例1:団地ならではの壁も上手く取り入れたリノベーション
1つ目に紹介するのは、東京郊外のニュータウンに建つ、築33年の団地をフルリノベーションした事例です。
広く開放的なLDKは、もともとのLDKと隣接していた和室を一体化して、スペースを広げています。最上階のため、高い天井は勾配天井になっていて、立体的な空間の広がりも感じられますね。
上の間取り図と、1枚目のLDKの画像を見るとよくわかるのですが、LDKの中央には構造上取り払えない、耐力壁と呼ばれる壁が残されています。団地は「壁式構造」という、壁で建物を支える構造になっていることが多く、壁を自由に取り払えない=間取り変更に制限がかかるケースが多いのです。
こちらの家では、その問題を克服するため、LDKにはなるべく収納を設けず、他の場所で耐力壁を最大限生かしてWICやパントリー、収納を設置。中央に壁を残しながらも、十分に開放感のあるLDKを実現しています。それどころか、耐力壁をグレーに塗装することで、インテリアのアクセントとして上手く機能しているのです。
造作のキッチンは、IKEAのキャビネットを使用していますが、上から古材を張り付けることにより、北欧風のオシャレなキッチンに仕上げています。白のサブウェイタイルと白の剥き出し配管も見事にマッチしていて、ここが団地の一室であるというのを思わず忘れてしまうほどです。
リノベーションにとっては、何かと制限になるケースの多い耐力壁を上手く利用して、「この間取りでしか叶えられないリノベーション」を実現しているのがポイント。画像右は玄関からLDKにかけての廊下の様子ですが、壁をそのまま生かして造作棚を設置して、収納力を確保しています。
左は洗面所の様子です。団地の洗面所は、間取りの都合により薄暗い場合も多いですが、ガラスブロックを効果的に用いて、明るい空間になっています。
事例2:こだわり照明でアジト感満載の団地リノベーション
続いて紹介するのは、都内にある築46年の団地の一室をリノベーションした事例。何と言っても目を引くのが、LDKの天井全面に広がる鉄管を組み合わせて作られたオリジナルの照明です。躯体現しの天井、剥き出しの配管、ヴィンテージ感のあるダークブラウンのフローリングと相まって、インダストリアルな印象を強く感じさせます。
LDKを振り返った反対側には、収納力抜群の壁一面に広がる造作棚が設けられています。棚の背面には色の濃いブリックタイルが張られており、ブルックリンスタイルを決定づけるアクセントになっているのがポイント。団地は収納が少ないケースも多いので、こうした大容量の造作棚で収納問題を解決するというのも効果的です。
収納力の確保という点で見逃せないのが、玄関脇に設けられた大型の土間収納。モルタル仕上げのインダストリアルな土間収納は、なんと約3畳もの広さがあり、家族4人の靴や荷物を十分に収納しておくことができます。土間収納と部屋どちらからもアクセス可能なWICも設けられていて、ストレスなく外出できる動線が確保されています。
1つ目の事例でも紹介したとおり、団地は建物構造の関係で間取り変更がしづらいことが多いのですが、それを上手く利用すれば、団地ならではのオシャレで快適な住まいを実現できるのです。
事例3:団地を感じさせない非日常リノベーション
最後に紹介するのは、兵庫県神戸市にある築40年の団地をリノベーションした事例です。画像を見てのとおり、見渡す限り白い空間が広がる部屋は、団地の一室という日常空間でありながら、どこか非日常を感じさせる仕上がり。「白い画用紙のように」というコンセプトでリノベーションされており、住む人のライフスタイルによって何色にも変化できる可能性を秘めています。
一方で、画像奥の部分は小上がりになっており、床下に大型の収納を確保。団地にありがちな収納不足問題も克服していて、住み心地の良さもしっかりと考えられていますね。
キッチンももちろん白で統一されていて、ショールームや店舗のような洗練された空間となっています。カウンター、キャビネット、天板全てがフラットになっているので、全体的にスッキリとした印象です。構造上、残さざるを得ない梁が天井に通っているものの、それが逆に白一色の空間における、立体的なアクセントになっているのも面白いところですね。
全ての空間が白に統一されていると思いきや、居室は鮮やかなスカイブルーで彩られています。白とスカイブルーの組み合わせは、まさに空を飛んでいるかのよう。たとえ雨の日で外に出られないときでも、鬱屈とした気持ちから少し解放されそうですね。
スカイブルーの居室の先には白で統一された水回りがあります。床と壁は、白の小さなスクエアタイルで仕上げられていて、清潔感のある仕上がりです。ガラスの仕切りで開放的なバスルームは、在来工法で作られており、よくあるユニットバスには出せない唯一無二のオシャレさを演出してくれています。
センスのよいリゾートホテルへ泊まりに来ているかのような内装に、思わず毎日が楽しくなることでしょう。
まとめ
交通アクセスが良く生活利便性が高い割に、一般的な中古物件に比べてリーズナブルに取得できる団地は、こだわりリノベーションを実現するのに適した物件です。
ただし、団地は構造的に、間取り変更がしづらいという欠点があります。今回紹介した3つの事例のように、欠点を逆手に取ることで、団地の良さを最大限生かしたリノベーションを実現できると言えるでしょう。
物件価格を抑えつつ、こだわりたいところにコストをかけて理想の住まいを実現したいという人は、団地リノベーションにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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