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家づくりに大切な気密性能。住まいにもたらす5つの効果とは

快適に過ごせる家づくりを考える際に、気密性能は大切なポイントの1つと言えます。高気密な住宅は室内外の空気の出入りを抑え、さまざまな効果を発揮します。気密に加えて断熱や換気についてもセットで考慮することで、気密性能の効果をより高められるでしょう。気密性能が住まいにもたらす効果とは何なのか、詳しく解説します。

住まいにおける気密とは

気密性が高い住まいとは、言い換えれば、隙間が少ない家です。住宅には、壁と床、壁と壁、壁と天井といった接合部が多くあります。接合部には隙間が生じやすいため、この隙間を減らすことで密閉性を高められます。密閉性を高めると、室外と室内の空気の出入りを抑えられ、外気温の影響を受けにくくなるなどの効果をもたらします。

隙間を減らす工法は、業者によって変わってきます。気密シートを使う方法では、壁や床、天井の室内面側に気密シートを施工し、隙間が無いように住宅を包みます。施工の難易度は高く、丁寧で確実な施工を行うための高い技術も不可欠です。気密テープや気密パッキン材などの補助材を用いて、気密性を高めていきます。気密ボードを使う工法は、構造用面材を気密層として利用する方法です。面材そのものが空気を通さないため、施工を簡略化しつつ気密施工の精度を高められます。

家中の隙間を無くしていく作業は、困難を伴う場合も多いです。手間やコストはかかりますが、気密性の高い住宅は快適な暮らしをもたらしてくれるでしょう。

気密は断熱・換気と併せて考えるもの

快適な住環境をつくるためには、気密に加えて断熱や換気についても同時に考える必要があります。これらは家づくりにおける大切なポイントです。気密との関係性についてみていきましょう。

気密と断熱の関係

断熱性能を高める手段として、断熱材を外壁と内壁の間や天井、床に入れる、断熱性の高い窓を採用するといった方法が挙げられます。このように、断熱性をアップさせて室内が暖かくなっても、家が隙間だらけでは熱が逃げてしまいます。断熱性能を高めるために、気密性は大切な要素というわけです。

気密と換気の関係

高気密な家は隙間が少ないため、適切な換気が行われないと家の中に汚れた空気が充満してしまいます。室内の空気は人の呼吸や調理のにおい、湿気、カビ、ダニ、建材や家具から出る化学物質などによって、いつの間にか汚れています。住まいの快適性や人体の健康面への影響から、換気と気密は同時に考える必要があります。

気密性能の高さがもたらす5つの効果

気密性能の高い家にすることで、暮らしにどのような効果をもたらすのか詳しくみていきましょう。5つの項目に分けて解説します。

部屋ごとの温度差を少なくする

部屋ごとの温度差が大きいと、ヒートショックを引き起こす原因になります。ヒートショックは、急激に温度が変わることで、血圧が急上昇または急下降して心臓に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞につながることが懸念される現象です。例えば冬に暖かい部屋から寒い脱衣所へ、そして熱いお風呂に入ったときには、血圧が何度も変動して体にダメージを与えてしまいます。気密性能の高い家では部屋ごとの温度差を少なくすることで、ヒートショックの防止につながります。

室内における上下の温度差を減らす

冷たい空気は下に溜まり、暖かい空気は上に流れる性質を持ちます。隙間があると暖かい空気が上から漏れて、その分床下から冷えた空気が流れ込んできます。気密性が高い家は室内の上下での温度差が少なく、季節を問わず快適に過ごせる環境をつくることができます。

冷暖房効率を上げる

冷暖房で室温を快適にしても、隙間が多いと空気が出入りして外気の影響を受けやすくなります。冷暖房をつけているのに部屋が暑い、もしくは寒いといった状況に陥りかねません。隙間を少なくすると、効率的に冷暖房を使えます。光熱費の削減にもつながるでしょう。

計画的な換気で空気を新鮮に保つ

十分な換気ができていないと、建材などから出る化学物質が室内に滞留することで、シックハウス症候群を引き起こす可能性があります。シックハウス対策の1つとして、2003年の建築基準法改正により、住宅への24時間換気システムの設置が義務化されました。

(参考:建築基準法に基づくシックハウス対策について|国土交通省)

隙間があるからといって、換気が上手にできているわけではありません。家の中に隙間の多い部屋と少ない部屋があると、空気の流れが滞り、換気効率が悪くなります。気密性を高め、換気を計画的に行い、室内の空気を快適にしましょう。

遮音性が高まる

高気密な家は、遮音性も高まります。車や電車の音などの外からの騒音が気にならなくなると、室内でも快適に過ごせるでしょう。反対に、室内で子どもが騒いだり、ペットが吠えたりして外への音漏れが気になる場合にも、防音効果のある高気密な家は安心といえるでしょう。

まとめ

気密性能の高い家とは、隙間を少なくした家のことです。気密性を高めるには、専用部材や技術力を必要としますが、暮らしに快適さをもたらしてくれるでしょう。気密は、断熱や換気と併せて考える必要があります。気密性能が高いことで、室温が快適に保たれ、冷暖房効率が上がります。さらに計画的に換気しやすいため、空気を新鮮に保てたり、遮音性を高めたりといったメリットもありますす。住まいづくりの際には、気密性能にも注目してみてはいかがでしょうか。

writing:ハナミ