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タイルの目地幅はどれくらい?決め方は?資材量計算の便利な方法も紹介

タイルは、部分的に取り入れるだけでもインテリアをクラスアップしてくれる魅力的なアイテムですね。今回のテーマは、タイルを張り付ける面の出来栄えにも大きく関係している、目地についてです。

タイルの目地は施工上の理由で必要になるものですが、幅や色によって仕上がりの印象も左右するという一面も持っています。「タイルの目地幅なんて細かいところまであまり気にしたことはない」とおっしゃる方も多いかもしれませんが、知るほどに奥深いのが目地の世界。少し覗いてみてください。

タイルに目地が必要なのはなぜ?

タイルを施工するなら、原則として目地が欠かせません。その理由は、タイルを割れや剥がれから守るためです。タイルは気温などの環境変化によって収縮する性質があります。膨らんだ時にぶつかり合って割れることがないよう、少し離して並べ、目地材で間を埋めてサイズ変化を吸収する仕組みになっているのです。

タイルを張り付けた壁や床が、経年変化で縮んだり地震などでゆがんだりした場合も、目地が緩衝材となってその変化を吸収するので、タイルを守ることにもつながります。

また、タイルは焼き物なので形が不揃いになりがちで、並べた時に縁のラインがきれいに揃わないことも。目地を置けば直線が強調され、タイルが不揃いでも整然と並んだように見せられるでしょう。目地にはタイルの形のばらつきを目立たなくさせる役割もあるのです。

そして、タイルの意匠にも目地は大きく関係しています。目地の幅や色を変えただけで、同じタイルを使っても出来上がりの印象が変わってくるものです。目地もデザインのうちといえるでしょう。

タイル張りの目地幅には基本がある

タイルの目地幅は、キッチンや浴室などで使う内装用のタイルなら2~3mmくらい、外壁やエクステリアの外装用なら8~10mmくらいといわれています。気温などの環境変化が大きい外装用のほうが、幅が広くなっているのです。

また、大きいタイルはそれだけ環境変化の影響も出やすいので、目地を広く取る傾向もあるようです。反対に、意匠用のモザイクタイルなど小さいタイルの目地幅は、2㎜より狭くなることもあります。

タイルのカタログで目地幅が分かる

基本の目地幅はありますが、タイルは種類によって大きさや質感、形もさまざまですから、目地幅もタイルごとに適した幅を選びたいものです。お気に入りのタイルにぴったりの目地幅を知りたいなら、タイルのカタログ情報をチェックするところから始めましょう。

多くのカタログでは、タイルそのものの「実寸法」と、目地を含んだ「目地共寸法(目地込み寸法)」という2種類のサイズが示されています。目地共寸法とは、タイルの実寸法に目地幅を加えたサイズです。

例えば、正方形のタイルがあり、そのサイズは次の通りだとします。
 実寸法:296mm×296mm
 目地共寸法:300mm×300mm
この場合、実寸法と目地共寸法の差である4mmが、目地幅となります。

もし実寸法しか記載が無い場合には、サイズ表以外の注意事項の中で、目地幅について指示されていることも多いようですので、見落とさないようにしましょう。

ところで、先ほどの例に挙げたようなタイルは、目地共寸法から「300角タイル」と名前がついている場合があります。しかし、メーカーやカタログによっては、同じ300角でもタイルの実寸法が300mmということもあり得ます。目地幅4mmなら、このタイルを10枚並べると40mmのズレが出てしまうことになるので、注意したいものです。

タイルのカタログを見るときには、サイズ表記が統一されていない可能性も頭の隅に残しておきましょう。これぞ、と思ったタイルは、サイズ表と施工上の注意事項をよく読みこんで、タイルの実寸法と目地を含めた目地共寸法の両方を確かめることをおすすめします。

可能ならサンプルを取り寄せると、リアルなサイズ感が分かって施工後のイメージもよりクリアになるので、おススメです。

参考1:タイルライフ「すぐわかるタイルの基本 ~目地編~」
参考2:建築の納まり図とその解説「タイルサイズと目地の関係」

目地幅の違いを楽しもう

タイルの目地幅は、作りたいテイストや意匠性を考慮して設定することもあります。目地幅によってどのような演出ができるのか、大まかな傾向を見てみましょう。

●広い目地幅
アンティーク感や手作り感を活かしたいタイルには、広めの目地が好相性です。あえてタイルの端を不揃いにして味わいを出しているタイルも、広めの目地にすれば目地どおりがよくなるので、程よく整った仕上がりにすることができるでしょう。

●細い目地、目地無し(眠り目地/空目地)
モダンでスタイリッシュな演出をするなら、タイルの目地は細くしてできるだけ目立たないようにするのが王道でしょう。タイルの目地幅を可能な限り細くしたり、目地をなくしたりすることもできます。ただし、美しい仕上がりのためには、タイルを選ぶ際に誤差なく同じサイズに作られたものを選ぶことが重要、と覚えておきましょう。

●目地幅を変える
縦目地と横目地で目地幅を変える手法もあります。例えば、縦目地を細く、横目地はしっかり幅を取れば、横のラインが強調され、独特のリズム感を演出できるでしょう。横長のタイルを使う二丁掛スタイルで見かけたことがあるかもしれませんね。大小2種類のサイズのタイルを使う場合などにも応用が利きます。

DIYで役立つ、目地材使用量計算のヒント

タイルはDIYでも人気ですね。DIYでは、タイルを接着剤で張り付けた後、隙間に目地材を塗り込む作業が続きます。目地材はセメントを原料にしているものが主流で、砂状の目地材に水を加えて練り、適度な硬さに整えて乾く前に塗り込んで使います。ここでポイントになるのは、どのくらいの目地材を練るのか、というところです。

練った目地材が少なければ、途中で新しく練って目地材を追加しなければなりません。作業が二度手間になって時間がかかるだけでなく、焦って分量を間違えたり、手元の資材が足りなくて後日買い足す、といったことにもなりかねません。

また、多く練りすぎた場合、個人のDIYでは他に使い回すことも難しいでしょう。しかし、余った目地材は廃棄方法にも要注意。練った目地材は乾くと固まってしまうので、下水管に流すことは避けなければなりません。地域によっては、産業廃棄物の扱いになって廃棄に料金がかかることも考えられます。

便利な計算ツールを使ってちょうどいい量の目地材を計算しよう

タイルの施工面積に対して必要十分な目地材の量が分かっていれば、安心して作業に取り組めますね。目地材のパッケージやカタログには、使用料の目安が掲載されていますので、それを参考に計算すればよいのですが、計算は自信がない、と不安を感じる人もいるかもしれません。

そこで、必要な目地材の量を比較的簡単に計算できる便利な方法がありますので、ご紹介しましょう。

一つ目は、広く使われている目地材を扱っているLIXILによる「目地材使用量目安 計算方法」です。タイルの厚さ、実寸法、目地共寸法を使った式に、目地材ごとに決められた係数を組み合わせて、施工面積1平方mあたり何㎏の目地材が必要かを算出します。

この計算式は目地材一覧表とともにタイルや建材のWebカタログに掲載されているので、オンラインで確認できます。(「LIXIL2022タイル建材総合カタログA4版」P763にあります)

参考:LIXIL「カタログ閲覧:タイル建材(建築関係者さま向け)」

もう一つの方法として、タイルに関する総合的な情報を扱っている「TileLife」のサイトに目地材の必要量計算ツールが公開されています。

こちらはブラウザ上でタイル寸法と目地幅、さらに使用予定の目地材1パッケージの重量を入力します。すると、必要な目地材のパッケージ数と、目地材1パッケージで施工できる面積が算出され、表示されます。

参考:タイルライフ「タイルの貼り方」

これらの式やツールは便利ですが、入力するデータを間違しまっては、折角の計算結果も変わってしまいます。タイルの実寸法や目地共寸法、指定されている目地幅などについて、よく確認してから計算するようにしましょう。

まとめ

目地はタイルを接着し割れや欠けから守る役割もありますが、それに加えて印象的なタイル面を作る上でも大切な役割を持っています。目地幅をどれくらいにするかによって、仕上がりの印象も変えられます。目地幅を決める際には、カタログ記載の寸法を十分に確認しましょう。

また、DIYで過不足なく必要な量の目地材を用意するには、メーカーなどが提示している計算式や計算ツールを活用するのも便利でおすすめです。