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増築での注意点は何だろう

増築での注意点は何だろう

家屋を増築しようとする動機は様々です。二世帯住宅にしたい、子供が大きくなったから広くしたい、2階を作りたい。今まで住んでいた家が広がり、できることも多くなるでしょう。新たに大きくなった家でどんなことができるだろう、どんなことが起きるだろうとワクワクします。

でも、ちょっと待ってください。家屋を増築するときには数々の決まりごとがあると言われます。代表的なもののひとつが建築基準法です。これに定められた手続を守らないと、撤去ということにもなりかねません。もちろん、建築業者もこれを把握していますから、建ててから撤去ということはあまり起きないでしょう。

でも想像してみてください。長年思い描いていた増築プランがあり、そのために資金を用意し、さぁ、あとは業者に相談という段階で「実は、この家ではあなたが思い描いているような増築はできません」と言われたとしたら。

そのような事態を避けるためにも、できる増築、出来ない増築、増築にはどんな手続が必要なのかは早い段階で把握しておくことに越したことはないようです。そこで、この記事では増築する際に、把握しておくべきルール、注意すべきポイントを紹介していきます。
 

そもそも増築とは?

増築での注意点は何だろう

まず、増築の定義を説明します。増築とは、床面積を増やすことです。建物そのものの面積が増える場合とは微妙に違います。例えば、平屋だった家屋を2階建てにする(「建て増し」とも言います)、部屋を新たに増やすことも増築です。また、既存の家屋の床や壁を取り払い、新たに床・壁を作り直すリフォームも床面積が増えますので増築の範疇に入るでしょう。

この「床面積が増える」という点が、増築する上で色々と注意すべき点と覚えておきましょう。また、壁を取り払ったりすると、家屋の強度に影響が出ることがありますので、増築する上では注意が必要です。
 

増築で押さえておくべきルール

増築での注意点は何だろう

せっかく増築しても、ルールに違反した場合、撤去が命じられる場合もあり得ます。では、どんなルールがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。


用途地域に基づく制限

用途地域とは、ひと言で言うならば、行政が「この地域は指定した目的のみで使ってください」と命じた地域です。建築基準歩43条が根拠とされます。ただ、個人が増築する際に該当するであろう用途地域は、第1種低層住居地域くらいでしょう。これは、小規模な住宅地に不釣り合いな建物を建築することを制限する趣旨の法律とご理解ください。ただ、高さ制限が12メートルですので、そこだけは気に留めておいたほうがいいでしょう。


建ぺい率・容積率

・建ぺい率
建ぺい率とは、土地の面積に対して建物を建てることができる面積の割合のことを言います。建物を建てるならば、できるだけ土地を限界まで使いたいと思いがちです。でも、土地ギリギリまで使うと、家が火災を起こした時に、すぐに隣家に延焼してしまう恐れも。また、風通しもわるくなるでしょう。そこで、用途地域によって建ぺい率が定められています。(建築基準法53条参照)

なお、建ぺい率は、防火と風通しのために設けられている規則です。ですから、各自治体の防火基準をクリアすると、建物を建てられる面積の割合が増えると言われます。また、角地の場合、風通しを考慮する必要がないので、やはり建物を建てることができる敷地の面積が増えるとされています。


・容積率
容積率とは、敷地の面積に対しての延床面積のことを指します。延床面積とは、1階と2階プラスαの床の面積の合計です。ですから、容積率150%という数値もあり得ます。

容積率が設けられている理由は、人口とインフラとの関係です。たとえば、あまりに容積率が高いと、その建物に住んでいる人も多くなるでしょう。その結果、水道や下水の処理能力を超えてしまうことも予想されます。また、建物前の道路の広さも容積率に関わってきます。高層マンションの住人が一斉に狭い道路に出たらすぐに渋滞が起きてしまう場面を想像してみましょう。


その他のルール

他のルールとしては、

・道路幅員制度: 道の幅に応じて建物の高さや広さが制限されます。
・高さ制限: 日照や景観に応じて建物の高さが制限されます。各自治体によって異なります。


守らないとどうなる?

これらの規定は、防火や風通し、または、インフラを有効に使うために設けられています。したがって守らない場合、地域の住民全体に被害が及ぶことになりかねません。ですから、法は守らない人に対してはそれなりに制裁規定があると心得ておきましょう。

具体的いうと建築基準法では、違反建築物に対する措置を9条で設けています。具体的な措置は下記です。

・9条1項  行政庁は建物の使用禁止 使用制限を命ずることができる
・9条10項 工事にかかる作業停止を命じることができる
・9条12項 措置を命じられた者が履行しない場合には、行政代執行法に基づき撤去できる

増築に関するルールを説明しているサイトで「法律で撤去されることになります」と記されている根拠はこれらと覚えておくとよいでしょう。
 

まとめ

いかがだったでしょうか。増築するに際して色々なルールがあることがおわかりいただけたでしょうか。増築をご検討の際には、ルールについて事前に十分に下調べしてくださいね。