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無垢フローリングと湿気の絶妙な関係〜湿気にまつわるメリット・デメリットとは?

無垢フローリングと湿気の絶妙な関係〜湿気にまつわるメリット・デメリットとは?


こんにちは。不動産ライターのchimonです。今回は、無垢フローリングと湿気の関係性についてのお話です。

新築やリノベーションの際、天然木の質感が美しい無垢フローリングに憧れる人も多いのではないでしょうか。そんな無垢フローリングの最大の特徴が、調湿効果や膨張・収縮といった湿気との関係性にあると言えるでしょう。

この記事では、湿気にまつわる無垢フローリングのメリット・デメリットをご紹介していきます。

 

無垢フローリングは湿気を調節する!

無垢フローリングと湿気の絶妙な関係〜湿気にまつわるメリット・デメリットとは?


まずは、湿気にまつわる無垢フローリングのメリットについてお話ししましょう。天然木を切り出して加工する無垢フローリングは、調湿効果と呼ばれる機能を持つことが知られています。

調湿効果とは、周囲の湿度が高い時には湿気を取り込み、逆に周囲の湿度が低い時には湿気を空気中に放出することで、空間の湿度を調節する効果のことです。この効果によって無垢フローリングの部屋は、梅雨や夏場のジメジメとした時期の不快感が軽減され、秋から冬にかけての乾燥する時期には適度な湿度を保つことができます。

もともと生きている木は、表面から湿気を吸ったり吐いたりして自身の湿度を調整する性質があります。そして、切り出された後の木材もこの性質を維持しているのです。「木は呼吸する」という言葉がありますが、木材が本当に呼吸をしているわけではなく、実際には「木材が水分を吸ったり吐いたりする様子」を「呼吸」と表現しています。

なお、合板から作られる複合フローリングや、表面に造膜型塗料(後ほど解説)を施した無垢フローリングでは調湿機能が働きません。
 

無垢フローリングは湿気で膨張する!

無垢フローリングと湿気の絶妙な関係〜湿気にまつわるメリット・デメリットとは?


無垢フローリングは調湿機能を持っている反面、含まれる水分量によって膨張・収縮するというデメリットがあります。

木材が水分をどれくらい含んでいるかという割合を「含水率」と呼び、木材の含水率が大きくなると体積が膨張するのです。逆に、含水率が小さくなれば体積は収縮します。先ほどの調湿効果と合わせて考えると、湿気の多い夏場は体積が膨張し、乾燥している冬場は体積が収縮するということ。

湿気による膨張・収縮は、フローリングの縦方向よりも横方向に強く働きます。そのため、季節によってフローリングの幅が異なってくるのです。具体的には、乾燥する冬になるとフローリングの隙間が大きくなります。

この特徴を踏まえ、無垢フローリングを張る際には、わざと間を少し開けて「遊び」を持たせることが重要。遊びを設けないと、夏場にフローリングが限界以上に膨張してしまい、結果的に床板が反ってしまう可能性もあるのです。

 

それでも水に弱い無垢フローリング

無垢フローリングと湿気の絶妙な関係〜湿気にまつわるメリット・デメリットとは?


ここまでご紹介したメリット・デメリットを見ると、無垢フローリングは水分と上手く共存しているように思えます。しかし、何も手を加えない無垢フローリングは水に弱いのです。無塗装の無垢フローリングは水をすぐ吸い込んでしまい、含水率が上がれば反ってしまう危険性もあります。

ただ、無垢フローリングは無塗装で使うことはほとんどありません。通常は「浸透性塗料」「造膜型塗料」のいずれかで塗装されています。


調湿機能を活かせるが水分に弱い「浸透性塗料」

最初にご紹介するのが「浸透性塗料」です。浸透性塗料とは、無垢材の表面に塗り込むことで、木の内部まで浸透して保護するタイプの塗料のこと。代表例として、自然由来のオイルやワックスなどが挙げられます。

浸透性塗料で塗装した無垢フローリングは木の質感が保たれ、無塗装の時と同じように調湿効果を有するのがメリット。一方で、耐水性はあまり高くありません。水分を吸収すると、汚れや変質の原因となってしまいます。万が一、水分をこぼしてしまった場合は、速やかに拭き取らなければなりません。大量の水分を使ってのモップがけや水拭きもNGです。

日頃のメンテナンスでは乾拭きや掃除機を使い、年に1回程度、気になる部分にオイルやワックスの再塗装を行いましょう。


比較的水分に強いが調湿機能は見込めない「造膜型塗料」

対する「造膜型塗料」とは、無垢材の表面に薄い塗膜を張ることで木材を保護するタイプの塗料のこと。代表例として、ウレタン塗装やUVウレタン塗装などが挙げられます。

造膜型塗料で塗装した無垢フローリングは、表面にツヤが生まれ、塗膜によってある程度の耐水性を有します。一方で、表面が塗膜で覆われているので木の素材感が失われる他、調湿効果が働かなくなってしまうという点はデメリットです。

浸透性塗料に比べると耐水性は高いので、普段のメンテナンスでも固く絞った水拭きであれば問題ありません。ただ、表面が覆われているとは言っても中身は水に弱い無垢材ですから、大量の水を使った掃除はおすすめできません。


耐水性と調湿効果

浸透性塗料と造膜型塗料を比較すると、次のように特徴をまとめることができます。

 ●浸透性塗料:無垢フローリングの調湿効果を維持できるが、耐水性は高くない。
 ●造膜型塗料:無垢フローリングの調湿効果は失われるが、耐水性は比較的ある。

無垢フローリングと湿気の関係性を考える上では、どちらの塗料を採用するかというのは重要なポイントなのです。
 

まとめ

無垢フローリングは、湿気による影響を大きく受けます。調湿効果をもたらすというメリットもありますが、膨張・収縮作用や水に弱いといったデメリットもあるのです。湿気に関するメリットを活かすか、それともデメリットをなるべく減らすか、考え方によって仕上げの塗料を選ぶというのも一手でしょう。

以上、今回は無垢フローリングと湿気の関係性について解説しました。