Column

ちょっとした空間を、隠れ家的書斎・ワークスペースに活用しよう

「隠れ家」とは心くすぐる言葉ですが、その理由を考えるとポイントになっているのは非日常感ではないでしょうか。

自宅という極めて日常的な空間に、非日常感を楽しめる隠れ家を持つことができたら素敵なことですね。気分を変えてリフレッシュしたいときや、書斎・ワークスペースとして仕事や趣味にも没頭するときにぴったりです。

そんな隠れ家的書斎・ワークスペースを自宅に造るなら?事例を見ながら考えていきましょう。

隠れ家的書斎・ワークスペース「デッドスペース」

家の中でうまく使えていない空間のことをデッドスペースと呼ぶことがあります。一戸建てなら階段下、マンションならパイプスペース周りの凸凹などは、使い方に工夫が必要になることがよくあります。

そんな活用しづらいデッドスペースを隠れ家的書斎・ワークスペースに活用している例がありますので、いくつか見ていきましょう。

階段下の書斎・ワークスペース

収納として活用されることが多い階段下のスペースですが、奥行きがあってまとまったスペースが取れるので書斎・ワークスペースとしても使いやすい一面があります。写真ではキッズスペースとして利用していますが、アンティーク調の小さな扉が隠れ家感を演出しています。また階段下だけに、天井部分が傾斜するのも隠れ家感が強まるポイント。屋根裏部屋を連想させてくれますね。

パイプスペース利用の書斎・ワークスペース

壊したり移動したりすることができないパイプスペース(PS)は、リノベーションで間取りづくりのネックになることもあります。

写真の事例では、新しく造ったウォークインクローゼットとPSの間にできたデッドスペースにデスクを造作することで、書斎・ワークスペースとして活用しています。LDKの一角にあるオープンな書斎・ワークスペースですが、デスクはすっぽり隙間におさまっています。

隠れ家的ポイントは三方に壁が迫る囲まれ感と壁面の照明。適度な囲まれ感は集中力を増してくれますし、白熱灯色の照明は温もり感じさせてくれます。

参考事例:vol.64【リノベ|インタビュー】ギャラリーライクな見せる収納で「脱・生活感」。子育て感を出さないオシャレリノベ

隠れ家的書斎・ワークスペース「ロフト」

屋根裏という意味を持つロフトは、ただでさえ隠れ家感が強い空間。階上へ登るという行為や、手狭だったり高さが十分でなかったりというスペースの特徴も非日常感を高めてくれるもの。人知れず集中して取り組みたいことがあるならピッタリの場所になりそうです。

収納の上をロフトに活用

ロフトを作るとその下の空間は天井が低くなってしまいますが、高い天井にこだわる必要のない用途に使うことで、空間全体を有効活用することにつながります。

写真の事例ではリノベーションでウォークスルークローゼットをしつらえ、その上の空間にロフトを作ってベッドルームとして活用。クローゼットの中は天井が低くてもよい!と割り切り、限られた床面積を有効活用することに成功しています。

このように、立体的に空間を分けて考えれば、ロフトを作って隠れ家的な書斎・ワークスペースにするというアイデアも検討する価値はあるといえるでしょう。

参考事例:vol.63【リノベ|インタビュー】築古中古は「管理を買う」のが正解。2LDK→大胆1Rへ。ポイントはプチロフトに

天井高は低くても良い

ここでは愛猫のスペースとなっていますが…ちょっと俯瞰してこの写真をヒントに「書斎」を考えてみると、ロフトの天井高は必ずしも高い必要はないということです。書斎・ワークスペースでは基本的に座って過ごすので、中腰になって移動できるくらいの高さがあればよいと割り切って考えることもできるかもしれません。

参考事例:vol.54【リノベ|インタビュー】猫と私がくつろげる、出窓コーナー「陽だまりスペース」のある家

隠れ家的書斎・ワークスペース「小部屋を造る」

家の中に小部屋を造れば、たちまち隠れ家的書斎・ワークスペースが出来上がってしまいます。以前だったら贅沢すぎるとも言われそうな間取りですが、現在は在宅ワークが珍しくなくなりました。限られた住宅の床面積の一部を割いてでも、快適な書斎・ワークスペースを作ることが生活の質を高めることにつながる、と考える人が増えてきています。

上部を収納として有効利用

リビングの一角を壁で区切ることで、書斎・ワークスペースに活用している例です。クローズドな空間に室内窓を組み合わせてあり、隠れ家感を楽しめるとともにリビングとのコミュニケーションも可能にしています。造作デスクの上部は、全て収納スペースとなっており、限られた空間を有効活用しています。扉付きで見た目にもすっきりとまとまっています。

参考事例:憧れの書斎と大きな収納を兼ね備えた部屋

三角屋根型の垂れ壁で隠れ家感をアップ

写真は三角屋根風に切り抜かれた入口とかわいらしい室内窓が、隠れ家感をアップしている例。デスクに座れば周囲は囲まれますのでおこもり感たっぷり。それでいて、開口部や小窓からそっとリビングの気配をうかがうこともでき、つながりも感じられる作りになっています。デスク正面の壁にあしらわれた有孔ボードには、お気に入りの写真やイラストを貼ったり、仕事に必要なメモを付けたりと、居心地の良い空間づくりに役立ちそうです。

参考:居心地のいい書斎で在宅ワークが楽しくなる家

隠れ家的書斎・ワークスペースの演出

アンティーク調の扉や白熱灯色の照明、垂れ壁を使ったセミオープンのスペースなど、隠れ家感アップの演出として紹介してきました。最後に、楽しい空間づくりに役立ちそうな、DIYですぐにでも取り入られる演出をご紹介します。

入り口にカーテンを使ってみよう

部屋の仕切りにカーテンを利用すれば、書斎・ワークスペースに秘密めいた雰囲気をプラスすることができます。カーテンは、スペースを取らない、圧迫感が少ない、といったメリットがあり、小さな空間を仕切ることに向いているアイテムといえます。

参考:真似したい!オシャレなリノベーションでよく見るテクニック実例

アクセントクロスのテクニック

壁の一部だけカラーやテイストの異なるものを貼るアクセントクロスは、書斎・ワークスペースにも使える演出方法で、仕切りを使わずに空間の独立感を高めることができます。おすすめはビビッドなものなど、やや個性のはっきりとしたクロスを使うこと。小さな空間だからこそ使えるクロスで、遊び心を発揮してみましょう。

まとめ

デッドスペースを利用したり、ロフトを造ったり、小部屋を設けたり。隠れ家的書斎・ワークスペースを造る方法は色々ありますが、共通するのは楽しんでしまおうという心意気かもしれません。本来なら使い勝手が悪い空間を、逆手にとって遊んでしまおうという精神です。

また、隠れ家感ある書斎・ワークスペースは、仕事や趣味に集中しやすいという傾向もありそうです。一見使いにくそうなスペースでも、発想を転換してみれば、隠れ家的書斎・ワークスペースとしてお気に入りの場所に生まれ変わるかもしれません。