ステンレス、キッチン天板のスタンダード

鉄とクロムの合金であるステンレスは、鉄の弱点を補うために開発された素材です。人の命にかかわる医療機器や、100万円以上の高級時計、スプーンやフォークまで幅広く使用されています。キッチンの天板にも古くから使われており、国内では1956年に登場しました。

天板といえばステンレスという時代が続き、現在は新しい素材も登場していますが、まだまだステンレスの天板は高いニーズがあります。

それではステンレスの特徴をまとめ、大手メーカーごとに、ステンレス天板への工夫を見ていきましょう。

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ステンレスはなぜ、キッチンの天板に向いているのか？

防汚、耐キズ、耐熱はキッチンの天板に求められる条件ですが、ステンレスはなにしろ金属ですから、そのままでもすべての条件を満たしています。しかも表面にデコボコを付けたり、コーティングがほどこされたりすることで、さらにキッチンの天板におあつらえ向きとなっているのが、現在のステンレスです。

しかも価格が安い！ほとんどのメーカーが、キッチンの天板の標準仕様として、ステンレスをラインナップしています。

ステンレスのキッチン天板は、メリットがおおいのですが、見た目の好みが分かれるという大きなデメリットがあります。「メタリックすぎてリビングのそばには置きたくない」などの声が聞こえてきそうなのがステンレスの天板です。

しかし、近年ではステンレスの表面加工の技術も進歩し、金属特有のギラツキを抑えたものも出てきていますし、キッチンメーカーのデザイン力も向上しています。上の写真のような、天板ばかりか全体がステンレス製のタイプも登場しています。

以下に大手のキッチンメーカーごと、ステンレスの天板にほどこされた工夫を見ていきますが、小規模なメーカーの中にも優れたデザインを持つキッチンが登場していることを特筆しておきます。

ステンレス天板の特徴をメーカーごとに見ていくと、ステンレスの天板に力を入れているメーカーはクリナップ、LIXILという印象です。その他のメーカーはステンレスよりも、クオーツストーンや人大の天板に力を入れているようです。トクラスにいたっては、ステンレス天板のラインナップすらありません。

クリナップはステンレスに対して、特別なこだわりを持つキッチンのメーカーです。天板やシンクはもちろん、骨組みであるキャビネットまでステンレスにこだわり、タフなキッチンを製造しています。また現在は廃盤となりましたが、最上位グレード「S.S.」はステンレス・スチールの頭文字から取られていました。

そんなクリナップの上位モデルのステンレス天板には「美コート」と名付けられた、セラミック系の防汚コーティングがほどこされています。また、キズ対策として細かなデコボコ（エンボス）が表面を覆っています。

LIXILは「ソフトスクラッチ」と「スムースドットエンボス」、それぞれの加工がほどこされた種類のステンレス天板を用意しています。

ソフトスクラッチをLIXILはプレミアムグレードと位置づけており、つや消しの上品な見た目が特徴です。キズにも強い表面加工です。

スドットエンボスは、表面に大小2種類のエンボスを規則的に配置、キズを集中させることで大きなキズを防ぐ加工です。エンボスが目立たない「シルクエンボス」も用意されています。

インテリアライクなキッチンが求められる中、キッチン天板の主流をステンレス以外に位置づけているメーカーが見られます。

しかし、忘れてはいけないのが、ステンレスの特性を生かした個性的なデザインのキッチンの登場です。インテリアによっては、この上なく満足できるキッチンを見つけることができるでしょう。

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