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軽くて丈夫、コスパに優れるポリプロピレンのラグ

ファブリックの素材として、ポリプロピレンという繊維があるのをご存じでしょうか。ナイロン、アクリル、ポリエステルなど、化学繊維はいろいろありますが、ポリプロピレンはあまり耳慣れない名前かもしれません。

ラグの素材としては、軽くて丈夫、水や害虫に強いといったうれしい特性があり、さらにお手頃価格で入手しやすいという点も見逃せません。

ここでは、ポリプロピレンラグの特徴やお手入れなどについて、お伝えしていきます。

耐久性があるのに軽いポリプロピレンのラグ

ポリプロピレンは、プラスチックの一種で、PPとも呼ばれます。石油製品の加工時に発生するプロピレンというガスから、廉価で大量に作られる素材です。

軽くて丈夫で加工しやすい素材で、私たちの身の回りには多くのポリプロピレン製品があります。家庭で使うものの例を挙げれば、タッパーやプランタ、子供用の食器、洗面器やバケツなどがそうです。また、注射器や電線ケーブルの被覆カバーなど産業界でも広く使われているようです。

実は、ポリプロピレンはゴミの分別でプラスチックに分類されるものとしてもおなじみで、食品の包装フィルムやペットボトルのキャップなどにも使われています。リサイクルがしやすく、環境への負荷が比較的少ないという一面もあります。

ポリプロピレンの繊維とは

ポリプロピレンの繊維となると、その用途は限定されていると言われています。繊維の染色性がよくないことなどから、衣料品の素材としてはあまり使われない状況のようです。一方で、水性の汚れが付きにくい、遊び毛が出にくいといった特徴もあるので、カーペットやブラシなどの生活用品、ロープなどの産業用資材として幅広く使われています。

ポリプロピレンは、染色性の低さに加え、弾力性があまりない、触り心地は硬めの感触といった弱点も指摘されることが多い繊維でした。しかし、こういった繊維自体のデメリットは、染色方法や製造方法の技術進歩で解決されてきているようです。

色落ちしにくい原液着色(原着)

ポリプロピレンは、水を大量に使う主流の染色方法では、染めにくい合成繊維とされています。そこで、繊維にしてから染めるのではなく、繊維にする前の原液の状態で顔料や色素を混ぜ込んでしまう、という着色方法が採用されることがあります。それにより、色落ちしにくい繊維も製造されるようになりました。

・参考:繊研新聞社「《FB用語解説》原着 化学繊維の原料に染料加え着色された糸に」

弾力ある高級感のウィルトン織り

ウィルトン織りのラグやカーペットには、ポリプロピレンがよく使われていると言われています。弾力性の低さや肌触りの硬さといったポリプロピレンの弱点は、ウィルトン織りに使うと気にならなくなるかもしれません。

ウィルトン織りは、縦横に走る基糸に繊維を高密度で結び付けていく機械織りの製造方法です。結び目がぎゅっと詰まっているので、丈夫で耐久性に優れ、弾力性があって踏み心地がよいといった特徴もあります。

ずっしりと目が詰まったウィルトン織りは、従来のウールなどの繊維を使うとどうしても重たくなり、遊び毛も多くなりがちです。しかし、ポリプロピレンを使えば軽く仕上げることができ、ウールに比べてコストも下げることができます。また、遊び毛が少なくなるのでメンテナンス性も良いと言われます。これらによりポリプロピレンがウィルトン織りラグ素材として、多用される傾向となっています。

・参考:カーペット伝道師は語る「ウィルトン織りカーペットについて」

ポリプロピレンのラグを見てみよう

では実際にポリプロピレン繊維を使ったラグを見ていきましょう。

METROPOL

カラフルな三角形がリズミカルに並ぶラグです。落ち着いた色使いやシンプルな幾何学的デザインが、ナチュラルテイストのお部屋のアクセントとしてもなじみます。

・参考:HAGS 「ラグ METROPOL」

カシュマール ベージュ

ポリプロピレン100%のウィルトン織りラグ。ペルシャ絨毯風のオリエンタルで繊細な模様が華やかですね。程よい厚みで弾力ある踏み心地も味わえます。

・参考:TOCO LIFE「カシュマール ベージュ」

MIGUSA

モダンなリビングにもマッチする、アースカラーのイグサ風マットです。耐久性があり、本物のイグサや畳に比べて長く使うことができそうです。スポンジのような多孔質に作った繊維を使用しており、弾力性があって、転んだ時などの衝撃も吸収してくれます。

・参考:積水成型工業「About MIGUSA」

ポリプロピレンラグのお手入れは熱に注意

耐久性があり水にも強いポリプロピレンのラグ。普段のお手入れとして、掃除機掛けを行いましょう。週に何回か、ラグの毛を起こすように、ゆっくりと掃除機を動かして埃やごみを取り除くことをおすすめします。

自宅で洗える製品もありますが、ウォッシャブルであっても、ご自宅で洗濯する場合は、洗濯表示のタグを確認してからにしましょう。手洗いのみ可であったり、水温や干し方が指示されているなど、洗い方に注意が必要なものもあります。

ポリプロピレンは、熱にはあまり強くないとされています。ウォッシャブル仕様のものをご家庭で洗濯する際には乾燥機は使わないようにしましょう。また、アイロンやストーブなどの熱にも近づけないよう気を付けたいところです。ホットカーペットや床暖房と合わせて使う場合は、ホットカーペット対応加工がされているものを選びましょう。

まとめ

丈夫で軽く、水や薬品に強く、遊び毛が出にくいといった特徴を持つポリプロピレンのラグ。お手頃価格で入手しやすいものもありますので、お気に入りを見つけたら、季節ごとに敷き替えるのもいいですね。