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クリフローリングの魅力

家づくりでフローリングを選ぶときは、とても慎重になるものです。

フローリングは、壁紙や家具と違って簡単には交換できません。北欧スタイルにするか、インダストリアルを取り入れるか、インテリアの方針によってフローリングの選び方は大きく異なります。オークやバーチといったフローリングが流行していますが、本当にそれでよいのか、しっかり迷った上で自分に合ったフローリングを選びたいところです。

日本で古くから親しまれる木材に、クリがあります。秋の味覚のクリ、この木を加工してフローリングにしたものが、日本では昔から使われています。

水にとても強く、耐久性のあるクリの木は、洗面所や台所などの水回り、土台や柱、線路の枕木などに使われてきました。

今回は、クリのフローリングの魅力についてお伝えします。

 

 

クリのフローリングの特徴、水に強く優れた耐久性

クリのフローリングは、黄色みをおびた褐色をしています。産地や生育状況によって色味が違ってきます。

表面は他の広葉樹と比べて荒い印象があります。

木目ははっきりしていて、近くで見ると導管も見られます。導管が他の広葉樹と比べてとても大きいので木目が粗く見えるのです。

クリの耐久性は、日本で取れる建材のなかで一番と言われます。水に強いので、洗面所や台所、お風呂場廻りなどの水回りによく使われます。ただ、木自体にタンニンが豊富に含まれるため、汗や水滴でまれに表面が変色することもあります。そのため、仕上げはウレタン塗装や撥水性の高いオスモ塗料などがオススメです。

建材として建物に使われるときは、土台や柱に使われることが多いようです。ただ、とても硬いので加工が難しく、フローリングに加工するには高い技量が必要です。

 

 

クリのフローリングの費用を他の無垢材と比べる

クリのフローリングの金額を、他の銘木と比べてみましょう。比べるのは1坪(タタミ2畳分)あたりの金額です。

クリのフローリングの金額は、およそ38,000円です。

日本でよく使われるパイン(松)やヒノキなどと比べて若干高くなります。

それでは三大銘木であるブラックウォールナット、マホガニー、チーク、そして近年人気のあるオーク、サクラ、メープル、日本で古くから人気があるパイン、ヒノキと比較してみましょう。

フローリング材参考価格(筆者独自調査 2021.06)

 

 

クリフローリングのメンテナンス

クリフローリングのメンテナンスは、フローリングの仕上げ方法によって変わってきます。ここでは、よく使われる3種類の仕上げ方法を見てみましょう。

  • 木の内部に染みこむ「浸透性塗料」
  • 木の表面に膜を張る「コーティング系塗料」
  • 木のそのものを味わう「無塗装」

これ以外にも自然塗料や高性能塗料などがあります。使われる塗料によってメンテナンス方法が違いますので良く確認しておきましょう。

参考:HAGS 「無垢フローリングの日常の掃除・お無垢手入れ」

 

 

クリのフローリングを手入れする上での注意点

クリの木は水に大変強い材料ですが、まれに水や汗に反応して表面が変色することがあります。

変色を防ぐため、無塗装のまま使うコトはあまりオススメできません。また、水拭きもあまりオススメできません。

変色を防ぐためワックスやオスモ塗料などを使い、水分は最小限にすることをオススメします。

 

浸透性塗料

浸透性塗料は、木の内部に浸透して保護するタイプの塗料です。

普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや雑巾でホコリ、汚れをしっかり取ることが大切です。皮脂汚れやしつこい汚れは、専用洗剤で取ります。

取れない汚れは、サンドペーパーで削り取る方法もあります。

1~2年に1度は、床全体に同じ塗料や専用メンテナンス材を使ってメンテナンスを行います。

 

コーティング系塗料

コーティング系塗料は、木の表面に膜を作るタイプの塗料です。

普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや雑巾でのホコリ、汚れ取ります。掃除機を使ってもかまいません。コーティング膜が強固なので、しつこい汚れも比較的簡単に落ちます。

浸透系塗料と違い、サンドペーパーは使えません。表面がキズつきます。

1~2年に1度、仕上げに合った専用ワックスを塗るとメンテナンスが楽になります。

 

 

無塗装仕上げ

無塗装の場合、ホコリや汚れを乾拭きで取り、つやを出したい場合は、ぬか袋の使用がおすすめです。

 

自然塗料や高性能塗料など

フローリングによっては、ミツロウやカルバナロウなどの自然塗料や、ガラスフィニッシュなどの高性能塗料を使う場合もあります。

普段のお手入れは、乾いたフロアワイパーや雑巾でホコリ、汚れをしっかり取ることが大切です。皮脂汚れやしつこい汚れ、専用洗剤で取ります。

1~2年に1度行う定期メンテナンスは、それぞれの塗料に合った方法で行います。分からない場合、販売店に相談したり、塗料の取り扱い説明書を確認したりしましょう。

 

 

クリの木について「大きなクリの木の下で」の歌の話

「大きなクリの木の下で」と童謡に歌われるように、クリは日本でとても親しまれる木材です。

 

童謡に歌われる内容は?

童謡に歌われる内容は諸説ありますが、一説にはクリの木を切り倒す様子を歌っていると言われます。

クリの木はとても堅く加工がむずかいし木材のため、立木の状態で少しずつ削るように切り倒していました。

クリの木の周りを、斧を持ちながらクルクルと廻り、削っていく様子が遊んでいるように見えるという説があります。

 

クリの木と人の歴史

クリの木は、秋の実りと建物の材料を同時に供給してくれるとても有用な木材です。

縄文時代初期からクリが栽培され、利用されていました。

クリの木は、硬く耐久性があったので家の土台や柱、電車の枕木として利用されてきました。今でも土台や水回りに欠かせない材料と言えます。

 

 

まとめ

今回は、クリのフローリングについてお伝えしました。

日本で古くから親しまれる木材であるクリの木。クリの木を加工してフローリングにしたものが、日本では昔から使われています。水にとても強く、耐久性のあるクリの木は、洗面所や台所などの水回り、土台や柱、線路の枕木などに使われてきました。

たくさんある材種から選ぶのは大変ですが、一つずつ比べて選んでみてはいかがでしょうか?

 

参考:誠文堂新光社 村山忠親「原色 木材大事典185種」

参考:株式会社マルホン カタログ「木材見本帳 第8号」