「移動したら暗くなった」
「食卓との行き来がせわしなくなった」
「お湯が前より出にくい」
キッチンを移動して理想の形にしたはずなのに、不具合の声もちらほら聞こえてきます。
今回は、キッチン移動をした時にありがちな落とし穴、
・明るさの変化
・感じてしまう狭さ
・お湯が出にくい、排水が詰まりやすい
という3点についてお伝えします。
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キッチン移動の落とし穴1 明るさの変化
キッチン移動で注意したいのは、明るさが変化することです。明るくなれば良いのですが、手元が暗くなり作業がしにくくなるケースもあります。
明るさの変化は主に2パターンに分けられます。
1 自然光が取り入れられない
2 照明器具の選定不備、配置の影響
いずれも事前に照度を確認し、照明器具の種類や数などを検討しましょう。
1. 自然光が取り入れられない
壁付けキッチンから対面キッチンやアイランドキッチンに変更した場合、窓が遠くなり日中の自然光があまり入らない場合があります。戸建てのキッチンは、窓からの自然光を多く取り込むことができれば、日中は電気を付けなくても手元は明るいでしょう。
対策:自然光の代わりに手元灯を設置する
自然光の代わりに明るい手元灯を設置すれば、明るさを確保でき、調理中も手元がよく見えます。アイランドキッチンや対面キッチンの場合、ペンダントライトを多数吊してもよいでしょう。SNSや雑誌などでオシャレな照明器具を探してはいかがでしょうか。
さらに料理にこだわりたい方は、照明を「高演色」タイプにしてみましょう。「高演色」タイプの照明は、自然光に近い色味や色彩をもたらしてくれるので、食材の色合いがよくわかります。
手元灯は、デザインや明るさ、演色性のどこを基準に考えるかで違ってきます。
2. 照明器具の選定不備・配置が悪い
照明があるのに手元が暗い、影が多数できて見にくい、などの不具合もあります。展示場やショールームで照明器具を確認する際は、壁の反射や周りの明るさも十分あるため、思ったより明るく見えることを考慮しましょう。デザインの重視しすぎや配置により、明るさもまた変化することになります。
対策:照明の数を多くするか、明るい物を選定する
手元が明るくなるように、十分な照明の数を計画しておきましょう。照明の数を減らすのは簡単ですが、暗い場所を明るくするには費用と時間がかかります。ペンダントライトのみでは明るさが十分確保できない場合もあるので、天井にダウンライトやスポットライトの設置も検討します。昔ながらの台所用のベースライトなら、影もできにくく、明るさも確保できます。
キッチン移動の落とし穴2 以前のキッチンより狭くなる
「みんなの顔はよく見えるけど、動きにくい」
「通路が狭くて物が運べない」
「通路と重なってすれ違いにくくなった」
意外と多いのが、キッチンを移動したら狭くなる問題です。
特にアイランド式や対面式キッチンを快適に使うためには、広い面積を必要とします。壁付けのキッチンからの移動は、十分な広さが確保できていないため、通路が狭くなる、あるいは収納スペースが限られてしまうケースが考えられます。
移動する前に、十分な検討が必要でしょう。
1 キッチンの立つ位置は90cm以上のスペースを確保できるか
2 移動が長くなったり、通路が重なったりしないか
少なくとも、上記の2点は押さえておきましょう。
1.キッチンの立つ位置は90cm以上のスペースを確保できるか
キッチンは、立つ位置の十分なスペースの確保が必要です。シンクと背面の幅は、90cmが理想と言われています。一般的に対面式やアイランド式の場合、キッチンカウンターの背面に収納を設置します。効率よく、快適に作業するには一人の場合は90cm、二人で作業する場合は110~130cmの幅が理想とされています。スペースが150cm以上あると、今度は背面収納が遠すぎて使いにくいとも言われています。
もちろん、通路幅もそのぐらい必要になります。キッチンを移動する際は、立つ位置に十分なスペースを設けておきましょう。
2.動線がなくなったり、通路が重なったりしないか
キッチンの移動に伴い生活動線が変化することで、移動距離が長くなったり、通路が重なったりして移動がしにくいといった不具合がおこる場合があります。キッチンを移動する前に、人が通る場所を検討しておきましょう。特にすれ違う場所はぶつかりやすいので注意が必要です。
建築士さんが使う設計基準として、すれ違う場合は90cm~120cm程度の通路幅が必要とされています。それだけの幅を確保できるか、移動する場所を含めて検討してください。
(参考:ミツモア「キッチンの通路幅はどれくらいが目安?基準の幅と決め方を解説」)
キッチン移動の落とし穴3 お湯が出にくい・排水が詰まりやすくなる
不用意にキッチンを移動してしまうとお湯が出にくくなったり、排水が詰まりやすくなったりなどの不具合がおこる場合があります。
キッチンの移動には、設備配管類の移動も伴います。そのため、給湯器からの距離や、配管の勾配がの変化が不具合の原因にもなります。移動できるかはプロの判断を仰ぐ必要がありますので、十分注意してください。
まとめ
今回は、キッチンを移動した際の落とし穴についてお伝えしました。せっかく移動させたのに使いにくくなってしまっては、気分も台無しです。移動を考える際に、キッチン移動のデメリットを確認し検討しておきましょう。そうすることで、より良いアイディアが浮かぶかもしれません。
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