無垢材の長所を生かす仕上げといえば、オイル仕上げやワックス仕上げ。無垢材そのままの美しい木目ややさしい肌触りが魅力です。その一方で意外と知られていないのは、オイルとワックスの共通点や違いについて。これらを知ることで、メンテナンスにも活かすことができます。オイルとワックスの特性を使い分けて、大切な家具やフローリングを末永く楽しんでください。
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オイル仕上げとワックス仕上げの共通点
「塗装」「フィニッシュ」とも呼ばれる、オイル仕上げ・ワックス仕上げは魅力的なもの。テーブルなら思わず手でなでたくなりますし、フローリングなら裸足で過ごす時間が長くなってしまいます。両者とも天然由来の成分がメインですから、人や動物にやさしい点でも共通しています。オイル仕上げとワックス仕上げには他にも色々共通点があります。
オイルもワックスも浸透系塗料
無垢材の表面だけでなく、内部まで染み込むオイルやワックスは「浸透系塗料」と呼ばれています。一方で、表面に強固な膜を作るのが「造膜系塗料」で、代表的なものはウレタン塗料です。オイル仕上げやワックス仕上げでも塗膜はできますが、造膜系塗料のものと比較すると非常に弱いものです。だからテカッとしたツヤにはならず、木目や肌触りが自然な風合いに仕上がるのです。
デメリットは水に弱いこと
オイルやワックスなど浸透系塗料のデメリットは、水に弱いことです。家具やフローリングが新しいうちは、多少の撥水性もあるでしょう。しかし浸透系塗料の塗膜は弱いので、使っているうちに水が染み込むようになってしまうのです。無垢材のテーブルにできた輪ジミや、フローリングの水はねの跡は何とも悩ましいもの。水が付いたら、すぐに乾いた布でふき取るようにしましょう。
オイルとワックスの違いとは
オイルとワックスの共通点については見てきた通りですが、両者の違いは何でしょうか。両方とも浸透系塗料ではありますが、性格や由来はずいぶん違うものです。
しっとり仕上がるオイル
浸透系塗料のイメージ通り無垢材の内部までオイルが染み込み、しっとりとした質感・見た目になります。無塗装の無垢材と比べると、オイル仕上げは木目や本来の色味が際立つように感じるでしょう。家具やフローリングに使われるオイルの主成分は、植物性のものがメインです。よく使われる荏胡麻(えごま)油や亜麻仁(あまに)油は、食用にも用いられるくらいですから、安全性も高いことでしょう。
さらっと仕上がるワックス
浸透系塗料に分類されますが、それほど染み込まないのがワックスです。表面は無塗装の無垢材に近い、さらっとした仕上がりになります。ワックスは英語で蝋(ロウ)という意味ですが、無垢材によく使われるワックスには動物由来のものと植物由来のものの2種類があります。代表的なものはミツバチの巣から採れる、動物由来の蜜蝋(みつろう)ですが、自然由来ということもあり人体への悪影響は少なそうです。
オイル・ワックスのお手入れはどうするの?
オイル仕上げもワックス仕上げも、日常の手入れはから拭きでおこないます。フローリングなら、普通に掃除機をかけましょう。オイル仕上げやワックス仕上げの無垢材は、手入れが大変というイメージがありますが、必要なお手入れが分かれば、それほど面倒ということもないかもしれません。
メンテナンスは再塗装で
浸透系塗料で仕上げた無垢材のメンテナンスは、再塗装が基本です。同じ色のオイルやワックスを塗ることで、自然なツヤや撥水性も復活しますし、輪ジミや水はね跡もわかりにくくなるでしょう。再塗装の前にはから拭きするのをお忘れなく。ガンコな汚れには専用のクリーナーを使いましょう。
サンドペーパーがけが可能!
サンドペーパーをかけられるのも、浸透系塗料の仕上げを選ぶメリットです。小さなキズなら消すこともできますし、しつこい汚れはいっそ削り取ってしまいましょう。その分塗装はハゲてしまいますから、サンディングは再塗装の前におこないます。
浸透系塗料の反対「造膜系塗料」とは?
ウレタン塗料など造膜系塗料は、表面に硬い膜をつくることが特徴です。無垢材のせっかくの質感もわからなくなってしまうのですが、一方でメリットは汚れや水に強いこと。水ぶきも問題ありませんし、輪ジミや水はね跡も付きにくいのです。ウレタン塗料された木製品のメンテナンスはかなり楽です。ツヤがなくなったと感じたら、市販のウレタン塗料用のワックスを塗ってあげましょう。ここで使うワックスは、ワックス仕上げのワックスと全く違うものですから注意が必要です。
まとめ
オイル仕上げやワックス仕上げには、お手入れが大変というイメージがありますが、実はそうでもありません。特別なメンテナンスは、年に1回ほどの再塗装だけ。普段はから拭きだけで十分です。またサンドペーパーがけができたり、再塗装がDIYでできるのも、オイル仕上げやワックス仕上げならでは。もし深いキズがついても「味」として楽しめるくらいにはなじませられることもありますが、ウレタン塗装では難しいかもしれません。
カンタンなお手入れで長く付き合えるのが、オイル仕上げやワックス仕上げの無垢材なのです。
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