多くの費用が必要となる住宅の取得やリフォーム・リノベーションは、国や自治体による補助金や助成金のメニューが複数用意されています。中でも、子育て中のリフォーム・リノベーションで積極的に活用したいのが、2022年からスタートした新制度「こどもみらい住宅支援事業」です。
この記事では、こどもみらい住宅支援事業とはどのような事業なのか詳しく解説。活用を検討するにあたっての注意点も紹介していきます。
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こどもみらい住宅支援事業の概要
2022年から本格的にスタートした「こどもみらい住宅支援事業」は、国土交通省が主体となって行う事業。子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を取得したりリフォームしたりする際の費用を軽減すること、高い省エネ性能を持つ優良な住宅を増やして脱炭素化を進めることの2点を大きな目的としています。
こどもみらい住宅支援事業で支援の対象となるのは、住宅の新築・購入・リフォーム。このうち住宅の新築・購入については、子育て世帯または若者夫婦世帯のみが対象となります。一方、リフォームは世代に関係なく、要件を満たす工事を行う世帯全てが対象です。
なお、「子育て世帯」とは、2021年4月1日時点で18歳未満の子がいる世帯、「若者夫婦世帯」とは申請時に夫婦であって、夫婦のどちらかが1981年4月2日以降の出生である世帯を指します。
こどもみらい住宅支援事業が適用される工事と補助額
子育て世帯であれば、住宅の新築・購入・リフォームと幅広く活用できるこどもみらい住宅支援事業ですが、具体的にどのような工事が対象で、いくらぐらい補助が受けられるのでしょうか。新築・購入、リフォームそれぞれの内容について見ていきましょう。
<注文住宅の新築、分譲住宅の購入>
補助対象となる住宅の種類 | 補助額 |
ZEH住宅 | 100万円/戸 |
高い省エネ性能等を有する住宅 | 80万円/戸 |
一定の省エネ性能を有する住宅 | 60万円/戸 |
事業対象となるためには、上の種類の住宅に当てはまることに加え、次の各種要件を全て満たしていなければなりません。
- 建てた人(購入した人)自らが居住すること
- 土砂災害警戒区域外に立地していること
- 未完成、または完成して1年以内でこれまで誰も住んでいないこと
- 住戸の床面積が50m2以上であること
<リフォーム>
主な対象となる工事等と補助額は次のとおりです。
(1) 開口部の断熱改修
ガラス交換 | 2,000〜8,000円/枚 |
内窓設置・外窓交換 | 14,000〜21,000円/箇所 |
ドア交換 | 28,000〜32,000円/箇所 |
(2) 外壁、屋根・天井、床の断熱改修
外壁 | 102,000円/戸 ※部分断熱は51,000円/戸 |
屋根・天井 | 36,000円/戸 ※部分断熱は18,000円/戸 |
床 | 61,000円/戸 ※部分断熱は30,000円/戸 |
(3) エコ住宅設備の設置
太陽熱利用システム | 24,000円/戸 |
高断熱浴槽 | 24,000円/戸 |
高効率給湯機 | 24,000円/戸 |
節水型トイレ | 掃除しやすい機能有:19,000円/台 それ以外:17,000円/台 |
節湯水栓 | 5,000円/台 |
(4) 子育て対応改修
ビルトイン食洗機 | 19,000円/戸 |
掃除しやすいレンジフード | 10,000円/戸※ |
ビルトイン自動調理対応コンロ | 13,000円/戸※ |
浴室乾燥機 | 20,000円/戸 |
宅配ボックス | 10,000円/戸(住戸専用) 10,000円/ボックス(共用) |
キッチンセットの交換を伴う対面化改修 | 86,000円/戸 |
※「キッチンセットの交換を伴う対面化改修」による補助を受ける場合は対象外
(5) 耐震改修
- 150,000円/戸
(6) バリアフリー改修
手すりの設置 | 5,000円/戸 |
段差解消 | 6,000円/戸 |
廊下幅等の拡張 | 28,000円/戸 |
ホームエレベーターの新設 | 150,000円/戸 |
衝撃緩和畳の設置 | 17,000円/戸 |
(7) 空気清浄機能・換気機能の付いたエアコンの設置
エアコンの冷房能力が3.6kW以上 | 24,000円/台 |
2.2kW超〜3.6kW未満 | 22,000円/台 |
2.2kW以下 | 19,000円/台 |
(8) リフォーム瑕疵保険等への加入
- 7,000円/契約
上の8つのうち、(4)〜(8)は(1)〜(3)のいずれかと同時に行う場合のみ補助対象となります。また、申請額合計が50,000円以上でなければ対象となりません。
リフォーム補助については補助上限額が定められており、一般世帯は30万円とされています。安心R住宅に該当する住宅を取得してリフォームする場合のみ、上限が45万円に引き上げられます。
こんな世帯は補助上限額が高くなる
リフォームの場合、先ほど紹介した子育て世帯や若者夫婦世帯では補助上限額が引き上げられます。世帯や条件ごとの補助上限額をまとめると次のとおりです。
子育て世帯・若者夫婦世帯 | 既存住宅を購入する | 60万円 |
既存住宅を購入しない | 45万円 | |
上記以外の一般世帯 | 安心R住宅を購入する | 45万円 |
それ以外を購入する/ 既存住宅を購入しない | 30万円 |
こどもみらい住宅支援事業の注意点
子育て中のリフォーム・リノベーションで活用できるこどもみらい住宅支援事業ですが、検討するにあたっては次の2点に注意しましょう。
申請期限に気をつけよう
こどもみらい住宅支援事業は、交付申請期限が2023年3月31日までと定められています。元は2022年10月31日までとされていましたが、5ヶ月期限が延長されている点は要チェックです。
交付申請は工事の完成・引き渡し後に行うものであるため、申請期限から逆算して工程を確認する必要があります。また、予算の執行状況に応じて期限前でも終了する可能性があるので、常に最新情報を確認するようにしましょう。
施工者が事業者登録をしているか確認しよう
こどもみらい住宅支援事業の大きな特徴が、申請者が建築主ではなく施工者であるという点。しかも、事業者登録をしている施工者でなければ、この事業による補助を受けられません。補助対象となるのは、施工者が事業者登録後に着工した工事のみであるため、あらかじめ施工者が事業者登録しているか必ず確認しましょう。
まとめ
2022年からスタートした「こどもみらい住宅支援事業」は、その名のとおり、子育て中のリフォーム・リノベーションで活用できる新制度。補助対象が幅広く、多くのリノベーションで活用できる可能性があります。申請期限や施工者の事業者登録といった注意点を押さえて、制度を上手に活用してみてはいかがでしょうか。
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