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水回りリフォーム・リノベーションに欠かせない「動線を考える」こと

リフォーム・リノベーションにおいて、「動線を考える」ことは快適に暮らすために大切な項目です。キッチンや洗面スペース、トイレなどの水回りは、生活する上でも家事をする上でもよく使う場所です。水回りの動線をしっかりと考えて、住まいのレイアウトを決めることで、家事の効率や暮らしやすさなどが変わってくるでしょう。いくつかのリノベーション事例をもとに、使いやすい水回りの動線についてみていきます。

 

動線にはいろいろある

家の中における動線は、いくつかの種類に分けられます。まず、「家事動線」は洗濯、調理、配膳、食器の片付け、食器洗い、ゴミ出しなど、家事をするときの経路です。家事動線を考えて間取りや配置を決めることで、複数の家事を同時進行しやすくなったり、家事をしているときの移動距離を短くしたりできます。
洗顔や歯磨き、着替えなどの身支度、排泄や入浴などは「生活動線」で、生活する上で通る経路のことです。朝起きて、身支度をしてからリビングへ行くという生活パターンの場合、例えば、寝室の近くにクローゼットや洗面スペースを設けて、リビングに抜けられるという間取りにすると、余計な動きをしなくて済むでしょう。
さらに、来客が通るところである「来客動線」もあります。キッチンの中や脱衣所、プライベートな空間など、あまり見られたくないところを通らずに、来客をおもてなしできるような経路を考えるといいでしょう。

 

暮らしやすい水回りの動線を考える

水回りの動線が工夫されたいくつかの事例をもとに、生活しやすい動線をご提案していきます。

 

キッチンと洗濯機スペースを近くに

例えば、調理と洗濯の同時進行という家事動線を考えたとき、キッチンを出てリビングを通ってから洗濯機スペースに行く場合や、キッチンから扉を開けて廊下に出て洗濯機スペースに行くといった場合は、家事動線が長くなってしまいます。
こちらの事例では、キッチンと洗濯機のスペースを近くに配置し、家事動線をまとめています。キッチンと洗濯機スペースの移動距離が短いため、家事の同時進行もしやすいでしょう。また、洗面スペースの扉は引き戸なので、家事の最中は開けておくことで、移動の度に扉の開け閉めをするという手間もありません。

 

複数の家事を同時進行しやすく

洗面スペース・パントリー・キッチン・ダイニング・バルコニーが、一直線上に配置されています。家事動線をまとめていることで、調理や洗濯などの家事を同時進行しやすいでしょう。キッチンとダイニングを横並びにすることで、調理から配膳、片付けまで短い距離の移動でスムーズに行えます。また、リビングにいる子供や家族の様子をみながら、家事を進められるというメリットもあるレイアウトです。

 

洗面スペースに2つの出入口を設ける

こちらの洗面スペースには、キッチン側からの入り口と、廊下側からの入り口があります。洗面スペースは朝の時間帯などに混雑することも多いものです。2つの出入口で通り抜けできることで、家族それぞれの動線がぶつかりにくくなるでしょう。キッチンからの家事動線と、廊下側からの生活動線がぶつかりにくいというメリットもあります。
また、洗面スペースのすぐ隣にキッチンがあるため、家事動線も短縮できるレイアウトです。キッチンとの間は引き戸なので、家事の最中は開けたままにしておくことで便利に使えるでしょう。

 

回遊性が魅力のアイランドキッチン

キッチンの端がどれも壁に接しておらず、島のような形でおしゃれな見た目のアイランドキッチンです。キッチン回りに行き止まりがなく、左右の両方から出入りができるため動線が良くなります。回遊性があり、複数人での調理もしやすいでしょう。ただ、アイランドキッチンにする場合は、比較的広い面積が必要です。また、油がハネやすいことや、料理のにおいが広がりやすいなどのデメリットもあります。

 

キッチンからダイニングへの動線、キッチン内の動線を良くする

こちらはキッチンからダイニングへの距離が近いため、調理から配膳、片付けまでスムーズに行えます。

調理中の動線を良くするには、キッチン内のレイアウトもポイントです。コンロやシンク、作業台が2列に配置されたセパレートキッチンは、体の向きを変えるだけでコンロやシンクに移動できるため、調理中の動線が良いとされるレイアウトです。横に長いキッチンは、調理中の動線が長くなってしまいがちです。2列に分けることで、調理中の動線を短縮でき、作業スペースや収納スペースも確保できます。
また、アルファベットのLの形をした、L型キッチンも効率的に動けるキッチンレイアウトです。調理や片付けなどの家事動線を良くするためには、キッチン自体のレイアウトも工夫すると良いでしょう。

 

まとめ

家事動線、生活動線、来客動線など、動線には様々な種類があります。快適に暮らせる住まいをつくるためには、これらの動線を考えることが大切です。生活や家事をする上で、動く経路を具体的にイメージしてみましょう。動線を良くするためには、行き止まりをなくして回遊性をアップさせる、家事動線はまとめるなどの方法があります。生活スタイルに合わせてレイアウトを決めましょう。