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マンションでもできる介護リフォーム・リノベーション!気になる注意点も解説

世界でも最高水準の高齢化が進む日本の住まいにおいて、介護者・被介護者両方がストレスなく暮らすための介護リフォーム・リノベーションの重要性は、ますます高まっています。しかし、マンションでは介護リフォーム・リノベーションできる内容が限られると思って、検討を諦めている人も多いのではないでしょうか。

今回は、マンション暮らしの人に向けて、マンションでもできる介護リフォーム・リノベーションの種類を紹介。気になる注意点も解説していきます。

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介護リフォーム/リノベーションとは

前段として、そもそも介護リフォーム・リノベーションとはどういったものなのか簡単に紹介していきましょう。

介護リフォーム・リノベーションとは、加齢により身体能力が低下しているお年寄りや、病気・ケガによる障害を持っている人など、ハンディキャップを抱える人が暮らしやすい家にするため、リフォーム・リノベーションを加えることを指します。

具体的には、階段や玄関・水回りに手すりを設置する、段差を解消する、車イスでも不自由なく移動できるように、廊下や水回りのスペースを拡張するといった内容が挙げられます。こうした内容は介護を受ける側だけでなく介護する側のストレスを軽減してくれるので、家族全員が快適に過ごせる住まいづくりにつながるのです。

介護リフォーム・リノベーションについて詳しく知りたいなら、こちらの記事も参考にしてください。
参考:介護リフォーム・リノベーションを検討するならタイミングに注意しよう

マンションでできる介護リフォームの種類

家族全員の快適性を上げることができる介護リフォーム・リノベーションですが、マンション暮らしとなると、戸建てのように全てを自由に実施できるわけではなく、当然できる内容に制限があります。続いては、マンションでできる介護リフォーム・リノベーションの種類を紹介していきます。

水回りの介護リフォーム

介護リフォームでまず検討したいのが、水回りの改修です。マンションでできる水回りの介護リフォームの内容としては、次のようなものが挙げられます。

  • 浴室やトイレに手すりを設置する
  • 水回りの入口の段差を解消する
  • 出入りしやすい浴槽、冷えにくい床などを備えたユニットバスに交換する
  • 浴室、脱衣所、トイレにヒートショック対策の暖房機器を設置する
  • 壁の位置を変更して水回りのスペースを拡張する(建物構造による)

この後解説しますが、マンションは、構造上の問題や管理規約・細則が設けられていることなどにより、戸建てのように何でも好きにリフォームできるというわけではありません。しかし、可能な範囲で改修するだけでも、十分に介護しやすい水回りを実現できるでしょう。

内装の介護リフォーム

水回り以外の内装についても、マンションでできる介護リフォームの内容を見ていきましょう。

  • 玄関や廊下に手すりを設置する
  • 玄関や廊下、居室の入口にある段差を解消する
  • 壁の位置を変更して廊下や扉の幅を広げる(建物構造による)
  • 床材を滑りにくい素材に変更する

内装の介護リフォームでも、建物の躯体そのものに影響を与えるような変更は、基本的にできません。できる範囲で最大限に、快適度をアップする方法を考えるようにしましょう。

マンションにおける介護リフォームの注意点

多くの人が共有する建物であるマンションは、戸建てと異なり、リフォームにさまざまな制限があります。ここでは、マンションにおける介護リフォームの注意点を解説していきます。

水回りの位置を変えるのは難しい

マンションの配管は、「パイプスペース(PS)」の中を縦方向に通っており、排水管は各住戸の水回りから傾斜をつけることで下まで流しています。PSの位置は変えられないため、マンションで水回りの位置を変えるのはなかなか難しいのです。水回りの介護リフォームを検討する際は、現状の位置を前提に考えるようにしましょう。

構造によってはスペースを広げるのが難しい

団地や一部のマンションで見られる「壁式構造」の建物は、壁で建物全体を支える作りとなっており、構造上取り除けない壁が多いという問題があります。マンションによっては、廊下幅を広げたり水回りを拡張したりといったリフォームが構造的に難しい場合もあるのです。

管理規約を確認する必要がある

共有物であるマンションには、住む人が守らなければならないルール=管理規約が定められています。専有部のリフォームであっても、近隣住戸に影響を及ぼすリスクがあるため、管理規約の中で、リフォーム内容や工事できる範囲に制限がかけられているケースがあります。介護リフォームを検討する前に、必ず管理規約を確認しておきましょう。

マンションでできる介護リフォームの費用相場

最後に、マンションでできる介護リフォームの費用相場を見ていきます。

水回りを中心とした介護リフォームを実施するのであれば、200〜300万円程度が中心価格帯。浴室のみ、トイレのみの改修であれば、100万円未満でも十分にリフォーム可能です。

水回りに加えて、廊下や居室も介護に対応した形にリフォームするとなると、300〜400万円程度、全体的にリノベーションしたり間取り変更を伴ったりするケースでは、500万円以上かかる場合もあります。水回り設備のグレードによってもコストが大きく変わるため、予算とグレードのバランスをしっかり検討するようにしましょう。
参考:マンションの高齢者・介護向けリフォームの費用と相場

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まとめ

誰もがいずれは歳を取り、介護したり介護されたりする可能性があります。よって、誰もが介護リフォームを検討して損はないでしょう。戸建てと異なってマンションでは、リフォームできる内容に制限がありますが、できる範囲で最大限介護しやすい環境を整えることで、介護者・被介護者にかかわらず家族全員が住みやすい部屋を実現できるはずです。

この記事を参考に、将来へ向けて介護リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。