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中古マンションを選ぶなら知っておきたい排水管の基礎知識

日々の生活で私たちは多くの水を使います。汚れた水を下水道へと流す排水管は、住まいに欠かせない重要な設備の一つです。ひとたび水回りのトラブルが発生すれば、予想外の被害やコスト、ストレスなどが降りかかることもあるかもしれません。

中古マンションを選ぶときは、排水管にも注意を向けてみてください。排水管は、個人でメンテナンスや交換をすることが難しい部分でもあります。そこで今回は、マンションの購入や入居を決める前に排水管の状態が確認できるよう、排水管の基礎知識をお話ししていきます。

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マンションの排水管、配管方式は大きく2種類

マンションなど住宅では、排出される水を三種類に分けて、それぞれを流す専用の排水管を用意する配管が一般的です。次のような排水管があります。

  • 屋根やバルコニーに落ちた雨水を流す、雨水(うすい)管
  • トイレからの水を流す、汚水管
  • キッチン、浴室、洗面所、洗濯機などから生活排水(雑排水:ざっぱいすい)を流す、雑排水管

このうち、雨水は独立した系統で、マンションの外まで排水ルートが作られていることが一般的です。汚水管と雑排水管の排水については、マンション外部に流す方法として大きく2種類の配管方式があります。

一つは「合流式排水管」で、汚水と雑排水を合流させて同じ排水管で流します。築年数が経ったマンションに多くみられる配管方式と言われています。このタイプの排水管は、詰まりなどのトラブルが生じたときに被害が大きくなってしまうことが懸念されます。

比較的新しいマンションでは、もう一つの「分流式排水管」が普及しています。これは、汚水と雑排水を別々の排水管で流す配管方式です。

マンションの配管方式は、管理会社や管理組合に問い合わせてみましょう。配管図などの設備設計が分かる資料を入手できるのなら、専門家にみてもらえば合流式排水管の合流箇所など、より詳細な情報も確認できるでしょう。

排水管の材質から分かるメンテナンスのタイミング

排水管に使われる材質にはいくつかの種類があり、耐用年数に違いがあるので、修繕や交換が必要になるタイミングを図る上で知っておきたい情報です。

近年、マンション住戸内の給排水管は、「架橋ポリエチレン管」のように非金属のものが一般的になってきました。「架橋ポリエチレン管」は、腐食やサビ、熱にも強く、30年は使い続けることができるとされています。

注意が必要なのは、「亜鉛メッキ鋼管」や「硬質塩ビライニング鋼管」、「銅管」、「鋳鉄管」など、ステンレス以外の金属製の排水管です。これらの排水管は、目安として1980年頃までに建てられた築年の古いマンションで多く採用されてきました。

これらの素材の排水管は、耐用年数が概ね15~25年ほどなので、築年を考えれば交換などの適切なメンテナンスがなされるべきタイミングといえるでしょう。排水管の老朽化が進めば、腐食で穴が開き漏水が起きたり、内部でサビが発生して水が赤くなったりするという被害が出てくることも考えられます。

耐用年数では40年以上とされる「鋳鉄管」ですが、サビが発生しやすいという特徴があるので注意が必要です。

排水管の耐用年数が分かったら、マンションの築年や排水管の修繕履歴、これからどのくらいの期間住み続けたいのか、といった条件と突き合せて、排水管のメンテナンス時期を把握しておくとよいでしょう。

マンションの共有部分は、マンション全体での管理になりますが、専有部分に関しては、排水管も所有者の責任で管理します。リノベーションなどで、普段見えないところの住宅設備がチェックできる機会があるのなら、同じタイミングで排水管を交換することも視野に入れておくとよいかもしれません。

参考記事:マンションリノベーションで知っておきたい給排水配管のあれこれ
参考記事:給水管・排水管の交換リノベーションの目安時期や注意点を解説

マンションの排水管は管理状況も大事なチェックポイント

これから暮らそうと思うマンションなら、排水管の管理状況を知っておくことは大切です。メンテナンス無しで使い続ければ、排水管に汚れがたまり、悪臭や詰まりが起こることも十分考えられます。また、排水管の傷みを放置すれば、広範囲の漏水などのトラブルが起きることもあるかもしれません。

ここでは、マンションの排水管の管理状況を知る上で、確認しておきたいポイントを2つ紹介します。

長期修繕計画

マンションは区分所有ですから、専有部分については排水管の修繕や交換も所有者の責任で行うことができます。一方で、共有部分については、排水管の老朽化に対して、どのような工事を、いつ、どのくらいの金額をかけて行うのか、マンション全体の長期修繕計画の中で決められている場合が一般的でしょう。

長期修繕計画に排水管工事が計上されているのなら、もう少し踏み込んで内容を吟味しましょう。次のような視点で計画を確認しましょう。

  • 更新工事(配管を新しいものに取り換える)の予定があるのか
  • 更生工事(古い配管を洗浄し内側をコーティングして延命する)だけなのか
  • 十分な修繕積立金があるのか
  • 計画の見直しは定期的に行われているのか
  • 修繕履歴の記録は行われているのか

長期修繕計画は、マンションの管理会社などが保管しているので、仲介業者などを通じて見せてもらえるよう、頼んでみましょう。

雑排水管の定期清掃

排水管のうち、特に汚れが溜まりやすいのは、雑排水管であるとされています。雑排水管には、キッチンからは食べ物の欠片や油汚れ、洗濯機からは砂や泥汚れ、浴室からは髪の毛など、さまざまなものが流れます。

雑排水管の中に溜まった汚れは、やがてヘドロ状になり、内側に張り付くようになるそうです。ここにまた新たな汚れが付着するなどして、ヘドロが排水管の中を狭めていくと、排水管の中の流れが悪くなっていきます。そして、悪臭が発生したり、詰まって逆流を起こしたり、配管を傷めてしまったり、といった弊害を招くことが考えられます。

排水管を長く使っていくためには、雑排水管を定期的に清掃することが重要になります。マンションの場合は、年に1回程度は行うことが望ましいとされています。しっかりと定期清掃が行われているのかどうか、マンションの管理組合や管理会社に確認しましょう。

清掃の方法は、各住居の排水口に高圧洗浄機のノズルを挿入し、配管の中の汚れやぬめりなどを押し流していきます。住居内での作業になるため、住民が在宅して立ち会うなどの協力が必要になります。

参考記事:中古マンションをリノベーションするなら知っておきたい注意点

まとめ

マンションの排水管は、雨水管、汚水管、雑排水管の三種類があります。それらをマンションの外へ流す方法として、汚水管と雑排水管を一つにまとめる合流式排水管と、別々に流す分流式排水管とがあります。

築年数がある程度古いマンションでは、購入や入居を決める前に、排水管の材質や管理状況をしっかり確認しておきましょう。

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