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無垢材のメンテナンスに!蜜蝋ワックス

ビーズワックス(bees wax)とも呼ばれる蜜蝋ワックスは、蜂の巣から取り出された蜜蝋とオイルをあわせて作られたもの。無垢材のメンテナンスや塗装に使われます。ここでは無垢材と蜜蝋ワックスの相性が良い理由や、バリエーションについて見ていきましょう。

なぜ無垢材には蜜蝋ワックスなのか?

無垢材の仕上げやメンテナンスに人気な蜜蝋ワックス。その理由は無垢材の肌触りや木目を活かすことができるから。オイル塗装の風合いも楽しめて、天然由来の成分がメイので人や環境にやさしいのも人気の理由です。

無垢材を活かす浸透系塗料だから

蜜蝋ワックスは「浸透系塗料」の一種です。無垢材に染み込むものの、同じ浸透系塗料のオイルほど、深くまで浸透することはありません。表面にとどまって、無垢材を着色・保護します。

浸透系塗料は強固な塗膜を作りませんから、下地の風合いが失われにくいという特徴があります。無垢材の温かみや手触りはそのままで、着色・保護できるのです。

浸透系塗料に他にも、無垢材の表面処理に使われる塗料として「造膜系塗料」があります。代表的なものはウレタン塗料で、表面に強固な膜を作り下地を着色・保護します。水分やキズに強さを発揮しますが、塗膜が厚すぎて下地の風合いが失われてしまうのがデメリットです。

自然由来で人や環境に優しい

蜜蝋ワックスの主成分は多くの場合、蜂の巣から取ったロウと植物性のオイルです。どちらも自然由来の成分で、人や環境に優しいのが魅力。蜜蝋はハンドクリームやリップクリームに用いられるほどです。

とはいえ生まれたばかりの子どもにはハチミツが有害だったり、アレルギーを持っている方もいたりと、蜜蝋なら絶対に安心とはいい切れません。また蜜蝋ワックスの中には使いやすくするため、鉱物系のオイルを含んでいるものもあり、取り扱いに注意が必要です。

使いこなしが楽だから

蜜蝋ワックスが浸透系「塗料」と聞くと、塗りムラができたりするのではないか?と不安になる方もいるかもしれませんが、簡単に使いこなせるところも蜜蝋ワックスの魅力のひとつです。

使用方法は「塗る」というよりも「すり込む」という感じなので、他の塗料ほどムラを心配する必要はありません。無着色のものを使えば、衣類や他の箇所に付いたとしても目立つことはないでしょう。

ただ蜜蝋ワックスを塗るのに使った布などをそのままにしておくと、種類によっては自然発火する可能性があります。使い方が簡単とはいえ、使用前には説明書の熟読するようにしましょう。

蜜蝋ワックスのバリエーション


HAGSアイテム:古きを纏うアンティークワックス

「無垢材との相性も良さそうだし、使うのもカンタンそう」と蜜蝋ワックスが気になって通販サイトをのぞいてみると、意外とバリエーションがあることに戸惑うかもしれません。メーカーやブランドだけでなく、種類も色々あるのです。

ここでは蜜蝋ワックスのバリエーションについて見ていきましょう。

色によるバリエーション

蜜蝋ワックスは着色剤が含まれていないものと、含まれているものの2種類に分けられます。無垢材のメンテナンスに向いているのは、着色剤が含まれていないものでしょう。着色は無くても、加えられているオイルによって仕上がりの風合いが変わりますから、比較検討してお好みのものを探してみてください。現在の風合いをなるべく変えたくないなら「クリア」と明記されているものを選びましょう。

一方で、無塗装の無垢材を好みの色に変えたい方におすすめなのが、着色剤入りのタイプです。木目や風合いを損なうことなく、無垢材に落ち着いた色目を与えてくれるでしょう。

例えば、写真のHAGSアイテムは着色剤入りの蜜蝋ワックスで、8色のカラーバリエーションがあります。ただし、着色剤入りタイプはメンテナンス用に作られていないこともありますから注意が必要です。

加えるオイル・乾き方によるバリエーション

蜜蝋ワックスは、そのままでは固くて使いにくい蜜蝋にオイルを加えることで柔らかく塗りやすくしていることが多いです。加えるオイルには、塗った後しばらくで乾いてしまう「乾性」、うるおいが続く「不乾性」の2種類があります。

乾性オイルの代表的なものは、エゴマ(荏胡麻)油やアマニ(亜麻仁)油、クルミ(胡桃)油など。不乾性オイルの代表的なものは、ナタネ(菜種)油やオリーブ油などです。

サラッと仕上がるのは乾性オイルを加えたもの、うるおいが残るのが不乾性オイルを加えたもの。不乾性のものは塗りすぎるとベタつきになりますから、しっかりとした拭きとりが必要になります。

固さによるバリエーション

加えるオイルの割合によって、固さが変わるのが蜜蝋ワックスです。オイルを多めに添加された柔らかなものは、浸透性が低い硬い無垢材に向いていますし、オイルが少なく固た目のものは、浸透性が高い柔らかい無垢材に向いています。

まとめ

無垢材の風合いはそのままに、木目にそってすり込むだけ。簡単に使える蜜蝋ワックスですが、使用には多少の注意が必要です。特に、すべての方にとって安全とは言い切れないことと、塗り込むのに使った布の処分には気をつけることの2点は大切です。使用前には蜜蝋ワックスの説明書に必ず目を通してください。

また、蜜蝋ワックスは、乾き方や色のバリエーションがあります。適材適所で使っていかなければ、残念な仕上がりになりかねません。特に注意したいのが着色・無着色の区別について。メンテナンスに向いているのは無着色のものです。

また無着色のものも、添加されているオイルによって仕上がりが変わります。目立たないところで試してから、全体に使うようにしましょう。