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リノベーションに適したサッシの種類と工事方法を解説します

リノベーションに適したサッシの種類と工事方法を解説します

 
「窓からの展望を良くしたい」「断熱性・気密性が高いサッシにしたい」「パッシブデザインに合うサッシにしたい」

デザインも性能も妥協しない、自分好みの住まいを作るリノベーションが最近は流行りつつあります。その中で、サッシについてもデザインや性能、コストパフォーマンスを重視した選択がされています。

今回は私、現場監督ライターのクマが、リノベーションで取り入れたいサッシの種類と工事方法をご紹介します。
 

リノベーションに適しているサッシの種類

サッシのリノベーションで何を重視しますか?見通しのよさ?断熱性?デザイン性?せっかくのリノベーションですから「どれもできるだけ妥協したくない」という気持ちになるかもしれません。

サッシのリノベーションで重視したいのは性能です。特に断熱性能を上げると冬の寒さ、夏の暑さがやわらぐので室内空間の快適性が高まることが期待できます。


断熱性能が高いサッシ

現在販売されていて、種類が多く断熱性能の高いサッシはAPW330YKK AP)、エルスターS(LIXIL)などがあります。

また、サッシは開き方によって断熱性能に差があるといわれています。開かないFIX窓や、横すべり窓、縦すべり窓といったタイプの窓は気密性が高く、断熱性能も高くなります。一方、引き違いタイプのサッシは、窓を開閉させるために戸車を付けているため、気密性に限界があり、相対的に断熱性能が低くなる傾向があります。

ガラスの枚数、ガラスの金属膜の有無、サッシの素材(樹脂、アルミ)、ペアガラスの中空層の気体(乾燥空気やアルゴンガス、クリプトンガス)、ガラス間のスペーサーの素材(アルミor樹脂)など、サッシを構成する部品の素材や形態によっても断熱性能は変わってきます。

数多くの断熱性サッシがありますが、選ぶ際には、商品の断熱性能を「熱貫流率(U値)」という指標で比較することができます。値が小さいほど熱を通しにくい、つまり断熱性能が高い、ということになります。ハウスメーカーなどは商品の熱貫流率を公表していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

・参考:ヤマダ硝子「熱貫流率とは
・参考:LIXIL「木造用 開口部(平成28年省エネルギー基準対応)


デザインを重視したサッシ

「窓から見える景色を楽しみたい。」「できるだけ広い視界を確保したい。」「防火サッシの網入りガラスをなくしたい。」

リノベーションでは、デザインを重視して、窓から見える風景や窓のある空間をより楽しめるサッシを選ぶこともできます。
 

それぞれのリノベーションに適した工事方法

リノベーションに適したサッシの種類と工事方法を解説します

 
サッシの交換の工事は、リノベーションの方針やデザイン、建物の制限、予算などによって、いくつかの方法から適したものを選ぶことができます。

いま、リノベーションで主流なのがカバー工法と内窓取付工事です。カバー工法は古いサッシ枠を残して新しいサッシ枠を取り付ける方法です。内窓取付工事は、古いサッシの室内側に専用サッシを取り付ける方法です。その他サッシを取り替える工事やガラスだけ交換する工事方法もあります。


工事方法は「カバー工法」が主流

古いサッシ枠の上に新しいカバー枠を被せる工法です。サッシを取替えたあとも、ほとんど変わらない採光、通風を得ることができます。古いサッシと比べて開閉が良くなり、建て付けの悪さも改善されます。断熱性の良いサッシを使えば夏の暑さ、冬の寒さを改善することができます。

カバー工法は、デザインや断熱性能、工事予算がバランスよく取れた工事方法で、他の工法に比べて短時間で工事が可能なこと、工事の際の騒音や振動が少ないのも特徴です。

・参考:LIXIL「外壁のリフォームでお悩み解決


内窓取付工事は制限のある箇所に適している

リノベーションに適したサッシの種類と工事方法を解説します

もう一つ主流なのが内窓工事です。断熱性、防音性が良くなる事に加え、他の工法よりコストメリットがあるのが特徴で、LIXILの「インプラス」やYKK APの「プラマードU」が有名ですね。

内窓工事は古いサッシはそのままに、室内側に専用サッシを取り付ける工事方法です。窓が取り替えられないマンションや防火地域、特殊な条件の建物にも採用できる工事方法です。

内窓をつけてサッシを二重にすると断熱性と防音性が格段に向上します。断熱性向上のため、サッシを二重にする方法は北海道や東北、標高の高い地域などの寒冷地で使われています。同じように防音性向上のために、音楽ルームや録音室、線路沿いの住宅など、音を入れたくない、漏らしたくない部屋にも採用されています。


こだわりたい箇所はサッシの取り替え工事で

サッシそのものを取り替える工事方法もあります。サッシを新しくする方法の中で一番自由度が高い工法です。古いサッシのデザインに左右されず、新しくデザイン、種類、性能などを選べます。カバー工法ではできない、大きなサイズの窓への変更もできる場合があります。

例としては、展望を良くするため引き違い窓をオープンウィンドウへ変える、デザイン性の良い窓へ交換する、外観を重視して丸窓へ交換する、などがあります。

ただし、取替え工事は大掛かりな工事です。外壁まで直しながら工事するため、時間も予算も必要です。ここはしっかりとプランナーと打合せを行いましょう。
 

まとめ

今回はリノベーションに適しているサッシの種類と工事方法についてご紹介しました。

性能面・デザイン面から施工方法など、コストとのバランスを見て検討すると良いでしょう。
冬に寒い、夏に暑いと悩まれている方は、サッシの交換を検討してみてはいかがでしょうか?
 
・参考資料:田園都市建築家の会,世界で一番やさしいリフォーム,エクスナレッジ