リノベーションで住まいの断熱性能を高めれば、冬は暖かく夏は涼しい、環境にも家計にも優しい住宅を実現できます。こうした断熱性能を高めるリフォーム・リノベーションを行う際に活用できる補助金制度が「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」です。以前は一般的に「断熱リノベ」と呼ばれていた本制度。
この記事では、2022年版最新の制度概要や手続きの流れ、注意点などについて解説していきます。
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既存住宅における断熱リフォーム支援事業とは?
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)」とは、その名のとおり窓やドアを断熱性の高いものに改修したり、床や壁などに断熱材を入れたりすることで、一定水準の省エネ効果向上が見込める中古住宅のリフォーム・リノベーションで使える補助金制度です。
全国の中古住宅で利用でき、戸建て・マンションを問わず適用可能。賃貸住宅でも利用できますが、常に人が居住していることが条件であるため、事務所や店舗との併用住宅では利用できません。
本制度には「トータル断熱」「居間だけ断熱」という2つのメニューがあり、それぞれ次のとおり定義づけられています。なお、2つの併用はできません。
- トータル断熱
15%以上の省エネ効果が見込める改修率を満たす、高性能建材(断熱材・窓・ガラス)を使った中古住宅の断熱リフォーム事業 - 居間だけ断熱
居間(1日の中で家族全員の過ごす時間が最も長く、日常生活の中心になっている空間)に高性能な窓を使った中古住宅の断熱リフォーム事業
補助対象・補助額・要件まとめ
続いて、既存住宅における断熱リフォーム支援事業の補助対象・補助額・要件について見ていきましょう。トータル断熱、居間だけ断熱それぞれについて、概要を表にまとめて紹介します。
トータル断熱の概要
戸建て住宅 | 集合住宅(個別住戸) | 集合住宅(全体) | |
補助対象となる人等 | ・個人所有者(予定の人も含む) ・賃貸住宅の所有者(法人も可) | ・管理組合などの代表者 ・賃貸住宅の所有者(法人も可) | |
補助対象となる製品 | ・高性能建材(断熱材、窓、ガラス+玄関ドア) ※玄関ドアは、他の3つと同時に改修する場合のみ対象 ・家庭用蓄電設備、家庭用蓄電システム ・熱交換型換気設備等 | ・高性能建材(断熱材、窓、ガラス+玄関ドア) ※玄関ドアは、他の3つと同時に改修する場合のみ対象 ・熱交換型換気設備等 | ・高性能建材(断熱材、窓、ガラス+玄関ドア+共用部LED) ※玄関ドアおよび共用部LEDは、他の3つと同時に改修する場合のみ対象 |
補助率 | 補助対象となる経費の1/3以内 | ||
補助金額(上限額) | 1戸あたり120万円(玄関ドア5万円を含む) ※家庭用蓄電設備、家庭用蓄電システム:各20万円 ※熱交換型換気設備等:5万円 | 1戸あたり15万円(玄関ドア5万円を含む) ※熱交換型換気設備等:5万円 | 1戸あたり15万円(玄関ドア5万円・共用部LEDの補助額を含む) |
申請要件 | ・専用住宅であること ・交付申請後に所有予定の場合、完了時に登記事項証明書の写しを提出すること | ・専用住宅であること ・対象となる集合住宅の全住戸を改修すること ・管理組合の総会等で、全住戸の改修に関する承認を事前に得ること |
居間だけ断熱の概要
戸建て住宅 | 集合住宅(個別住戸) | 集合住宅(全体) | |
補助対象となる人等 | ・個人所有者(予定の人も含む) ・賃貸住宅の所有者(法人も可) | ・管理組合などの代表者 ・賃貸住宅の所有者(法人も可) | |
補助対象となる製品 | ・高性能建材(窓+玄関ドア) ※玄関ドアは、窓と同時に改修する場合のみ対象 ・家庭用蓄電設備、家庭用蓄電システム ・熱交換型換気設備等 | ・高性能建材(窓+玄関ドア) ※玄関ドアは、窓と同時に改修する場合のみ対象 ・熱交換型換気設備等 | ・高性能建材(窓+玄関ドア+共用部LED) ※玄関ドアおよび共用部LEDは、窓と同時に改修する場合のみ対象 |
補助率 | 補助対象となる経費の1/3以内 | ||
補助金額(上限額) | 1戸あたり120万円(玄関ドア5万円を含む) ※家庭用蓄電設備、家庭用蓄電システム:各20万円 ※熱交換型換気設備等:5万円 | 1戸あたり15万円(玄関ドア5万円を含む) ※熱交換型換気設備等:5万円 | 1戸あたり15万円(玄関ドア5万円・共用部LEDの補助額を含む) |
申請要件 | ・専用住宅であること ・居間を必ず改修すること(居間の改修と同時に行うのであれば、他の居室の改修も補助対象となる) ・交付申請後に所有予定の場合、完了時に登記事項証明書の写しを提出すること | ・専用住宅であること ・居間を必ず改修すること(居間の改修と同時に行うのであれば、他の居室の改修も補助対象となる) ・対象となる集合住宅の全住戸を改修すること ・管理組合の総会等で、全住戸の改修に関する承認を事前に得ること |
手続きの流れとスケジュール
実際に本制度を利用する場合、手続きはどのようにすればいいのでしょうか。申請〜交付までの流れとスケジュールについて解説していきます。
手続きの流れ
- 交付申請
公募期間中に、交付申請書と必要書類を提出して申請します。 - 交付決定通知書の発行
通知書の発行をもって、正式に補助金の交付が決定します。 - リフォーム工事契約の締結・工事
交付決定通知後に契約締結・着工する必要があります。 - 完了実績報告書の提出
事業完了後30日以内、または提出期限日のうち早い日までに完了した旨を報告しなければなりません。
この制度では「こどもみらい住宅支援事業」などで求められるリフォーム会社等の事業者登録がないため、リフォーム工事の依頼先は自由に選べます。
公募スケジュール
補助金の交付を受けるには、公募期間中に交付申請を行う必要があります。現時点(2022年8月現在)で公表されている公募のスケジュールは次のとおりです。
- 1回目の公募期間:3月14日〜6月3日(終了)
- 2回目の公募期間:6月17日〜8月10日
2回目の期間終了後も、年度内に数回の公募期間が設けられる予定ですので、利用を検討している人は最新情報をチェックするようにしましょう。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業の注意点
既存住宅における断熱リフォーム支援事業について概要を確認してきましたが、最後に申請をするにあたっての注意点を3点紹介します。
事前申請でないと補助金交付が受けられない
手続きの流れの中でも紹介したとおり、リフォーム・リノベーションの契約と着工は、本制度の申請をして交付決定通知書が発行されてから行わなければなりません。契約・着工後に申請しても助成対象となりませんので、必ず事前に申請しましょう。
期間内であっても予算に達すると終了の可能性あり
第2回の公募期間終了後も年度内に数回の公募が行われる予定となっていますが、本事業の補助金予算は限られています。予算に達する見込みがあるときは、たとえ公募期間内であっても申請終了となる場合もあるため注意が必要です。
国が実施する他の補助金とは併用できない
本制度は国が実施する制度であり、「こどもみらい住宅支援事業」「長期優良化リフォーム推進事業」といった他の国の補助金制度とは併用できません。
まとめ
「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、住まいの断熱性能を高めるリフォーム・リノベーションで幅広く利用できる補助金制度です。戸建て住宅であれば最大120万円の助成を受けられるため、これからリノベーションを検討している人はぜひとも活用したいところ。
ただし、他の国の補助金制度とは併用できないので、自身のリノベーション内容や家族構成などを踏まえ、最適な補助金制度がどれか検討したうえで活用しましょう。
参考:既存住宅の断熱リフォーム 支援補助金について
参考:既存住宅における断熱リフォーム支援事業|公募情報
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