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住まいの気密性能を高くしたい!何に費用がかかるの?

一年中快適に過ごせる住まいにするために気密性能にこだわりたい、と考える方も増えてきているようです。気密性能の高い住宅は外気の影響を受けにくく、室内環境を過ごしやすい状態に維持できるとされています。

しかし、気密性能の高い住宅を作るには、標準仕様の住宅よりも費用がかかりがち。今回は、気密性能が高い住宅はなぜ費用がかかるのか、また、費用をかけても実施したい気密測定について、解説していきます。

快適な室内環境のために気密性能を考える

住宅の気密性は、快適に過ごせる室内環境の実現に大きく関係していると言われます。住宅の隙間をなくして空気の出入りを抑え、外気の影響を受けないようにすることを気密化といいます。しっかり気密化できている、つまり気密性能が高い住宅は、室内環境を快適に保てるので関心を集める傾向のようです。

気密性が高い住宅では、室内の空気をシステム的に換気できる仕組みが施されています。人にとって快適な空気だけを選択的に取り込んで、住宅内に溜まる湿気や臭い、CO2 などは速やかに排出することで、常に快適な状態にしておくことができるのです。

一方で、隙間が多い住宅では自然換気されてしまうので、外気の流入や住居内の空気の排出を制御できません。隙間風と共に低温や高温、湿気、花粉などの不快物質が住宅内に持ち込まれてしまい、臭いや湿気を換気扇で追い出そうとしても局地的な効果になりがちです。

他にも、気密性が高い住宅には、快適に過ごせる以下のようなポイントがあります。
●部屋ごと、時間帯ごとの温度差が小さくなるので、ヒートショックなどの体への負担を減らせる。
●湿度をコントロールできるので、アレルギーの原因となるカビ、ダニの発生を抑えられる。
●確実に換気できるので、シックハウス症候群の対策になる。

気密性能が高い住宅は費用がかかる?

気密性の高い住宅の施工には、費用がかかることも知っておきましょう。高気密・高断熱住宅の例ですが、スタンダードな住宅を建てる費用と比べて、坪単価で3~5万円ほど高いと言われます。また、断熱性や遮熱性の高い材料や建材を使用することで、価格相場はプラス100万~数100万、といったデータもあります。

参考1:リフォらん「高気密高断熱住宅の坪単価の価格・値段と費用の相場は?」
参考2:ローコストな家づくり「高気密・高断熱住宅の価格相場やメリット・デメリットは?」

気密性のために費用がかかる理由として、専用の資材を使うことがまずあげられます。気密シートや気密テープ、発泡ウレタンフォームなど、隙間を埋めるための資材です。さらに、住宅のパーツもぴったりを組み合わさるように、高い精度で整えられたものが使われます。

そして、なんといっても見逃せない点のひとつして、現場の技術力があります。隙間ができないように建材を組み立てていくには、施工技術の高い職人や、時間と手間をかけた丁寧な作業が求められます。これがコストアップにつながるのです。

一方で、長期的に見れば、気密性能が高い住宅はランニングコストやメンテナンスコストを抑えられるという特徴もあります。冷暖房効率が良くなるので光熱費が下がり、結露やカビの発生も抑えられるので住宅が傷みにくい、とされています。

初期費用として用意できる予算は限られているものですが、長い目で見たコストパフォーマンスを検討してみると、それなりの費用をかける価値を納得できるかもしれません。

費用はかかるが価値あり!気密測定

本当に気密性に優れた住宅になっているのかどうかを調べる方法があります。それが気密測定です。気密測定は、実際の住宅一つ一つについて、調べられます。ある程度施工が進んだ段階で現場に機材を持ち込み、空気の流れや圧力差を使って隙間がどのくらいあるのかを調べます。
測定の結果、気密性能を表す値である「C値」が算出されます。C値は、建物全体の隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値で、0に近いほど気密性能が高いということです。現在、C値については法律や規制での基準は定められていないのですが、C値=1以下であれば、高気密住宅といえるのではないか、という見方もあります。

実際に暮らす住まいの気密性能を確認できる気密測定ですが、工務店やハウスメーカーによっては別料金になったり、そもそも対応していなかったりすることもあります。オプションとして依頼したり、自分で測定業者を探して依頼したりすることになりますが、費用相場は5万円~10万円と言われています。業者によっては交通費が別途かかることもあるそうです。

気密測定をするタイミングは、工事の途中と完成後の2回ありますが、もし費用の関係などで1回しか実施しないならば、工事途中での測定がおすすめです。断熱・気密工事が終わった段階で気密測定をすれば、もし目標とするC値が達成できていなくても、その後の施工で手直しをして隙間を埋め、改善することもできるからです。

気密測定は、実際に暮らす住まいの性能を確認でき、目標に達していなければその後に修正してより完成度を高めることができる手法です。標準仕様に含まれていない場合には、追加で費用がかかってしまいますが、有意義な検査と言われますので、初めから測定するつもりで予算を見積もっておくとよいでしょう。

参考:日本住環境株式会社「徹底解説!気密測定の方法」

まとめ

住まいの気密性を高めることで、お部屋の空気を居心地の良い状態に保つことができることをご紹介しました。気密性の高い住宅は、初期費用が高くなりがちですが一方でランニングコストの節約にもつながるので、長期的な視点からの検討をおすすめします。 

さらに、気密測定は実際に暮らす住まいの気密性能にかかわってくるので、追加費用をかけても実施する価値があるでしょう。