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気密性能にも等級がある!必要等級の目安は?

近年の住まいづくりにおいて、ますます重要視されてきている「気密性能」ですが、等級があるのをご存知でしたか?そのように聞くと、気密に関する等級とはどんなものなのか、何段階に分けられているのか、等級によって何が違うのか…など、気になることがたくさん出てきますよね。

ここでは気密性能の等級について、その目安とともに解説します。

気密性能の等級とは?

住宅にはいくつかの性能を表す指標がありますが、気密性能もそのひとつです。気密性能の評価を分かりやすくするために、気密性を検査した結果からその性能をランク付けした「等級」と呼ばれる区分が存在します。

最近では、気密性が高い住宅は人気があるため、テレビのCMなどでも「高気密住宅」などといった宣伝用のフレーズなどを時折耳にすることもあるでしょう。

住宅の気密性能の高さが重要であることは間違いありませんが、気密性の「等級」といえば、主に建物の内部と外部とを繋ぐ部分に使用されているドアや窓(サッシ)の性能表示の一部になります。

ドアやサッシの面積1㎡あたりにつきどれくらいの空気が漏れるかを計測し、A-1〜A-4までの4段階のランクが付けられています。等級数が大きいほど、気密性能が優れているということになります。この等級は日本産業規格(JIS規格)によるもので、国全体に共通の規格として定められたものになります。

気密性の等級

気密性の等級はJIS A 4702(ドアセット)/JIS A 4706(サッシ)により、以下のように決められています。

気密等級線とは、JIS A 4702(ドアセット)/JIS A 4706(サッシ)の規定によって室外の気圧差と通気量の関係を基に決められた線のことで、図1に示されているものです。

ドアやサッシの隙間からどれくらいの空気が漏れているかを調べる試験を行い、その結果によって判断されます。

等級

気密等級線

判断基準

A-1

A-1等級線

通気量が図1に規定する
気密等級線を上回ら
ないこと

A-2

A-2等級線

A-3

A-3等級線

A-4

A-4等級線

出典:日本サッシ協会

必要等級の目安を知りたい!

気密性能に等級があることを知ると、なるべく等級が高い部材を使った住宅にしたいという思いが出てくるものですが、そうは言っても無駄に高い性能を求めたり、そのために不要な出費をすることはできるだけ避けたいですよね。

そこで、一般的な住宅に使用されるドアやサッシに必要な気密性能の等級とは一体どれくらいなのか、その目安について見てみましょう。


出典:日本サッシ協会

等級は、A-1から順に上がり、A-4で最も気密性が高い等級になります。

通気性が求められたり、さほど気密性が必要でない部分に使用されるのがA-1等級で、室内建具などもこれにあたります。

一般的な住宅などの建築物において使用されるドアやサッシにはA-2やA-3の等級のものが多いようです。その中でも特に、近年においては気密性能が高い住宅が好まれる傾向にあるため、比較的A-3等級のドアやサッシが採用されるようになってきていると言えるでしょう。

A-2かA-3 のどちらか選択をする必要がある場合には、少々初期費用が高くなる可能性はあるものの、結果的に建物が傷みにくいことを考えると気密性能の優れているA-3等級のものを採用する方が、長い目で見た場合に満足できる選択になりそうです。

さらに、住宅の周辺環境や生活スタイルなどの個別の理由によって、より一層の断熱効果や防音効果、防塵効果を必要とする場合には、A-4等級を取得しているドアやサッシの採用がおすすめです。A-4等級は気密性に関わる評価の最高ランクに当たるため、気密性の高さによって受けられるメリットの効果が十分に期待できると考えられます。

すでに建物が完成している場合には、その建物に使用しているドアやサッシの気密性能等級がどのランクのものなのかについて、建物を管理している業者や施工をした会社の担当の方に聞いてみると良いですね。

一方で、気密性の高い家で換気が十分に行われないと、酸素不足による代謝の悪化といったような問題が起こる可能性もあります。そのようなことを防ぐためには、窓を開けたり換気扇を回したりするなど、定期的に新鮮な空気を取り入れる工夫が必要になることもあるので注意しておきましょう。

まとめ 

快適な住宅や室内環境づくりに大きく影響する気密性能ですが、その性能に直結するドアやサッシには気密に関する等級があり、必要性に応じた商品の購入を決めるようにすると無駄のない買い物ができるでしょう。

自分たちの家がどのような環境下にあるのかを整理し、どの程度の等級が適切なのか改めて検討してみると良いでしょう。とはいえ、その判断が難しいケースも多いため、建築業者など専門家の意見も参考にしながら検討してみてください。