モルタルは壁や床だけでなく、階段にも適用することができます。コンクリートやブロック下地の階段にモルタルを塗りつけて仕上げていくモルタル階段は、人が転倒しないよう安全面についても気を配る必要があることから、左官の仕事の中でも技術力のいる部類に入ります。また、腰をかがめて一段一段丁寧に塗っていくため、作業にはそれなりの体力も必要です。
モルタル仕上げの階段は美しいもので、最近では家の外階段だけでなく、自宅内に設置するケースもあります。そこでこの記事では、階段のモルタル仕上げについてご紹介します。
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モルタル階段の仕上げ方法
モルタル階段の仕上げ方法には2種類あり、「詰め込み仕上げ方法」と「鏝(こて)塗り仕上げ方法」と呼ばれています。どちらの方法を採用するかは、仕上げの塗り厚や階段一段の長さによって決まってきます。塗り厚が足りない場合や階段が横に長い場合は、鏝塗り仕上げにより塗り重ねる必要があります。
詰め込み仕上げ
下地階段よりも高い木枠を階段前面に隙間を設けて設置し、モルタルを階段の上から流し込む方法です。モルタルを流し込んだ後、鏝によりモルタルを均していきます。余分なモルタルは鏝ですくって戻し、階段表面を均していくという作業を繰り返します。モルタルポンプを用いれば手早くできる工法です。
外階段の場合は、勾配を付けてたり、溝を付けたりして雨水を逃がす方法が取られています。最後にノンスリップを付けて、安全面での配慮を図ります。
鏝塗り仕上げ
モルタルの流し込み方法を使わず、一段一段、蹴込みから蹴上げ、踏み板まで金鏝で丁寧に仕上げていきます。金鏝で調整しながら仕上げていくので、綺麗な仕上がりが期待できます。反面、施工スピードは詰め込み仕上げよりも劣ります。
モルタル仕上げのデメリット
モルタル階段は、施工直後はコンクリート調のスタイリッシュでモダンなカッコよさがありますが、時が経つにつれてクラックや亀裂が生じやすいというデメリットがあります。
ただ、モルタルのクラックや亀裂への印象は、美観を損ねると捉える人もいれば、味わいのあるものと捉える人もいます。最近では、クラックなどの風合いが良いと、あえてモルタルを選ぶスタイルも出てきました。捉え方は人それぞれですので、ショールームにて実例を見ながら検討するようにしましょう。
もう一つのデメリットとして、モルタルの仕上がりや経年による変化は、作業する職人の腕に依存するところが大きいということがあります。モルタルの性質上クラックが入ることは避けられませんが、美しさがどれだけ続くかという点において差が出るものでもあります。
こういったデメリットをしっかり説明してくれることや、施工後1年でどのくらい変化するかを見せてもらえる業者などを選ぶと安心です。リノベーションでは1年後点検などで経年の様子を確認することができるので、こういう視点も業者選定の参考にすると良いでしょう。
モルタル階段のデザイン
最近ではモノトーン調のインダストリアル系内装の人気が高いことから、屋内に設置する階段についてもモルタルで仕上げるケースもあります。内階段であれば、外階段と違い極端な環境変化や暴風雨に晒されることはないため、モルタルも比較的長持ちします。そのため、外階段をタイル張りに、内階段をモルタル階段に、といったケースもあります。
モルタル階段はシンプルでありながら重厚感や力強さが感じられるのも特徴ですが、重いというデメリットもあります。そこで全段をモルタル階段にせず、部分的にモルタル階段にするデザインもあります。
土間からリビングなど、ちょっとした段差にモルタル階段を用いることもあります。一段や二段程度のモルタル階段なら、より柔軟性や耐久力のあるモールテックスといった樹脂系モルタルを活用することも可能です。モールテックスは通常のモルタルと比較して値段が張りますが、ひび割れが生じにくいため、モルタル階段の美観を長期的に保つことができます。
まとめ
モルタル階段には、詰め込み仕上げと鏝塗り仕上げがあり、下地となる階段の状況に合わせていずれかの仕上げ方法が採用されています。また、最近では内階段をモルタル階段にするケースもあり、リノベーションの際には検討してみるのもいいかもしれません。