Column

階段のリフォームリノベーションを検討する前に〜押さえておきたい注意点とは?

メゾネットのマンションや2階建て以上の戸建てに必ず設けられている階段は、上下階の移動を支える大切な空間です。階段は家の中でも事故が発生しやすい場所でもあり、リフォーム・リノベーションを行うにあたっては安全性もしっかり考慮しておきたいところ。そこで今回は、階段のリフォーム・リノベーションを検討する際に押さえておきたい注意点を解説していきます。ポイントを押さえて、家族全員が安心して使える快適な階段を実現しましょう。

こちらもチェック
完全版|階段のリフォーム・リノベーションのガイド〜種類・費用・事例まとめ〜

階段の寸法は法律や条例で定められている!

繰り返しになりますが、階段は家庭内でも事故が発生しやすい箇所。特に65歳以上の高齢者においては、屋内における事故発生箇所の第2位に階段が入っており、実に全体の2割近くの事故が階段で発生しているのです。
(参考:独立行政法人国民生活センター「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故−高齢者編−」)

こうしたことから、住宅の階段(マンションなどにある共用階段を除く)についても建築基準法施行令で守るべき寸法が定められています。主な内容は次の通りです。

蹴上げとは階段における段差の高さのことを指し、踏面とは階段の足を置く部分の奥行きのことを指します。住宅における階段の寸法は公共の場所に比べて基準が緩く設定されているので、上記の寸法はあくまでも最低限の基準と考えるといいでしょう。加えて、地方自治体によってはバリアフリーの観点から、建築基準法よりも厳しい階段寸法を条例で定めている場合もあります。リフォーム・リノベーションで階段の寸法変更を検討するのであれば、法律とともに住んでいる自治体の条例も確認しておきたいところです。

階段の種類はどうする?

階段には大きく分けて5種類あることをご存じでしょうか。リフォーム・リノベーションを検討するにあたっては、種類ごとの特徴を把握して、間取りやライフスタイルに合った階段を選ぶ必要があります。構造上階段の位置が変更できない場合は、種類によって安全性を高める工夫を講じることも大切です。ここでは5種類の階段を簡単に紹介しましょう。

直階段

もっとも一般的な上下階を真っ直ぐつなぐタイプの階段。比較的省スペースかつ安価で設置可能ですが、傾斜が急になりやすく転倒すると下階まで一気に転げ落ちる危険性もあります。リフォーム・リノベーションの際には、手すりや滑り止めの設置など安全対策をしっかり講じましょう。

かね折れ階段

途中で直角に折れ曲がったL字型の階段。直階段に比べるとスペースが余分に必要ですが、途中に踊り場を設けられるので傾斜が緩やかで、直階段よりも安全性は高めです。間取りを工夫すれば、階段下のスペースを有効活用できます。

折り返し階段・回り階段

途中で折り返すことで、上から見るとコの字型もしくはU字型になっている階段が折り返し階段と回り階段です。折り返し部分が踊り場になっているものを折り返し階段、折り返し部分にも段差が設けられているものを回り階段と呼びます。どちらもまとまったスペースが必要になりますが安全性は高め。折り返し階段のほうがより高い安全性を誇りますが、少しでも省スペース化したい場合には回り階段がおすすめです。

らせん階段

中心の柱を軸として、らせん状に踏み板が設置された階段。おしゃれでスタイリッシュな見た目が人気ですが、実はスペースを取らないというメリットもあります。ただ、踏面が扇形で狭いため、手すりを設置するなど安全性はしっかり確保したほうがベター。築古物件のリノベーションでは新たに設置することが多いので、そもそも希望する位置に設置できるのか事前に確認しておくといいでしょう。

階段リフォームリノベーションにおける3つの注意点

階段は寸法や種類を確認しておくべきということをお伝えした上で、最後にリフォーム・リノベーションを検討する際の3つの注意点を解説します。

基本的に階段の位置は変えられない

リフォーム・リノベーションで間取り変更をしたいとなれば、階段も合わせて位置を変えたい場合もあるかもしれません。しかし、階段の位置を変えると全体の動線も大きく変わります。階段の位置変更は影響を及ぼす範囲が大きいため、基本的に難しいと考えたほうがいいでしょう。建物構造によっては天井に穴が開けられず、物理的に位置変更ができない可能性もあります。

規模によって確認申請が必要

家を新築する際や大規模リフォームを行う際に必要となる建築確認申請。建築基準法を遵守した作りになっているか確認するため必要な手続きです。手すりの設置、壁紙の変更といった簡単なリフォームであれば申請の必要はありませんが、階段の構造自体に手を加えるような大がかりなリフォーム・リノベーションだと、あらためて確認申請が必要になることもあります。

工事中階段が使えない

当然のことですが、リフォーム工事中は階段が使えないという点も要注意。工事期間中は上階が実質使えないことになりますので、下階だけでも生活できるようあらかじめ準備しておく必要があります。

まとめ

今回は、階段リフォーム・リノベーションを検討するにあたって確認しておきたいポイントを解説してきました。階段は上下階を行き来するという明確な目的があって設置するものですから、使い勝手や安全性の確保は欠かせません。リフォームプランを考える前に法律や注意点を確認し、家族全員が毎日快適に使える階段を実現できるよう心がけましょう。

こちらもチェック
完全版|階段のリフォーム・リノベーションのガイド〜種類・費用・事例まとめ〜