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消費大国アメリカではどうしている?おうちに溢れるモノの処分・整理方法

ここ数年は、新型コロナウィルスの流行などの影響でおうち時間が増えたこともあり、環境を整えるために新しいアイテムが必要になることもあったのでは。すると、家の中がいつの間にかモノでいっぱい、年末の大掃除に向けて身の回りをスッキリさせたい!という方も多いのではないでしょうか。

日本でもお馴染みのAmazonやCostcoの本社を擁し、購買意欲が旺盛と言われる消費大国アメリカでは、大規模なモノの整理が日本以上に必要になってきます。今回は、なぜアメリカの家庭にモノが多いのか、どのように大量の不用品を処分・整理しているのか、その方法をご紹介していきます。

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アメリカの家庭にモノが多い理由


GDP(国内総生産)の約7割を占めるとされる個人消費(個人が、モノとサービスの購入に充てた金額の総計)が、長らく経済活動の核となっているアメリカ。ここでは、モノにスポットを当て、人々の購買意欲が高い理由の一部をご紹介します。

  1.  家のサイズが大きい=収納スペースが広い
    一般的にアメリカの家は、サイズが大きめです。収納スペース(巨大な地下収納、ガレージ、パントリーやバックヤードなど)も多いので、数やサイズを問わず、際限なくモノが増えていきやすい環境が整っています。

  2.  キャッシュレス社会
    クレジットカードやデビットカードが、少額から利用可能なお店がほとんどであり、現金が必要になる場面は少ないのがアメリカの現状です。オンラインショッピングの普及、年中開催されているセールやプロモーションに長けた小売業界の施策も相まって、現金が減る実感が乏しいまま、消費を続ける傾向にあると言えるでしょう。

  3.  返品が容易である
    ネットショップも実店舗も返品のハードルが低く、スーパーの返品カウンターに行列ができていることも珍しくありません。この「気に入らなければいつでも返品できる」という気楽さが、「とりあえず買っておく」と即決する心理に繋がっていると考えられるでしょう。

アメリカ式、不用品の処分・整理方法


そうして増えていったモノを、アメリカの家庭は、一体どのように処分・整理しているのでしょうか。ポピュラーな方法を5つご紹介します。

クラシファイドサイトで販売する

最初に、仲介手数料を発生させずに個人間での売買を成立させる、クラシファイドサイトの活用です。

大手のCraigslistを筆頭にいくつか種類があり、基本的にはローカルの小さな範囲で行われることが多いです。知らない人との商品受け渡し等には、やや注意する必要がありますが、対面・現金払いで素早く取引が成立し、配送トラブルが起きにくいというメリットもあります。

アメリカは日本に比べて、中古品に対して古い汚い等の抵抗感が少なく、長く使えるモノの価値をきちんと見定める傾向にあるため、需要と供給がマッチすれば、日本人の感覚からすると驚くような高値で、取引が成立することもあります。

Garage sale(ガレージセール)

次に、自宅のガレージ(駐車場)を開放して行う、ガレージセールです。

移動や場所代を必要としない、個人のフリーマーケットのようなものをイメージすると分かりやすいでしょう。塀で覆われていないオープンな造りの家が多く、路上駐車も日常的なので、ドライブの途中や歩きながらでも見つけたら、フラッと立ち寄ることが可能です。

もっと気楽に、「FREE」(ご自由にお持ちください、の意)の張り紙をして、大物家具などを家の前に出しておくだけ、というケースも。

Donation (ドネーション)

三つ目はドネーション(寄付)で、寄付する先には様々な選択肢があります。

あらゆる日用品の寄付を募って格安でリセールし、その収益を慈善活動に充てるThrift shop (スリフトショップ)に持ち込むのも一般的な方法のひとつ。寄付相当の金額を自己申告してレシートを受け取ると、税金の控除を受けることができるなど、寄付をする側もメリットを受けられるような仕組みが整っています。

集まる寄付の数が膨大なため、買う側にとっては必要なものが、ただ低価格で揃うだけでなく、アンティーク市場で人気の高い食器や洋服、家具などが格安で見つかる場合もあるので、お宝探しのような楽しみ方もできます。

Secondhand shop(中古品販売店)とConsighnment shop(委託販売店)活用

四つ目に、セカンドハンドショップやコンサインメントショップの活用です。

中古品を買取ってリセールするという、日本のリサイクルショップに近いのがセカンドハンド、希望の価格で委託販売してもらい、売上から手数料などを引いた一部を得るのがコンサインメントとなります。

本、スポーツ・アウトドア用品、大型家具や子供用品といった特定のジャンルを専門的に扱うお店も多くあります。アメリカは、このように様々な形態の中古品販売ビジネスが確立しています。

Estate sale(エステートセール)

最後に、特にアメリカらしい文化として、エステートセールをご紹介します。

エステートセールとは、本来、売主が亡くなった際に家財道具や不動産などを販売して処分する遺産整理の方法で、家全体を開放して販売会場とします。形見分け文化の日本と違い、アメリカでは相続人が残したいもの以外は、売却して現金化するのが一般的です。

売主が存命の場合でも、引っ越し等で家の中のものを一斉に処分したい場合などで、業者に委託すると、エステートセールと呼ばれます。合理的でオープンなアメリカならではの、モノの処分方法ですよね。

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まとめ

生活スタイルや文化が異なるためアメリカ式とは規模や形態に多少の違いはありますが、近年日本でもリユースやリサイクルの様々な仕組みが定着しつつありますよね。
モノを大規模に整理したいこれからの季節、不用品をただのゴミとして処分するだけではなく、環境や人に配慮した合理的な循環方法を、改めて検討してみるのはいかがでしょうか。

Writing: チチ(アメリカ在住)