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気密性能を高めるときに覚えておきたいc値の基準とは?

リフォームやリノベーションをする際に覚えておきたい数値のひとつとしてC値があります。C値は気密性能と深い関わりがありますが、具体的な意味までは知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、気密性能を高めるために欠かせないC値について詳しく解説します。後半ではC値を基準にした気密性能にこだわるメリットについてもご紹介します。

気密性能を高めるときに押さえておきたい3つの質問

最近では気密性能の高い住宅に注目が集まっているようです。ここでは、C値や気密性能に関連した3つの質問について詳しく見ていきましょう。

気密性が高い住宅とは?

気密性とは密閉した気体が外に漏れない、または気体が内部に入り込まない性質のことです。住宅の場合、隙間がある場合には気密性が低く、隙間がない場合には気密性が高いと言えます。

例えば、ウール製の服を着込んでいても、風が内部に入り込んでしまうと暖かさを感じません。一方で、風が内部に入り込まないようにすれば防寒効果が高まり、暖かく感じますね。住宅では室温を一定に保つために断熱材を使用しますが、気密性が低いと室温を一定に保つのが難しくなるでしょう。このため、快適な部屋を構築するには、気密性を高めることが重要なポイントと言われます。

C値とは?

C値とは家の中でどのくらいの隙間があるのかを数値化したものです。建物全体にある隙間面積(CM2)を延べ床面積(M2)で割って計算します。例えば、隙間の合計が300cm2で延べ床面積が100m2なら、C値は3(cm2/m2)です。

隙間が小さいほど空気の出入りは少なくなるため、C値が小さければ気密性が高いと言えるでしょう。一方で、C値が大きければ気密性が低い住宅と言えます。

C値を下げるための方法は、隙間をできるだけ減らすことです。隙間に気密テープを貼り付けたり、コーキングで施工したりすれば隙間が埋まり、C値も小さくなります。

適切な気密性能の数値は?

C値に関する適切な数値は法律で定められていません。一般的には1.0以下であれば高気密の住宅とされています。なお、C値は経年劣化するため、リフォームやリノベーションの際にはC値が1.0以下であっても、数年後にはC値が変わっていることもあるでしょう。

(参考:一般社団法人あんしん解体業者認定協会「コノイエ ハウスメーカー25社のC値・Q値・UA値一覧|比較時の注意は3点」)

C値を基準にした気密性能にこだわるメリット

C値を基準とした気密性にこだわるメリットは大きく分けると4つです。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

省エネルギーで快適な部屋を構築しやすい

1つ目のメリットは省エネルギーで快適な部屋を構築しやすいことです。一般的に夏になると室内の温度を下げるためにエアコンを使用します。一方で冬になると暖房器具を使って室内温度を上げます。

気密性が低いと部屋の空気が外に漏れてしまいます。夏の場合はエアコンによる冷たい空気が外に漏れてしまいますし、冬の場合は外の冷たい空気が室内に入り込んでしまうのです。その結果、快適な温度を保つために、エアコンや暖房器具をフルパワーで稼働させる事態にもなりかねません。

気密性能が高ければ室内の温度を一定に保てるため、エアコンや暖房器具を使わずに過ごす機会も増やせます。少ない電気代で快適に暮らせるでしょう。

内壁の腐敗を防げる

2つ目のメリットは内壁の腐敗を防げることです。冬は結露が発生しやすい季節です。結露の主な原因は水蒸気で、暖房器具で温められた水蒸気が冷えることで水滴に変わります。

壁に隙間があると、湿気が隙間に流れ込んでしまい結露が発生しやすくなるでしょう。結露を放っておくと、壁のダメージにもつながります。一方で気密性を高めて壁の隙間を無くしておけば、湿気が内壁に到達するのを防げるため、腐敗を抑えられるでしょう。

嫌な臭いを抑えられる

3つ目のメリットは室内にこもった嫌な臭いを抑えられることです。生活していると二酸化炭素、水蒸気、食べ物や飲み物の臭いなど、さまざまな生活臭が発生します。

臭いを抑える方法のひとつは定期的な換気ですが、住宅全体に隙間があると空気の循環が悪くなりがちです。気密性を高めれば空気が循環しやすくなり、部屋にこもる嫌な臭いも抑えられます。

健康被害を防げる

4つ目のメリットは健康被害を防げることです。近年では大気汚染による健康被害も心配されています。微小粒子のPM2.5や中国から風に乗って運ばれてくる黄砂などが体の中に入り込むと、呼吸器系や循環器系に影響を与えてしまう恐れもあります。建物に隙間があると、室内に大気汚染物質が入り込むこともあり得ます。気密性能の高い住宅なら部屋の中への侵入を防げるため、大気汚染の影響を抑えられるでしょう。

まとめ

C値とは家の中でどのくらいの隙間があるのかを数値化したものです。C値の基準を知った上で、建物の気密性能にもこだわってみてはいかがでしょうか。

気密性能を高めれば、建物の劣化や大気汚染による健康被害も防げます。リフォームやリノベーションを検討している方は、気密性能についても業者と話し合っておくことをおすすめします。