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気密性能が高い家は結露しにくい?結露しやすい?

冬の朝の結露は厄介なものですね。サッシやカーテンがカビたり、嫌なにおいがしたり。結露は、暮らす人の健康や家の耐久性にも悪い影響があると言われています。

今回は、結露しにくいといわれる、気密性能が高い家に注目します。気密性能が高いとなぜ結露しにくいのか、本当に結露しないのか、といった疑問にお答えしていきますので、興味のある方は参考にしてみてください。

結露を防ぐには気密性能と断熱性能がポイント

結露が生じる原因は、温度差と空気中の水分量といわれています。よく知られているように、暖められた空気が冷やされることで、空気中に蓄えられていた水分が液体となって現れる、というのが結露の仕組みです。そのため、結露を防ぐポイントとして、住居内の暖かくなった空気を冷やさないこと、空気中の水分量をコントロールすること、が大切になってきます。

暖めた空気を冷やさない

暖房を使う冬は、室内の温度差が大きくなりがちです。暖かい部屋と寒い部屋があったり、時間帯によって暖かい部屋が寒くなったりすると、結露が発生しやすい環境になってしまいます。住まいの中で、場所や時間による温度差を作らないことが結露を防ぐ一つ目のポイントです。

空気中の水分量をコントロールする

室内の空気中に多くの水分があると、それだけ結露しやすくなります。エアコンの除湿機能や除湿器を使っても、住まいに外気が入り込める隙間があると、除湿効果を弱めてしまいます。屋外の湿気を入り込ませないことがもう一つのポイントになるでしょう。

結露を防ぐポイントをクリアする方法の一つが、気密性能、断熱性能の高い家であると言えるでしょう。高気密、高断熱の家は、住居内の環境が屋外の天候や気温変化に影響されにくくなっています。室内温度が保たれるので、少ないエネルギーで住まい全体が暖まり温度差も少なくなります。さらに、換気をコントロールして外気の浸入を防げるので、除湿機器を使えば適度な湿度を保ちやすくなります。

結露に強い高気密住宅はどうやって作る?

夏の猛暑もあって住宅の断熱性能に関心が高まる傾向がありますが、快適な室内環境を維持するためには、気密性能も重要です。断熱というと、壁や床の断熱材や、遮熱効果の高い外壁や窓・サッシのイメージがあるかもしれません。では、気密性についてはどうでしょうか。

気密性が高いとは隙間が少ないということですが、住宅の隙間を少なくするのはなかなか大変なことです。住宅は多くのパーツを組み立てて作るので、パーツごとのつなぎ目にどうしても隙間ができてしまいがちだからです。

窓や玄関の合わせ目、壁と床のつなぎ目、コンセントカバーと壁の隙間など、見えるところはもちろん、壁裏や床下、天井裏などの見えていないところの隙間も、空気の出入り口となって、気密性を下げる原因になってしまいます。

気密性の高い住宅を作るには、精度の高い施工技術のある業者の丁寧な作業が欠かせないと言われます。家づくりの全過程を通して、できるだけ隙間を作らず、小さな隙間も見逃さずにきっちりと埋めていく施工が重要と覚えておきましょう。

高気密住宅にしたいならば、気密施工の経験が豊富な専門家、業者への依頼をおすすめします。とはいえ、新築注文住宅を作るハウスメーカーでも、気密性能については対応にばらつきがあるようです。リノベーションでの気密施工は既存物件ならではの難しさもあるので、工事を依頼する業者が対応可能なのか、十分に確認しておきたいところです。

高気密住宅は換気とセットで結露対策を

高気密住宅なら全く結露しないかというと、そうとも言い切れないところがあります。

気密性が高いということは、室内の空気が滞留して入れ替わりにくい、ということです。普通に暮らしていれば人の活動はどうしても水蒸気を発生させるので、室内の空気がうまく換気されないと、湿気が溜まり結露してしまうこともあり得ます。

現在、気密性の高い住宅には24時間換気システムを取り付けることが義務付けられています。しっかりと気密施工をした住宅は、隙間風による自然換気が抑えられ、ときどき窓を開けたり、換気扇を回しても、十分な換気ができないそうです。室内で発生する湿気やCO2、有害物質を適切に排出するためにも、換気システムは重要な役割を果たしているのです。

結露予防としてだけでなく、シックハウス症候群の対策としても大切な換気ですが、換気システムを動かすと寒い空気、暑い空気が入ってくるから使いたくない、ということもあるかもしれません。その場合には、外気温の影響を受けにくい熱交換式にするという方法もありますので、施工業者に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

結露を防ぐには、家の中の温度差を作らないこと、適度な湿度に保つことが重要なポイントとされます。気密性能が高い家は、極力隙間を減らして室内環境が外気の影響を受けないようになっているので、家全体を適度な温度と湿度に保ち、結露しにくいといえます。

一方で、室内で発生する水蒸気がこもりやすいので、換気システムを活用して空気の入れ替えをコントロールすることも大切です。